小さくやんちゃな子犬を自宅でお風呂に入れるのは不安と感じられる方も多いでしょう。特に初めて犬を飼うご家庭の場合、犬のお世話の中でもお風呂が一番難しいと感じられるようです。
でもお風呂はぜひ自宅で入れる事が出来るように練習をかさねておきたいしつけです。子犬のお風呂はわずか30分ほどで終わるとても簡単なお世話です。先送りにせず、ぜひ挑戦をしてみましょう。
お風呂に入れるタイミングと控えるタイミング
生後3カ月ほどまでの子犬はとてもデリケートで、疲労やストレスが重なるとすぐに体調を崩してしまいます。特にお風呂に不慣れな場合、お風呂に入れる事で体調を悪化させてしまうこともあるので、お風呂に入れるタイミング、控えるタイミングを見極める事が大切です。
お風呂に入れるタイミングは下記の通りです。
①食欲が安定している
②便の状態が良好(下痢、血便がない)
③咳をしていない
④疲労状態にない(遊び方帰宅直後、前日に遠出をしていないなど)
上記のように元気があり、体調の良い時です。また、食後30分~1時間以上経過しているタイミングが望ましいです。逆にお風呂を控えるべきタイミングは下記の通りです。
①食欲がない
②下痢、嘔吐などの不調がみられる
③薬を服用している
④疲労感がある
⑤脱毛、かゆみ、皮膚トラブルがある
など元気がないときです。子犬は一見元気そうに見えていても、疲労を貯めているものです。前日や直前に外出や激しい運動(ドッグランなど)をした時は、丸一日ゆっくりと休ませたのちにお風呂に入れます。
皮膚トラブルがある場合は、動物病院で診察を受け原因を特定したうえで、お風呂に入れます。原因によっては感染の拡大や症状の悪化を招く事もあるので注意が必要です。
また、一日の中では、午前中にお風呂に入れる事が望ましいタイミングです。朝の散歩、朝食を済ませ一時間以上安静にさせたうえで、お風呂に入れます。
子犬は一日の2/3以上の時間を眠って過ごします。夕方~夜にかけてゆっくりと過ごすことで体調を整えているので、体力的な負担が生じるお風呂は出来る限り早めのタイミングで済ませてあげましょう。
お風呂に入れる日の準備
子犬を自宅でお風呂の入れる時の準備は下記の通りです。
①子犬用低刺激シャンプー
②バスタオル
③ブラシ
④ドライヤー
です。シャンプーは市販の犬用シャンプーの中でも、子犬用もしくは低刺激の製品を選びましょう。子犬の肌はとてもデリケートです。洗浄力や芳香成分よりも安全性を重視しましょう。
バスタオルは、シャンプー後にしっかりと水分を吸収できるように多目に用意します。ブラシは、スリッカーブラシもしくはラバーブラシを用意します。ブラシは洗い前のブラッシングと洗い上がり後の乾燥(ドライヤー)のタイミングで使用します。
また、子犬はお風呂で体が温まると、お風呂の直後にトイレを催します。トイレシーツの準備もしくは洗い上がり後タオルドライを済ませ、屋外のトイレに連れ出してあげましょう。
子犬をお風呂に入れる手順
自宅で子犬をお風呂に入れる時の手順は次の通りです。
①まずはブラッシング
全身をブラッシングし、被毛の絡まり、もつれ、汚れを取り除いておきます。毛玉がある時はこのタイミングで取り除いておきます。
足の甲や裏の被毛が伸びている場合もこのタイミングでカットし、整えておくと乾燥時間の短縮につながります。
②シャワーの準備
浴室でシャワーをします。シャワーの湯音は、ぬるめに設定します。浴室内の湿気、気温が上がりすぎないように換気扇を使用するなど注意が必要です。
③毛全体をしっかり濡らす
シャワーで子犬の全身をしっかりと濡らします。この時、犬種によっては被毛が水をはじく事もありますが、被毛の根元、皮膚にまでしっかりとシャワーの湯が行き渡るようにします。
泥や汚れ、抜け毛がある時は、この段階で洗い流しておきます。まずは背中から尾、胸、腹を濡らし、最後に頭、顔を濡らします。
④体が濡れたら隅までシャンプー
全身をしっかりと濡らした後でシャンプーをつけます。シャンプーは洗面器を使用し、軽く水で溶いておくとスムーズに全身に行き渡らせる事が出来ます。
シャンプーは背中、首、腹、尾、足先と全身に行き渡らせ、皮膚、被毛の根元からしっかりと洗い上げます。この時、意外にも首回り、尾の付け根、後肢の付け根あたりの汚れが酷い事に気がつくでしょう。全身にスムーズに指が滑る様になるまでしっかりと泡立てます。
耳が垂れている犬種の場合、耳をめくった内側に皮脂が溜まり、皮脂がべた付いている事があります。耳の内側、付け根もしっかりとシャンプーで洗い流します。
体が洗い終わったら、最後に頭、顔を泡立て洗います。この時、目や口に泡が入らないように注意をします。
⑤シャンプーをしっかり洗い流す
シャワーで洗い流す時は、体の高い位置から順にシャワーをかけていきます。頭、耳、首、胸、背中、腹、尾、足と流すとすすぎがスムーズに済みます。柴犬などの短毛種の場合、シャンプーのすすぎ残しがありがちなので特にしっかりと洗い流しましょう。
すすぎ終わったら、バスタオルで全身の水滴をしっかりと拭きとります。子犬は想像以上の短時間で体温が低下し、風邪をひいてしまうことがあります。
湿気で高温になった浴室から、エアコンの効いた涼しいリビングへ移動させ、その後にドライヤーと続くだけで体温調節が狂い負担が掛かります。出来る限り短時間で乾燥を終える事が出来るようにバスタオルをしっかりと使いこなすことが大切です。
お風呂に慣れさせるには意味がある
子犬のお風呂を自宅で済ませるには、しつけの面からも大切な意味があります。大抵の犬は本来お風呂が苦手です。自ら進んで全身が濡れるような場面を好みません。
その為、あえて子犬の時期からお風呂に慣れさせておくのです。子犬の時期、家族に迎え入れてすぐからお風呂を習慣化しておくと、お風呂を当たり前のこと、生活の中の流れの一つと理解し、無暗に抵抗をしたり、興奮をする事を予防出来ます。
例えば、プードルやヨークシャテリア、シュナウザーのように今後定期的にトリミングやカットを必要とする犬種の場合、お風呂そのものを嫌がる様ではトリミングショップで過剰に暴れたり、攻撃的な態度でスタッフに迷惑をかけてしまうこともあります。
中には過度な興奮から犬自身に負担が掛かることもあります。そのような犬は次第にトリミング作業全てを嫌がる様になり、なかなか安全、スムーズに作業を進める事が出来ないようになります。
中には、トリミングショップでは大人しくお風呂に入ることが出来ても自宅ではすべてのお手入れを拒否するというタイプもいます。
またカットを必要としない柴犬やコーギー、レトリバーも同様です。カットをする必要がないとなかなか自宅でのお風呂の頻度も低くなりがちで、中には生後半年でまだ一度もお風呂を経験したことがないというケースも珍しくない程です。
愛犬が若く健康なうちは、飼い主の不慣れなお風呂もトリミングショップも難なく受け入れてくれるものですが、次第に高齢になるとトリミングショップでは引き受けてもらえないこと、自宅での長時間のお風呂が負担になることもあります。その為、子犬のうちから愛犬も飼い主もそれぞれがお風呂の入れ方に慣れておく必要があるのです。
またお風呂に入れるという事は、次のようなメリットがあります。
①全身をくまなく飼い主に触れられること
②シャンプーの間はじっとしているということ
③ドライヤーの稼働音に慣れること
など様々な経験を積むことが出来ます。この経験は子犬にとって大きな意味があります。全身どこを触られても嫌がることなく受け入れるという事は犬にとってとても難しい事です。
中には、顔周り、足先、尾などを人間に触られると条件反射的に牙をむいてしまう犬もいます。特に小型犬にこの傾向が目立つので、子犬の頃から余計な警戒心を解くしつけが必要なのです。
自宅で子犬をお風呂に入れる時の注意点
生後間もない時期の子犬をお風呂に入れる時の注意点は以下の通りです。最初からすべてを完全に実行することは難しくても、回数を重ねる中で徐々に実行出来るように心がけておくとよいでしょう。
①洗うだけじゃなく体全体の手入れを
お風呂に入れる時は、爪切り、耳掃除、肛門腺しぼりも同時に行ってあげましょう。
犬のお手入れはシャンプーで皮脂、被毛の汚れを洗い流すだけでなく、爪切り、耳掃除、肛門腺絞りも必須です。お手入れの頻度は月に一度ほどなので、シャンプーと同時に済ませておくと安心です。これらのお手入れも子犬のうちから習慣化しておくことが必要です。
②垂れ耳の犬は耳に注意
垂れ耳の犬は、お風呂に入れる時に、気がつかぬ間に耳に水が入ってしまっている事があります。この水を放置しておくと、耳の内部が蒸れ、外耳炎などのトラブルの原因にもなりかねます。ドライヤー完了後に乾いた綿棒で軽く耳の中を掃除し、残っている水分を取り除いてあげましょう。
③生後3カ月までは風邪の注意
生後3カ月ほどまでの子犬はワクチンの追加接取もあり、まだまだ自身の免疫力が不十分な状態です。お風呂に入れた後で体調を崩したり、風邪をひく事もあるので体調の変化に十分注意を払っておきましょう。
もし過度な下痢、咳、食欲不振などが見られる時は動物病院を受診しましょう。
④所要時間は小型犬で15分~20分、大型犬でも30分以内
自宅でお風呂に入れる時、ついしっかりと洗い上げようという意識が働いてしまい、所要時間が長くなりがちです。
でも子犬にとってお風呂は相当な体力を消耗するものです。出来る限り短時間で手早くすべての作業を終えましょう。ドライヤーを長時間使用してしまうと、熱中症に似た症状が見られることもあるので注意が必要です。
⑤乾かし残し、半乾きは皮膚トラブルの元
やんちゃで動き周る子犬にドライヤーをする事は意外に手のかかるものです。その為、背中だけはしっかりと乾燥したものの、首、尾、足などが生乾きのままで作業を終えてしまうこともあります。
しかし生乾きの状態の被毛は次第に皮膚の蒸れを引き起し、その不快さから愛犬がしつこく舐めてしまうこともあります。被毛が長い犬種の場合、生乾きの被毛は乾燥の途中で絡まり、毛玉になります。被毛はしっかりと根元から乾燥させ、乾かし残しの無いように確認をしてからドライヤーを終えましょう。
⑥犬のお風呂に湯船は不要
犬は人間と違ってお風呂に浸かる必要はありません。自宅でお風呂に入れる時はシャワーで十分です。犬の皮膚には汗腺がありません。犬は肉球にある汗腺を使って体温調節をしています。
溜め湯や湯船に犬を付けてしまうと肉球の汗腺がふさがれ、体温調節が出来なくなり、体温や心拍数が上がり危険です。お風呂に入れる時は、ぬるめのシャワーを使用しましょう。
子犬の時期は、不慣れなこと、じっとしていることが苦手で、お風呂の最中に暴れることや逃げ回ることもあるでしょう。でもしつけという意味でもお風呂はぜひ身に付けさせておきたい習慣です。積極的に自宅でのお風呂に挑戦しましょう。
まとめ
子犬のうちから自宅でお風呂に慣れさせるのは清潔な体を保つためでけではなく、将来トリミングをする際のトラブルを避けるために欠かせないしつけでもあります。
小さいうちからシャワーやシャンプー、ドライヤーに慣れておきましょう。
子犬のうちのお風呂は子犬の体調を良く観察して元気なときに入れてあげましょう。体を洗うだけでなくブラッシング、爪切り、耳掃除などのケアも一緒にしてあげましょう。
今日ご紹介した子犬のお風呂の入れ方を参考にしていただき是非チャレンジしてみてくださいね。