子猫がわが家にやって来た!
子猫をわが家に迎えた時のこと…それは今も鮮明に覚えています。人生の中で忘れられない思い出はいくつもあるけれど、その中でも昨日のことのように思い出せるのは案外少ない気がします。
今日は子猫を初めて家に迎えたときのこと、子猫が来てからの生活の変化についてご紹介しますのでこれから猫を飼おうと思っている方の参考になれば幸いです。
はじめて子猫を迎えたのは、今を去ること10年前。わくわくどきどきしながらブリーダーさんのお家に迎えに行きました。
車で約一時間半の距離を揺られてついにわが家に到着。 そして子猫とともにわれわれの生活の新たな幕が開きました。
家の模様替え
わが家は当時マンション暮らし。 子猫を迎えるにあたり、事前に聞いていたトイレ二つと、キャットタワーを用意。 今までになかった子猫専用の家具の置き場所に随分頭を悩ませました。
トイレは、人間がご飯を食べているところから丸見えにならない場所に。プライバシーの尊重精神ですね。猫って以外と恥ずかしがったりするということで。
キャットタワーは、地震があって万が一倒れても、何かに突っかかって子猫が下敷きにならないで済むような場所に。
でも、外の景色を眺めたり出来る所。オーシャンビューならぬ、裏庭ビューという選択。子猫サイズの置物を買って、タワーに乗せシュミレーションまでして、これなら大丈夫そうと!
今まで、人間専用だった物を片付けたりして、子猫専用のメインルームを準備しました。これでいけると思ったのでしたが… そうは問屋が卸さないことが判明!
まだまだ足りなかった模様替え! 実際に子猫を迎えて気がついたこと!
マンションの一階の我が家。
実は玄関を開ければ、すぐにどこにでも行ってしまえる場所。思ったよりも素早い子猫の動き!これは対策を講じなければ楽しい子猫生活が悲しい物になりかねない!
散々頭を捻ったあげく、急ぎ向かったのがホームセンター! 赤ちゃん用のゲートを手に帰って来ました。
ゲートを玄関手前の場所に設置。自分の子供がいた時にも使ったことのなかったもの。
いずれは飛び越えることもできるようになるかもしれないと思いながらもちょっとしたハードルを設けることにより脱走防止になれば、それでよしと。 子供の頃、犬と生活したことしかなかった私には何もかも初めて。
おまけに迎えた子猫は5ヶ月のメインクーン!メインクーンという猫種は、生まれた時は他の赤ちゃん猫達と大きさは大して変わらないのですが、成長が早くわが家に来たレオンも生後5ヶ月にして3.5kgを超えていました。やることはまだまだ子供ですが、体が大きい分ちょっとした騒動がいっぱい。
高い所に登りそびれて、棚の上に置いてあった本や漫画が落っこちてきたり。
対面型のキッチンのカウンターに乗って、ちょっと尻尾を”ブン”と振っただけでコップや調味料がガラガラと… というわけで、数日後にはまたホームセンター訪問の運びとなりました!
追加で赤ちゃん用ゲートを購入し、キッチンの出入り口にもう一基追加設置。 部屋の中にあった、「幸福の木」や「ポトス」などの観葉植物はみんな外のテラスに移動。 大人二人の静かな生活は、子猫中心のものに大きく方向転換しました。
瞬間を切り取れ!
部屋の模様替えが一段落し、人の物が減った分増えた物… それは猫用グッズ。トイレやキャットタワーは想定内だったけれど、それ以外に急ぎ用意したのがカメラでした。
『子猫の成長は早い!』今、この瞬間を大事な思い出として残さないでどうする!
ということで、コンパクトデジカメが新しいアイテムとしてわが家にやって来ました。思えば、今もレオン達がわが家に来てからのことを鮮明に覚えているのは写真のおかげだと思います。
一体全体どれぐらいの枚数の写真を撮ったのか、今では覚えていません。すること全てが新鮮で、斬新で、可愛くて…
実は、迎えた猫はレオンだけではなかったのです。一緒に母違いのドン・ファンという1歳の成猫も同じブリーダーさんから迎えました。
ドン・ファンはレオンの兄貴として、時に父のイメージで子猫のレオンの面倒をよく見ていました。子猫特有の大胆さで遊んだりいたずらするレオンを時にたしなめ、時に仲間として面倒をみてくれたのです。
ふたりはいつも一緒で、切り取った数々の思い出は大抵ツーショットで写っています。
蛇口から水を飲むことを教えたのもドン・ファン。われわれの生活の中心がこの大人と子猫の二匹で、レオンの生活の中心はドン・ファンだったのかもしれません。
気がつけば、当時のPCは写真で容量がいっぱいでした。暑い夏はお風呂場で涼むと気持ちいいこと、ベビーゲートの乗り越え方… 寒い冬は一番暖かい場所を探す方法。振り返ってみると、ふたりはいつもお互いにいろいろ教えあっていたようです。
メインクーンは『手先が器用な猫』と言われており、ドン・ファンがカリカリを手ですくって食べる方法もしっかりレオンに伝授していました。
一粒ずつ、手のひらというか肉球にカリカリを乗せて食べる姿、はじめて見た時は本当にびっくりしました。大きな体を丸めて(これが本当の猫背!)口に上手に持って行く。
猫達の世界でも、作法や文化は伝授されて行く!新鮮な驚きが毎日のようにありました。カメラは文字通りわれわれの『記録』であり『証人』でもあったということです。写真がなければ、なかなかこの感動は人には伝えにくかったと思います。
増える猫グッズ!
猫達をお迎えするにあたり、トイレを二個用意したと書きましたが、実はトイレの大きさもメインクーンサイズでした。当時は大型の猫用トイレがあまりなくて、ブリーダーさんと同じ物を用意するのが一番良いだろうということで、衣装ケースがトイレの役割を果たしていました。
このトイレの大きさにに合わせた砂の量は、通常の2袋分。砂のストックは常時平均8袋。
成長する度合いに合わせたカリカリの量も半端なく。あっと言う間に砂とご飯の袋の山が出来上がって行きました。 出かけた先で、ちょっと珍しい猫用おもちゃをを見ればつい買ってしまい、わが家はどこからどう見ても猫を溺愛し甘やかしている家庭に変貌していました。
少し冷静になれば、そこまで色々買わなくてもと思いますが、当時は喜ぶことは何でもしてあげたい一心だったのだと思います。まるで、初孫を迎えたおばあちゃんの心境でした。
逆に言えば、それほど彼らは簡単にわれわれの心を虜にしたのだと思います。そばに居てくれてありがとう、毎日一緒に居てくれて、出かける時には見送ってくれて、帰ってくれば出迎えしてくれることがうれしくて。
そんな気持ちを伝えたくて、でも言葉で表しきれないからおもちゃとかを買ってしまう。今にして思えば不器用な愛情表現だったなと反省しきりですが、その当時の猫初心者としてはそれが思いつく最善のことだったのだと思います。
新世界への扉が開く!
さて、家の中のアイテムはある程度揃い、兄弟二匹の生活パターンもおぼろげに分かってきました。ふたりを迎えたのがGWだったこともあり数日はべったりと人が猫達に張り付いたような生活を送りました。
次なる課題は獣医さん捜しでした。
大事な、大事な子供達。体重が重くたってまだまだ子猫。
メインクーンは3歳ぐらいでやっと成猫になると言われている猫種。一歳だってまだまだ子猫の領域。まして生後6ヶ月のレオンに至っては、まだ幼稚園生みたいないもの。
このまま獣医さんのお世話にならずに育ってくれるのが一番ではありますが、それでも年一回は獣医さんに出向いて予防接種を受ける必要があります。どこの獣医さんか良いのか…
毎晩PCと睨めっこする日々が続きました。いわゆるホームドクター捜しです。インターネットのサイトを見たりしながら、頭をひねり続けました。
周りに猫友がいればそこで情報交換もできたのでしょうが、残念なことに彼らが来るまでは近所とのお付き合いも全く無かったわが家。結局、隣駅まで足を運んだりして、病院の雰囲気を外からチエック。
患畜さんが引っ切り無しに出入りしているかをチェックしながら病院を絞り込んで行きました。彼らがいなければ、決してしなかったことです。日常の生活が大きく変わったことの一つでした。
買い物に行けば、必ずペットコーナーに一番に立ち寄り、街を歩けば物病院の看板を目で探す。こんなことは、彼らを迎えるまでは考えたこともしたことも無かったことでした。子猫達を迎えたことで、今まで縁がなかった世界の扉が開かれたと言うわけです。 でも、変わったのは実は行動だけではなかったのです…
とろける心
ドン・ファンとレオンが来て、日常生活で変わったことはいくつもあります。 その最たる物は、『家に帰る楽しみ』だったと感じています。「待っている子達が居る!」これは本当に大きな楽しみでした。
帰ったら、こんなことを話そう、こんなことを聞こう、と。擬人化し過ぎていると笑われそうですが、これって結構多くの方が感じていることではないかと思っています。
確かに朝きれいに片付けていった物が帰ったら散らかっていたなんてことはしょっちゅうありましたが、それも二匹が元気で遊んでいた証拠。満員電車に揺られてたどり着いた家の玄関に出迎えがあるというのは毎日の楽しみでした。
玄関のドアを開けて、ベビードア越しにまっすぐ見つめてくれる四つの目を見るのは平日の大きな癒しでした。すべての疲れを吹き飛ばしてくれる力がそこにありました。
喋る言葉こそ違えど、「目は口ほどに物を言う」。最高のお出迎えが毎日そこに居てくれる。心がとろける瞬間が毎日確実に味わえるのです。
たとえ、本当は「お腹空いた、早くご飯!」と言っていても、それでもうれしいお出迎えでした。素直な愛情を寄せてもらうことで、こちら側もそれに素直な心で応じる。猫達が来るまでは毎日そんな気持ちを持てたことは無かったことだけは確かです。
変わる人間模様
子猫がいるとハプニングも多々あります。傍若無人とでも言うべき振る舞いは子猫時代特有のものかもしれません。でも、実は大きくなっても子猫の頃の部分もずっと持ち続けているのだと思います。
天真爛漫さは、大人になってしまった自分たちが失ってしまったものをもう一度取り戻す手助けをしてくれたような気がします。今までは開封したら捨ててしまっていた段ボール箱。
それに、ちょっと細工を施して猫達が遊べるようにしたり。小学校の図工の時間以来かもしれません、こんなことしたの。(図工の成績がわかるほど、進歩がない細工ではありますが…) 「誰かに喜んでもらえたら…」何て気持ちで何かをするのを長いこと忘れていた気がします。
気のせいか笑うことも多くなりました。家族の会話も、猫中心になりました。仕事で嫌なことがあっても、レオやドン・ファンと達と遊んでいるうちに、「明日は明日の風が吹く」といつの間にか思えるようになっていました。
猫達は『今を生きている』、明日のことはおろか1分先のことも考えていないだろうと。特に子猫のレオンは目の前の猫じゃらしを追いかけ、段ボール箱に潜り、眠くなったらその場でコテっと寝る。本当に自然体の日々を送っていたのですから。
人の生活の中に子猫達が加わったのか、子猫達の生活の中に人が入れてもらったのか… 彼らに癒され、自分も気がつけば前より少しだけ人に優しくなれるようになった気がします。
労ってもらえることの嬉しさが、今度は他の誰かに対してお裾分けできるようになったと言うことなのかもしれませんね。
小さくて、守るべき相手が居るということが自分の気持ちを優しいものにしてくれた。 彼らと出会えたことに感謝です。
そして今…
ドン・ファンとレオンはわが家で暮らし、虹の橋を渡りました。でも、縁がありレオンは彼の子孫をわが家に残してくれました。ひい孫もレオンと同じ遊びを楽しみながら大人になりました(本当は大抵の子猫が段ボール好きなだけなのかもしれませんが…)。
子猫を迎えての生活は、おとな猫を迎えての物とはまた違った楽しみがあります。おとなはおとな、子供は子供ということは確かですが、一緒に暮らす人達が相手の中にどれぐらい子猫の部分を見つけることができるのかが、もしかして一番大事なのかもしれません。
人は子猫やおとな猫の中に自分の失くしてしまったものを探そうとしているのかもしれませんね。たぶん一つだけ確かなことは、素敵な相棒に出会えて一緒に暮らせたら、その時間はきっと自分が自分らしく居られる。
猫との暮らしってそんな風に心に優しさをもたらせてくれるものだと思います。
子猫と一緒に暮らしたいと思っている方に、どうぞ素敵な出会いがありますように。