ゴールデンレトリバーと室内で暮らすための7つの基礎知識

ゴールデンレトリバーは流れるような長い毛が魅力の大型犬です。人懐っこくて賢くて、頼りになるという性格のおかげで、ペットはもちろん、介助犬や盲導犬としても人気の犬種です。友好的で誰とでも打ち解けられるので、室内で飼うには最適な犬だと言えます。

ゴールデンレトリバーを初めて室内で飼う場合、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?あなたのゴールデンレトリバーが室内でご家族と一緒に快適に過ごせるポイントをご紹介していきます。

1.ゴールデンレトリバーってどんな犬?

ゴールデンレトリバーの起源は19世紀のスコットランド。ツウィードマウス卿が複数の犬種の交配をして生み出した大型犬種です。狩猟犬や運搬犬として開発され、飼い主が仕留めた獲物を咥えて持ち帰ることができるよう、全体的にがっしりとした体形になっています。高い運動能力とスタミナを兼ね備え、陸の上でも水の中でも獲物を捕まえて来るほどの体力の持ち主です。

体重はメスで25~32㎏、オスの場合は30~34㎏ほどにまで成長します。生まれた時の体重がおよそ400gなので、成犬になるとその8倍ほどの体重です。体高(4本足で立っている状態で床から背中のてっぺんまでの高さ)もメスとオスで差があり、それぞれ51~56㎝、56~61㎝ほどになります。

ゴールデンレトリバーと聴くと金色の毛を思い浮かべるかもしれませんが、ライト・ゴールドやダーク・ゴールド、白っぽいクリーム色など様々な色のゴールデンレトリバーがいます。目の色は濃い茶色が一般的で、くりっとしたアーモンド型の目が優しい表情を作ります。耳は大き目のたれ耳です。

昔から家族の一員として人間とともに生活しているため、非常に友好的で仕事を与えると喜んで行います。飼い主への忠誠心が高くしつけがしやすいので、子犬の頃からうまくしつけをすると大きくなっても子供や他の動物との共存ができるようになります。また常に誰かと一緒にいることを好み、一人になることを嫌う傾向にあります。

2.ゴールデンレトリバーのご飯の頻度と1回あたりの量

ゴールデンレトリバーに与える食事の量は、成長ステージごとで異なります。下記の表を参考にして毎日与える餌の量や頻度を調整していきましょう。

新生児期
(生後3週間~30日)
幼年期
(生後30~90日)
少年期
(生後90日~6ヶ月)
餌の種類 離乳食 子犬用の普通食 子犬用の普通食
食事量/回 100~300g 300~370g 370~410g
回数/日 4回(朝、昼、夕、夜) 4回(朝、昼、夕、夜) 3回(朝、昼、夕)

 

青年期(生後6ヶ月~1年6ヶ月) 成犬(生後1年6ヶ月~7年) 老犬
(生後7年~)
餌の種類 成犬用 成犬用 老犬用
食事量/回 400~450g 350~420g 350~420g
回数/日 2回(朝、夕) 2回(朝、夕) 2回(朝、夕)

これに併せておやつも与えることがありますが、与えすぎには注意が必要です。ゴールデンレトリバは食欲が旺盛で食べ過ぎる傾向にあるので、餌やおやつの与えすぎは肥満につながります。

また、新生児期から少年期の間はまだ内臓の機能がしっかりしていません。この時期に成犬用のフードを与えたり、ジャーキーなど消化しにくいおやつを与えるのは控えましょう。新生児期は基本離乳食ですが、手に入らない場合はドライフードを犬用のホットミルクで柔らかくして与えることをおすすめします。

ペットショップやブリーダーなどからゴールデンレトリバーを譲り受けるのは少年期に入ってからが一般的です。この頃になると普通のドッグフードが食べられるようになっていますが、あまり硬いフードは歯が乳歯のため嚙み砕くのが難しかったり消化不良を起こしたりします。フードを与えるときは水である程度ふやかしてから与えましょう。また、いきなりフードの種類を変えると下痢や嘔吐を起こす原因になってしまいますので、譲り受ける際にどんな餌を与えているのか確認しておくことをおすすめします。

生後6か月以降は成犬用のドライフードをそのまま与えても問題ありませんが、犬によってはまだ消化器官が未熟な場合もあるので様子を見ながら与えてください。別の種類のフードを与えるときは、なるべく以前与えていたフードと混ぜて与えることが大切です。突然切り替えてしまうと、いつもと違った成分でお腹の調子が悪くなり、下痢・嘔吐をしてしまう可能性があります。

老犬になると噛む力と消化器官が弱まってくるので、必要であれば少年期と同様にフードをふやかして柔らかくしてから与えましょう。老犬用のフードの中には食欲が落ちる頃に備えてカロリーを高くしているものがありますので、与えすぎには注意が必要です。

3.ゴールデンレトリバーを室内で飼うなら毎日の散歩が必須

狩猟犬として活躍していたゴールデンレトリバーは、ずっと室内に閉じ込められると強いストレスを感じてしまいます。散歩や運動の機会が少ないと、精神的なストレスや運動不足で問題行動を起こしたり、体調不良を起こしたりします。ゴールデンレトリバーを室内で飼うのであれば、毎日適度な散歩と運動が必要であることを肝に銘じておきましょう。

幼年期までの散歩は”社会化”が目的!

ゴールデンレトリバーは人間に懐きやすい性格ですが、やはり子犬の頃から外に出て色んな人や物に触れ合う機会を持つことが大切です。子犬だからとずっと家の中にいると、大きくなって外に出てみると警戒心や恐怖心から臆病になってしまう可能性があります。しかし免疫がまだ出来上がっていない子犬をいきなり外に連れ出すのは心配なので、散歩デビューするまでにワクチンを接種しておきましょう。

地面で歩かせると菌やウイルスなどの病原体に触れてしまわないよう、抱っこしてお出かけすることをおすすめします。散歩中になるべく知らない人に会わせたり、車や大きい音に慣れさせるようにしましょう。

1日2回の散歩と運動を心がけよう

ゴールデンレトリバーは結構な運動量を必要とするため、ずっと室内に閉じ込めたり短い散歩だけだとストレスを溜めてしまいます。散歩は1日に朝・夕の2回行い、各30分~1時間ほど時間を設けましょう。

散歩は運動にはなりますが、自由に走り回ることができないため、ゴールデンレトリバーにとっては物足りません。散歩中にボール遊びなどで走り回れる環境を作ってあげましょう。ドッグランで遊ばせることも良い運動になります。ただし子犬のうちはまだ骨格がしっかりしていないので、様子を見ながら散歩や運動の時間を決めましょう。

狩猟犬として活躍してきたゴールデンレトリバーは、アウトドアでの遊びも大好きです。海や川など自然があふれている場所に連れていき運動させると喜びます。

4.ゴールデンレトリバーを室内で飼う際のトイレトレーニング

ゴールデンレトリバーを室内で飼う場合、家の中でも排泄ができるようにトイレトレーニングを行いましょう。家ではさせずに散歩がてら排泄させるという方法もありますが、天気の悪い日などに外に出せない時に困りますし、長時間家を留守にする場合に排泄ができないと膀胱炎などの原因になります。

トイレトレーにトイレシートを敷き、室内に排泄しても構わない場所に置きます。トイレであると認識させるために、シートの上で排泄させるときは「ワン・ツー」や「おしっこ」、「うんち」などコマンドを決めて使います。

シートに排泄できた時は、思いっきり褒めてあげましょう。ご褒美におやつをあげても問題ありません。ゴールデンレトリバーは賢い犬なので、成功体験をさせることで正しい行いができていると理解しやすいのです。逆にシートとは別の場所で排泄してしまった際には、叱るのは良くありません。叱ってしまうと構ってもらえると勘違いして、注意を引きたいときにわざとシートとは別の場所で排泄するようになってしまいます。トイレを失敗したときは、反応することなく片付けましょう。

トイレを失敗したときは、その場所を匂いが残らないようにしっかりふき取る必要があります。匂いが残っていると、再度同じ場所に排泄してしまうことがあるからです。

5.ゴールデンレトリバーのブラッシングとシャンプーの方法

ゴールデンレトリバーは長い輝くような毛が魅力の犬ですが、それは日々の手入れをきちんと行っているからこそ現れます。毛の手入れを怠っていると綺麗な毛並みが台無しになるだけでなく、毛玉ができたり汚れやフケなどが溜まって衛生的にもよくありません。また、ブラッシングをこまめに行うことで病気の早期発見にもつながります。

室内でゴールデンレトリバーを飼うとなると、毛がものすごく抜けるためにあっという間に家の床や家具などに毛がついてしまいます。掃除の手間を省くためにも、毛のお手入れは最低でも週に2回行うようにしましょう。

ゴールデンレトリバーのブラッシングの方法

1.ピンブラシを使って毛の流れに沿って全体をほぐします。
2.スリッカーブラシで身体の内側の毛も丁寧にブラッシングします。
3.コームで毛を整えます。

ゴールデンレトリバーのシャンプーの方法

ゴールデンレトリバーのシャンプーの頻度は1か月に1回程度で十分です。あまり頻繁にシャンプーをすると乾燥して皮膚病を招く恐れがあります。

1.毛を濡らす前にブラッシングをして余計な毛を取り除きます。
2.ぬるめのお湯でシャワーヘッドを身体に押し付けるようにして後ろから頭までを濡らしていきます。
3.犬用シャンプーで丁寧に身体を洗い、頭から洗い流します。
4.タオルで水気を十分に取り、ドライヤーを使って毛をめくりながら乾かしていきます。
5.コームで毛を整えて終了。

6.ゴールデンレトリバーがかかりやすい病気

股関節形成不全

股関節形成不全はゴールデンレトリバーに多い病気です。股関節の発育に異常が出る病気で、生後6か月以降から徐々に症状が顕著に現れます。ゴールデンレトリバーの場合、以下の症状がみられたら股関節形成不全を疑って良いでしょう。

・腰を左右に振りながら歩行する(モンローウォーク)
・うさぎ跳びのようなしぐさをする
・股関節の脱臼
・運動したがらない
・座る、横になる際に後ろ足を折りたたみにくそうにしている

先天性の股関節形成不全を持つゴールデンレトリバーがいますが、子犬の期間や成犬になってからでも発症することがあります。後天的に発症する場合、肥満や運動のし過ぎが起因していることが考えられます。

また、犬にとって滑りやすい床も股関節形成不全を引き起こす要因になります。ゴールデンレトリバーがよく通る道にはシートを敷いてあげると良いでしょう。

胃拡張胃捻転症候群

胃拡張胃捻転症候群は胃の中でガスが増え、胃がねじれる病気です。ガスで胃が拡張されると血管が圧迫され循環不全を起こし、最悪の場合死に至ります。症状として腹部が急激に膨らんだり大量のよだれが出たります。

餌を食べた直後に運動すると発症しやすく、応急処置が遅れると犬を死に追いやってしまう恐ろしい病気です。ご飯の後は必ず時間を置いてから運動させるようにしましょう。
ゴールデンレトリバーの室内飼いにおすすめのケージ

ゴールデンレトリバーの子犬を迎えるときに用意するものの1つにケージがあります。まだ小さいからと小さめのケージを購入しても、犬はすぐに大きくなってしまい役に立たなくなってしまいます。買い替えなくても良いように、最初から大型犬用のケージを購入することをおすすめします。

ケージにはいくつかのタイプがあり、上が開いているものや中から外が丸見えのものがありますが、ゴールデンレトリバーの習性を考えるとプラスチック製のクレートがおすすめです。

クレートだと狭い空間に閉じ込めているように見えてしまいますが、もともとゴールデンレトリバーは巣穴で生活していたため、中から外が丸見えのケージよりもクレートタイプのケージの方が落ち着くのです。また、クレートだと旅行などで犬を運ぶ際にも使えるのでとても便利です。

いくら巣穴で生活していたゴールデンレトリバーとはいえ、長時間ケージの中に閉じ込めているのはよくありません。基本的に飼い主が室内にいる場合や夜寝る前までは、ケージの外に出してあげましょう。

7.ゴールデンレトリバーの室内飼いに役立つグッズ

マルチマット

ゴールデンレトリバーは狩猟犬として使われていたため、2~3才までは室内でも活発に動きます。家の床が滑りやすい材質だと、股関節に悪影響を与えてしまいます。その場合はマルチマットを敷いておくと滑りにくくなり、足腰への衝撃を軽くすることができます。集合住宅で飼われる場合でも、マルチマットを敷いておくことで防音効果が見込まれ安心です。ゴールデンレトリバーが年を取って歩きづらくなったときも、マルチマットがあると床から起き上がるのが楽になります。

デンタルコットン

ナチュラルコットンでできており、引っ張ったり噛んだりすることで自然と歯と歯ぐきの掃除になり、ストレス解消にもなります。ゴールデンレトリバーは噛み癖が多い犬ですが、デンタルコットンは丈夫にできているため、長期間使用することができます。汚れたら洗濯できるので、飼い主さんにとってもありがたいのではないでしょうか。

ジェットバスター

ゴールデンレトリバーは毛が長くダブルコートなので、ブラッシングに時間がかかります。しかし、ブラッシングが大変だからと怠っていると、室内が毛だらけになってしまいます。短時間で抜け毛を取り除きたいという方には、1本でピンブラシとシェットバスター刃が付いているトリミングブラシ、シェットバスターがおすすめです。シェットバスター刃で全体的に抜け毛を取ったあと、ピンブラシで浮いた毛を取り除くことができ、より効果的なブラッシングが可能です。

ゴールデンレトリバーと一緒に室内で快適に過ごそう

ゴールデンレトリバーは賢く人懐こい性格であることから室内で飼いやすい反面、室内環境が整っていなかったり散歩・運動をさせないと、ストレスを抱えて問題行動を起こしたり病気になってしまうことがあります。これからゴールデンレトリバーを家族の一員として迎え入れる際には、今回ご紹介した内容を参考にして、ゴールデンレトリバーとともに快適な生活を送ってください。