柴犬は日本犬の中でも小型犬の部類に入るので、飼いやすく人気のある犬種です。
昔は番犬と言うイメージが強く、飼い主以外にはなつかず、気が強いと思われていましたが、最近は室内飼いされている柴犬も多く、番犬と言うイメージは少なくなっています。飼い主には従順で、賢い柴犬はとても飼いやすく、日本だけでなく海外でも人気があります。
愛くるしく、魅力的な柴犬ですが、実はとても抜け毛が多いという事をご存知ですか?
柴犬は、短毛種で一見硬い毛質だと思われがちですが、実は「ダブルコート」といって、上毛の硬い「オーバーコート」と下毛の柔らかく、ふわふわとした「アンダーコート」に分かれています。
柴犬の抜け毛の原因
オーバーコートは地肌を雨や雪、刺激から守る役目をしていて、しっかりとした毛で表面を覆っています。一方アンダーコートはオーバーコートの下にある毛で、体温調節や紫外線から地肌を守る役目をしています。
柴犬は春先からと、夏の終わりからの1年に2度、換毛期と呼ばれる時期があります。この時期はこれでもか!!と言うほど毛が抜けます。抜けるのはアンダーコートのほうで、抜けるとふわふわと部屋中に漂ってしまうので、毎日の掃除が欠かせません。
換毛期はブラッシングが毎日必要になってきます。モコモコと表面に出て来る抜けた毛や、抜けかけた毛は“死毛”と言って、そのままにしておくと、蒸れの原因になり皮膚病を引き起こしてしまいます。
ブラッシングをすることは、表面に付いた汚れを落とすだけでなく、飼い主さんとのスキンシップを深めたり、マッサージ効果で血行を良くして新陳代謝をあげる働きがあります。
そして、目で見るだけではわからない、怪我や腫瘍の確認ができます。換毛期は毎日、それ以外の時でも、週に1~2回はブラッシングをしてあげましょう
柴犬は特に皮膚病にかかりやすい犬種
柴犬は日本犬なので、日本の風土とも馴染みやすく、病気に強い犬種だと言われていますが、アトピー性皮膚炎などの皮膚のトラブルが起こりやすい犬種です。
犬にもアトピー性皮膚炎があるなんて、信じられないかもしれませんよね。アトピー性皮膚炎も抜け毛の原因になります。アトピーのほとんどは1歳~3歳までの若い柴犬に発病するケースが多いようです。
症状としては、お腹、顔、目の周り、脇の下、手足の先などいたるところが赤くなって炎症を起こしていたり、湿疹ができたり、フケがでたりします。とても痒がって、後ろ足でかきむしったり、体を地面や床に擦り付けたり、痒みのある部分を頻繁に舐めたり、小刻みに噛むような仕草が見られます。
まだらに毛が抜けてきたり、皮膚が黒ずんで見えたりしたら、早めに病院につれて行ってあげましょう。特に換毛期と時期が重なってしまう時は、アトピーが原因の抜毛なのか、単なる換毛期なのかの見極めが大切です。愛犬が痒くて苦しんでいるのを見るのは辛いですからね。
アトピー性皮膚炎と診断されると、完治することは難しいですが、適切な処置で症状はかなり改善することができます。
シャンプーは保湿ができる物を選んであげて、皮膚自体が乾燥しないようにしましょう。乾燥すると余計にかゆみが増して、かきむしってしまいアトピーを悪化させてしまう恐れがあります。
少しでもおかしいと思ったら病院で診てもらう事をおススメします。
食物アレルギーによる皮膚炎
食物アレルギーにも注意が必要です。食物アレルギーの症状としては目の周り、足、お腹など全身に赤く発疹ができ、時には下痢を伴う事もあります。
普段食べているフードに何らかのアレルゲンが含まれていて、それを食べる事で発症してしまいます。痒がって掻いてしまい、その部分の毛が抜けてしまうこともあります。
治療としては、アレルギー専用のフード以外は与えないようにして様子を見ます。湿疹やかゆみが収まった後でも、今後の予防のためにアレルギー専用のフードは続けていく必要があります。
おやつもアレルギー専用の物を選んであげてください。
毛がふさふさしている柴犬が肌のトラブルで毛艶が悪くなり、スカスカの毛並みになってしまったら可愛そうですよね。そうならないためにも、しっかりとしたケアが必要です。
草むらには要注意!ノミによるアレルギー
ノミアレルギー性皮膚炎にも注意が必要です。ノミは草むらにいて、お散歩中に犬が草むらに入ることで、ノミが付いてしまいます。症状としては、背中から尻尾に付け根と、お尻にかけて強いかゆみを伴った湿疹ができます。
市販のノミの予防薬を使っている人もいるかと思いますが、安心はできません。市販されている予防薬は医薬品ではないので、効果は余り無いようです。必ず動物病院で処方された駆除予防薬を毎月定期的に投薬して、ノミの駆除と予防をしましょう。
また、犬に付いたノミが家の中に落ちてしまっていることも考えられるので、家の掃除も大切です。ノミの予防は季節に関係なく行うことが大事です。
ホルモン異常によって毛が抜ける事もある
副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモン、成長ホルモンに何らかの異常をきたした時にも、抜け毛を引き起こすときがあります。
ホルモン異常によって毛が抜ける場合は左右対称に抜けるのが特徴です。この場合も早めにお医者さんにつれて行って、診察をしてもらいましょう。
柴犬の抜け毛が多い時期と対処法
先程も書きましたが、柴犬はとても抜け毛が多い犬種です。換毛期は年2回ありますが、柴犬のようにダブルコートの犬は、2月位から抜け始め、冬の間に寒さから守っていてくれたアンダーコートがごっそりと抜け落ちる4月から7月に抜け毛のピークを迎えます。
この時期の抜け毛の量は半端ではなく、1回のブラッシングで家庭用の45Lのゴミ袋一杯になるほどです。本当にこれでもか!というくらい、面白いように抜けます。綺麗にブラッシングをした後は、一回り小さくなるくらいなんですよ。
そして9月位から秋の換毛期が始まり11月にピークを迎えます。ただし、ピークを迎えた後も、しばらくは少しずつ抜け続け12月位まで続きます。この時期の抜け毛は春先程では無いですが、それでも結構な量が抜けます。冬に備えてアンダーコートが密集して生えてくるためなんですね。
こうして見ると、柴犬の抜け毛が落ち着いているのは、真冬と真夏のほんの少しの時期だけといえます。また最近は室内飼いされている柴犬も多く、冷暖房の効いた室内にいることで換毛期を問わず年中抜け毛がある場合もあります。
換毛期はアンダーコートがすべてするりと抜け落ちる訳ではないので、抜けた毛(死毛)が残ってしまいます。毎日ブラッシングをしてあげることで、抜け毛を取り除き、通気性をよくしてあげることで、皮膚病などを予防することもできます。
初めて柴犬を飼った人は、とにかく抜け毛の多さにびっくりすると思います。なかには病気なのではないかと心配される人もいるのではないでしょうか?柴犬を飼う時は、抜け毛の多い犬種だと覚悟して、毎年2回の換毛期を乗り切りましょう。
ブラッシング時にあると便利なアイテム
換毛期のブラッシングだけでなく、日々のお手入れにはコームブラシやラバーブラシ、スリッカーブラシ、ファーミネータなどがあります。
コームブラシ
コームブラシは定期的に通してあげることで毛並みがスッキリとします。柴犬の全身に使うことができるので、ブラッシングには必需品といえます。
スリッガーブラシ
スリッガーブラシはコームブラシを通した時に、引っかかってしまう箇所を優しくとかすようにかけます。ただし全身に使えるコームブラシと違って、毛の薄い足や頭などには使わない方が無難でしょう。
スリッガーブラシにはソフトタイプとハードタイプがあります。柴犬にはハードタイプがおススメですが、始めて使う時はソフトタイプから始めましょう。
ファーミネーター
ファーミネータはコームブラシやスリッガーブラシを使ったあとにまだ残っているアンダーコートを処理するために使います。スリッガーブラシ同様、足や頭、お腹など毛の薄い部分への使用は控えます。
ファーミネータは毛並みに沿って優しく撫でるように動かすだけで、面白いようにアンダーコートが取れますが、まだ抜けていないアンダーコートまでも取ってしまうことがあるので注意が必要です。
グルーミンググローブ
手袋型のブラシもおススメです。手袋をつけて撫でるようにブラッシングすると、大量に毛がとれます。犬も撫でられている感覚なので、気持ちよさそうにじっとしています。ブラッシングを嫌がる子には一度試してみるといいですね。
ブラッシングを嫌いにさせない
初めてブラッシングをする時は、嫌いにならないようにすることが大切です。子犬の頃から慣れさせておくと、成犬になってもブラッシングがとてもしやすくなります。
ブラッシングをするのは気持ちいいなと思わせるように、子犬の頃は優しく話しかけながらゆっくりと丁寧にブラッシングをしてあげてください。
初めからキツくこすったり、無理やり引っ張ったりされて嫌な思いをすると、怖がってブラシを見せるだけで逃げてしまうことにもなりかねません。そうならないためにも、最初が肝心です。
ブラッシングは締め切った部屋で
ブラッシングをする時は大量の抜け毛がそこら中舞ってしまいます。ふわふわと舞って近所の洗濯物に毛が付いてしまったなどの迷惑がかからないように、締め切った部屋など多少毛が舞っても大丈夫な場所でブラッシングをしましょう。
お風呂場もおススメです。その場合抜けた毛が排水口に流れて行かないように注意が必要です。
部屋の掃除はこまめにしよう
換毛期だけでなく、柴犬は普段からもよく毛が抜けます。黒い色の服を着ていて、気がつくとあちこちに毛が付いているなんてことはザラです。
そうならないためにも、普段からのお掃除は気が抜けません。アンダーコートは軽くてふわふわしているので、タンスの上やテーブルの上、はたまた食器棚の中にも入っていることもあります。
人が歩いただけでも舞い上がってしまうので、毎日の掃除機は欠かせません。またカーペットやソファーに付いた毛にはコロコロが役に立ちます。
ただし、コロコロはテープの変えなど結構コストがかかってしまいます。換毛期の時はテープがいくつあっても足りないくらいです。
オススメお掃除グッズ
そこでおススメなのが「エチケットブラシ ぱくぱくローラー」です。犬の毛の上で何度かゴシゴシとすると、簡単に毛を取ることができます。
毛はローラーの中に溜まりワンタッチで蓋を開けて捨てることができるので、手を汚すこと無くゴミの処理をすることができます。コロコロのように変えのテープのコストがかからないので、経済的にも優しいのも嬉しいですね。
「エチケットブラシ ぱくぱくローラー」はネットの通販で購入可能です。
抜け毛の多い時期はシャンプーしよう
抜け毛の多い時期はシャンプーをしてあげるのも、スッキリしていいと思います。
シャンプーをすることによって、ブラッシングでは取り除けなかった毛が取れる上に、毛の表面の汚れも流い流され、シャンプー後は毛がふわふわとしてとても肌触りが良くなります。
柴犬にトリミングは必要??
ところで、柴犬にはトリミングは必要でしょうか?柴犬はトイプードルなどのように毛が伸びるという事ははいので、わざわざカットをしたり、ハサミで切る必要はありません。
表面を覆っている上毛も伸びることはありませんし、アンダーコートもそれ以上伸びるということはありません。つまり柴犬をトリミングに連れて行っても、カットして整える 毛が無いのです。
ただし、サロンで「レーキング」をしてもらうのは良いかもしれません。「レーキング」とは換毛期の前後に下毛除法をしてもらうことです。「レーキング」に通うことで、完全ではないですが、大量の抜毛に悩まされることは少なくなるかも知れません。
さいごに
見た目からは想像もできないくらい、抜け毛が多い柴犬。初めての換毛期を迎えた時はびっくりすると思います。一体どれだけ抜けるの?これだけ抜けて病気じゃないの?と心配は尽きないと思います。
確かに柴犬は皮膚の疾患にかかりやすい犬種ではあります。あきらかに普通の毛の抜け方と違ったり、毛が抜けたところに湿疹や出来物ができていた場合や、後ろ足で掻きむしっていたり、同じ場所を舐めたり噛んだりしている時は、何らかの異常があるということなので、すぐに病院で受診してください。
それ以外の、いわゆる普通の換毛期や普段の抜け毛にはブラッシングをこまめにして、常に皮膚を清潔にしてあげることが大事です。
大変な事もありますが、柴犬はそれ以上に何倍も素敵な時間を一緒に過ごせる大切な家族です。愛情を注いで、大事に飼ってあげましょう。