ダックスやプードル、ビーグルと垂れ耳の犬を家族に迎える時、ペットショップや動物病院から定期的な耳掃除の必要性について指導をうけるでしょう。
同時に耳掃除専用用品を購入し、いざ自宅で耳掃除をと思っても子犬が想像以上に嫌がる、暴れるという状態になり思うようにお手入れができないものです。この耳掃除嫌いは、日々の子犬とのふれあいで簡単に克服出来ます。
今日は子犬の耳掃除についてご紹介しますので参考にしてください。
垂れ耳の犬に耳のトラブルは必須
耳が垂れている犬種は、日々の生活の中で耳の内部が蒸れ、汚れが溜まりやすい構造をしています。その為、耳をめくってみると内側に黒い汚れがたくさんついていたり、耳から握手がする事もあります。
この状態を放置してしまうと次第に症状が悪化し、外耳炎、中耳炎、内耳炎と症状が進みます。初期の外耳炎であれば、日々自宅で耳掃除をし、点耳薬を使用すれば2週間程で完治します。しかし中耳炎、内耳炎と症状が悪化してしまうと、動物病院で切開手術が必要になることもあり、その後のケアも大変なものになります。
耳の汚れは早期発見、早期治療で日々のケアで予防に努めましょう。
子犬の耳掃除嫌いは、警戒心が原因
子犬は好奇心が旺盛で、物事を怖がることもなくやんちゃな反面、とても警戒心が強く、初めてのこと、不快感が伴う事を極度に嫌がります。その為、家族に迎えた直後からこの点を意識したふれあい、しつけをつづける必要があります。
日ごろ、子犬とふれあう時、無意識ながらも次の箇所を触ってしまうのではないでしょうか?
①頭
②背中
③腹
を触りがちです。その半面、下記の場所を触る機会はほとんどないのではないでしょうか?
①尾
②耳
③口周り
④足先
は触ることがないでしょう。
つまり子犬は頭や背、腹に人間の手が近づいてきても、当たり前と感じなんらきにしないものです。でも耳や口周り、尾、足先に人間の手が近づくと、何かされるのでは?警戒をし嫌がり、逃げようとします。
この嫌がる、警戒心をもったまま成長してしまうと、成犬になり体形も力も大きくなった状態で暴れ、手には負えないほどになることもあります。
このような問題を解決するためには、抱っこや遊びの最中にあえて耳、口、尾、足先に触れるように心がけておきましょう。
抱っこをしているときに軽くこれらの部位に触れるだけでも効果があります。これらの部位を触る必要が出る時は次のようなシチュエーションがあります。
①歯磨き
②耳掃除
③爪切り
④尾先の怪我、ブラッシング
などです。これらのお手入れは日々必要になるもので、家庭でもスムーズに出来るように習慣づけておくと安心です。
子犬の耳掃除はまずは乾いたコットン
犬の耳掃除の手順は次の通りです。
①汚れを拭き取る
乾いたコットンで耳内部の汚れを軽くふき取る。
②専用ローションで汚れを落とす
専用のローションで湿らせたコットンで内部の汚れをしっかりと拭き取ります。この時、強く耳をこすってしまうと薄い耳の皮膚を傷つけてしまうことがあるので注意が必要です。取りにくい汚れはコットンを小まめに交換し、ローションでしっかりと湿らせてから取り除きます。
③被毛が多い犬の場合は?
プードルなど耳内部の被毛が生えている犬種の場合は、先に専用パウダーを耳内部にふりかけ、被毛を引き抜きます。その後ローションで汚れや残ったパウダーをふき取ります。
④自然乾燥
犬の耳掃除専用のローションは速乾性です。お手入れ後は自然と乾燥します。
(専用ローションの代わりに水を使用すると、完全に乾燥するまでに時間がかかり、耳内部が蒸れ、かえって耳内の状態が悪化します)
まだ耳掃除に不慣れな子犬の場合、次のような点注意してみましょう。
①まずは乾いたコットンで耳内部に軽く触れる
②綿棒などで耳内部をかるく刺激する
この手順から慣らします。初回から専用ローションを使用してしまうと、ローションの触感と耳内部に響く音で不快感、警戒心が増し一度で耳掃除嫌いになってしまいます。まずは、家族に耳に触れられること、耳内部をかるくこすることから慣らしましょう。
また生後半年程までの子犬はなかなかじっとしている事が出来ません。飼い主が耳掃除をしようと思い、子犬を抱き上げたりすると途端に暴れ出し耳内部に触れる事も難しいでしょう。
このような時は、まずはコットンを飼い主の指に巻き付け、耳の入り口付近に軽く触れる事から始めましょう。ペット専用の綿棒の市販されていますが、細く、長い綿棒は咄嗟のタイミングで耳に刺さってしまう危険性があります。まずは子犬が耳掃除の間じっとしていられることから練習を始め、次第にステップアップを目指しましょう。
子犬でも耳ダニの感染
健康な犬の耳内部の皮膚の色は薄いピンク色です。血管がすけて見える程に皮膚は薄く、透き通っています。しかし外耳炎などの耳トラブルを患っている場合、耳の内側の皮膚が赤く炎症をおこしていたり、紫がかった色に変色している事もあります。
犬の耳に関する病気には、耳ダニという病気もあります。これは耳内部にダニが寄生し、耳内部の汚れを食べて繁殖をする病気です。
次のような症状が出てきます。
①とても強いかゆみ
②悪臭
③黒くべた付いた汚れ
などです。
この病気は不衛生な環境や他犬から感染します。子犬が繁殖された環境が不衛生な場合やすでに感染している犬と触れ合いを持つ事で感染が拡大します。
この耳ダニに感染すると、自然治癒や自宅でのケアだけでは完治が難しいものです。必ず動物病院を受診し、駆除薬の処方を受ける必要があります。
耳ダニに感染している場合、自宅で耳掃除をしても翌日にはもう耳の内部に黒い汚れが溜まっているなどのサインがあります。このような異常な頻度で耳が汚れる場合は、早期に動物病院を受診しましょう。
子犬の耳内部をシャワーで洗うは禁物
子犬の耳内部の汚れが気になる、強い臭いがあるという時に安易にシャワーやシャンプーで洗ってはいけません。小さな子犬を自宅でシャンプーをする機会がある場合、耳の内部もと考えてしまうこともありますが、この方法はかえって症状を悪化させ、中耳炎や内耳炎を引き起します。
犬の耳は本来雨が入り混まない構造になっています。また雨などの水が入り混んでも軽く頭を振るだけで外へ放出することができるようになっています。つまりシャワーの強い水流で故意に水を流しいれてしまうと、内部に水分が残ってしまいます。
シャワー、シャンプーをする時は、耳の内部ではなく入口付近のべた付き、耳の周りの被毛をしっかりと洗い上げるだけでも悪臭対策に効果があります。
すでに極端に嫌がる傾向にある子犬の耳掃除
犬は一旦苦手意識をもってしまうとなかなか払拭できず、繰り返し耳掃除をする事でますます嫌がるようになります。
でも耳が垂れている犬にとって、どんなに耳掃除が苦手でも耳掃除をしないで済ませるという選択肢はありません。安全に済ませる方法を模索し、定期的な耳掃除をつづけましょう。
耳掃除が大の苦手な場合は次のような工夫をしてみましょう。
①エリザベスカラーを使用する
エリザベスカラーの隙間から、片耳ずつ外へ出し、耳掃除を済ませます。この時、エリザベスカラーの前方に手を入れなければ噛みつかれる事はありません。
しかし犬にとっては拒絶をしても尚耳掃除をつづける事に興奮し、激しく暴れる事もあるので、しっかりと補ていをし、耳掃除を行いましょう。
②ガムなどで注意をひきつけておく
2人体制で耳掃除が出来る場合は、耳掃除をしている間はガムやおやつで気を反らすという方法があります。この時、ガムやおやつに集中している間に終える事が出来るように手早く済ませます。一度に両耳の掃除が難しい場合は、一日片耳ずつと考え交互に掃除を済ませてもよいでしょう。
③トリミングショップや動物病院に依頼する
耳掃除が嫌い、警戒心が強い犬の多くは憶病な性格です。家族が相手の場合は強気に出る事があっても、トリミングショップや動物病院では意外にも大人しく処置を受ける事があります。
暴れる、噛みつくからと周りへの迷惑を考え、専門家に依頼することを躊躇するのではなく、逆に専門家に相談をする、頼ると考えてみるとよいでしょう。
犬自身に専門家の手際のよい耳掃除に慣れると、次第に耳掃除への不快感が薄れ始め自宅でのケアを受け入れてくれるようになります。
さいごに
犬の耳掃除は、生涯を通じて定期的に行わなければならないお手入れです。子犬の時期に意識をしてふれあいの機会を持ち、耳に触れられることへの警戒心を払拭しておいてあげると愛犬の余計なストレスを軽減出来、自宅でスムーズにお手入れを済ませる事ができます。
ふれあいの時は、決して子犬を叱ったり、何かを無理強いすることをせずに、安心感と快適さを感じられるように心がけてあげましょう。