わんちゃんたちにとって楽しみでもあるのがごはんの時間といえるでしょう。
楽しみの時間なだけでなく、飼い主さんとわんちゃんたちのコミュニケーションを取れる時間でもあり、健康につながる大切な時間でもあります。
しかし、ドッグフードの選び方を一歩間違えてしまうと、健康に関してもわんちゃんと飼い主さんの関係に関しても乱れてしまう可能性があります。
そうならないためにも、きちんと正しい与え方を確認してみてくださいね。
ごはんを与える際に大切なこと
ドッグフードの量
まずドッグフードの量を適切にすることはとても大切でしょう。
その子によって、ごはんに対してあまり興味のない子、いくらでも食べたい子、美味しいものだけ食べたい子、様々だと思います。
しかし、その子の食べたい量を毎回あげていては、健康面で問題が出てしまいます。
人間と同じで、わんちゃんにも日々の生活を送るのに最低限必要なカロリーというのがあります。
ドッグフードのパッケージの裏面を見てみてください。
表のようなものが書いてありませんか?
これは目安にはなりますが、わんちゃんの体重ごとに摂取すべきドッグフードの量が書いてあります。
まずはこの量に従ってドッグフードの量を決めてみるといいでしょう。
あくまでも目安なので、その子によって少し食べきれなくなってしまったり、その量では体重が痩せてしまうということもあります。
食べきれない場合は、少量減らし食べきれるようにしてみたり、足りない場合は体重をこまめに量りながら調整していく必要があるでしょう。
その際にも気をつける必要があり、1日量で書いてあるのか1回量で書いてあるのか、きちんと読まねばなりません。
1回量だと思ってたくさんの量あげていたら実は1日量でヒヤッとした経験のある飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
与えれば与えただけ食べてしまう子もいますので、肥満に繋がってしまう可能性もあります。
気をつけましょう。
ある程度は安定してきたら、健康管理のためにも食べきれるように毎回同じ量を与えられると良いと思います。
ドッグフード用の計量カップやスプーンで毎回与える量の部分に線を引くなどして、誰がいつあげるときでも全く同じ量になるようわかりやすくしておくと、食欲の有無や、きちんと食べているのに体重が減ってしまうなどの体調不良から発するSOSをいち早くキャッチできます。
与える時間
与える回数や間隔もとても大切です。
小さいうちにお迎えした仔犬ちゃんがお家にいる飼い主さんたちは1日3回ごはんを与えている方が多いのではないでしょうか?
また、大人になってからも動物病院でごはんの回数を増やしてドッグフードを少量ずつ与えることなどを指示された経験のある方もいるのではないでしょうか。
きちんとこれらには意味があります。
月齢の若い子犬たちは、代謝も活発で、成長など常にエネルギーを必要としています。
大人のように1〜2回のごはんではエネルギーの消費が摂取したエネルギーを上回ってしまって、低血糖と呼ばれるエネルギー不足に陥ってしまうことがあります。
この低血糖という状態は、神経症状や命の危険までもたらす可能性のある怖いものです。
特に体も小さい若齢の子犬たちは、胃も小さく、1回で食べられるドッグフードの量もわずかであるため、低血糖を避けるためにも回数を増やして与える必要があります。
また、基本的には飼い主さんのお仕事などの都合に合わせて、ごはんの時間を選ぶことになりますが、あまり間隔が空きすぎてしまうと、空腹で胃酸が分泌されることで、空っぽの胃を刺激して嘔吐してしまうことがあります。
その子の体質もありますが、もちろんそのときの体調などもあるので、何度も繰り返すようであれば、かかりつけの先生に相談してみたり、ごはんの回数を増やす、もしくはごはんとごはんの間隔を狭めてみても良いかもしれません。
ただし、このとき気をつけないといけないのが、回数を増やすのであれば、1回量を減らすと言うことです。
1日の総合量は変わらないようにしないと肥満になってしまうため、その際は1回量を減らして調整しましょう。
ドッグフードの選び方
ドッグフードの種類
ごはんを与える際に大切なことはお話しさせて頂きました。
健康のためにさらに大切なのはドッグフードの選び方を間違えないことでしょう。
でも実はドッグフードの種類はたくさんあるのをご存じですか?
正しい選び方ができる自信はありますか?
まず、ドッグフードはどんな種類に分けられるのか見ていきましょう。
最初に、ドッグフードの硬さごとに分けると大まかに三つに分けられます。
〇ドライフード
〇セミドライフード
〇ウェットフード
ドライフードが最も固いもので、仔犬の頃やお腹の調子が悪い際にはお湯でふやかして与えたりすることもあります。
そしてセミドライフードは少し弾力のある、ドライフードほど固くないドッグフードになります。
ウェットフードは水分を多く含んだドッグフードになっており、シチューのように粒も残っているものからムース状に潰したものまで様々です。
また、ドライフードも大型犬用や小型犬用に分けられており、これらの硬さはわんちゃんの顎の大きさや歯の状態に応じて食べやすいものを選ぶことが大切です。
ただ、それぞれのフードのメリット・デメリットがあり、例えばウェットフードだと歯に汚れがつきやすいけれど、水分を多く取れる、ドライフードだと口腔内トラブルが合ったり顎の小さい子は食べにくい点がありますが水分を含んでいないため、少量でもしっかりカロリーを摂取でき、バリエーションも豊富なことがメリットとしてあげられます。
ごはんの時間は消耗せずに、しっかり栄養をとる必要があるので、ワンちゃんが食べやすいものを選んであげましょう。
そして年齢ごとの分け方です。
〇仔犬用
〇成犬用
〇シニア犬用
まず仔犬用は成長期で栄養が必要な時期でもあります。
ただ、前述のように胃も小さく食べられる量は限られているため、少量で効率よくカロリーが摂取できるようなものになっています。
成犬用は太りすぎを防止して、日常生活を送るための栄養がきちんと取れるよう計算されています。
一方、シニア犬用は代謝が落ちてくる年齢でもあるため、少量で効率よく栄養を取れてかつ、カロリーも必要以上に摂取しないよう計算されているのです。
またシニア用の場合、関節や被毛などが若い頃よりも退化してくる傾向もあるため、配慮されて、補えるよう成分が含まれているドッグフードもあります。
他にも目的に応じて分類されているものもあります。
想像しやすいのが療法食やダイエット食かもしれません。
ダイエットが必要な子にはダイエット用のドッグフードがあり、カロリーは抑えていたり、少量でも満腹感を感じられるように配慮されています。
療法食は、その病気ごとに抑えるべき成分や逆に摂取すべき成分が考慮された上で配分されているのが特徴です。
療法食以外でも、犬種ごとの長所・短所を補えるような成分の配合のフードも実はあるのです。
何を見て選ぶ?
このように、たくさんドッグフードの種類があることがわかりましたね。
しかし、一歩選び方を間違えると、お家の子の体調不良にも繋がりかねないのです。
では何を見て選べばいいのでしょうか?
まず上記のように分類されているので、お家の子の月齢のものやお家の子の傾向を考えてみましょう。
仔犬であればしっかり栄養をとる必要があるか、例えば成犬であればダイエットが必要か、関節など気をつける必要か、などで分けていくと、自然とフードが絞られてくるでしょう。
ある程度絞られたら、お家の子の歯の状態や、どんなタイプが好きそうか、食べやすそうかと言うことを考え、硬さや形状を選びましょう。
例えば食べる癖なども飼い主さんはよくわかっていると思うので、少しずつ食べるようであれば粒は極力小さい方がよかったり、逆に飲み込んでしまう食べ方で良く噛ませたい場合、少し粒を大きくする等考慮してみても良いと思います。
あとは嗜好性の要素が大きいと思うので、素材などで好みのものを探り、さらに絞り込めると良いでしょう。
ここまでは健康で問題のない子の場合ですが、療法食の場合はさらに絞られてしまいます。
療法食を食べることは、治療の一環でもあるので、もし該当する疾患を持っている場合、基本的には療法食を選ぶことになります。
療法食も色々なメーカーから出されているので、食べてくれるメーカーのものを選ぶことになるでしょう。
どれも同じなのでは?と思いがちですが、脂や蛋白質の種類やわずかな量の違いでもわんちゃんにとって味覚や嗅覚の部分で違いを感じ取れるため、このみを示す子もいます。
全く気にしないで食べてくれる子もいますが、中にはこだわりが強い子もいますので、その際はその子のこだわりを見抜いてあげる必要が出てくるでしょう。
ごはんの風味の嗜好性に関しては、ある程度ドッグフードの種類が定まっても、保存方法の違いや与え方で食欲に差が出てくる場合、その方法も選ぶ必要があります。
例えば、脂の酸化してしまう匂いが苦手で、開封直後は食べるけれど、しばらくすると食べてくれなくなる場合、小分けにして真空保存をする等すると、酸化が防げて風味が変わらない可能性が高いです。
他にも逆に香りを立たせてあげる必要があるため、食器を温めてフードを中に入れることで少しフードも温かくなり、食欲が増幅される子もいます。
全てに付き合ってあげる必要はありませんが、もし全く食べてくれなくて、健康を害してしまうような状態であれば、その部分も考慮する必要があるでしょう。
ドッグフードの選び方を間違えると何が起こる?
ドッグフードの選び方ミスにより起こるトラブル
ではドッグフードの選び方を間違えてしまうと何が起こるのでしょうか。
ドッグフードは完全栄養食ですが、その子によって必要な栄養、カロリーはそれぞれです。
その子に適したもの、量を選ぶ必要があります。
選び方のミスにより起こることは大きく分けて二つです。
〇肥満
〇栄養失調、体重減少
なんだ、それだけか・・・と安心される方もいるかもしれませんが、この二つが命の危険にも繋がってしまう可能性があるのです。
まず肥満ですが、カロリーオーバーを繰り返すことによって、どんどん体重は増えていきます。
そして脂肪がつくわけですが、まず肥満によって心臓等の内臓への負荷がかかるようになります。
他にも気管周りに脂肪がつくことによって、気管が圧迫されるようになり、咳が出るようになったり呼吸がしづらくなることや、体重が増えることにより、関節への負担がかかるようになるため、各関節で痛みなどが出る可能性があります。
他にも糖尿病など、重大な疾患にも繋がる可能性があり、心疾患や糖尿病などは悪化してしまうと死に繋がってしまう場合もあります。
そして栄養失調や体重減少も短期間であれば、多少のダイエットで済みますが、長期間栄養失調の状態が続くと体力が消耗しやすくなったり、低血糖、電解質異常などをおこして神経疾患や死に繋がる可能性も出てしまいます。
健康な子の場合は上記の二つが主なトラブルになりますが、疾患がある場合は選び方にはもっと気をつけなければなりません。
やはり、市販のドッグフードと療法食のドッグフードでは、それぞれの疾患の治療効果が出るように成分の調整などの部分で大きく違いがあります。
疾患を持っているのに市販のものを与えていると症状が悪化してしまう場合があります。
例えば尿結晶ができやすい体質だった場合、カルシウムやマグネシウムなど結晶になりやすい成分が抑えられていたり、膀胱内の環境が整えられるよう、食べているものに依存する尿のpHを調整される配合になっていますが、市販のフードを食べていると、それができないため尿結晶は結石となり、尿閉塞などに繋がってしまう可能性もあるのです。
トラブルを防ぐためにできることは?
このようにドッグフードの選び方を一歩間違えてしまうことで、命の危険にも繋がってしまう可能性があると言うことがわかりました。
ではこのような怖い状況に陥らないためにどうしたらよいでしょうか。
まずお家の子の年齢、体質にあったごはんをきちんと選びましょう。
まずは一番基本的なドッグフードを選び、与えてあげることが最初の一歩になるでしょう。
お家に迎えるなど、初めてでわからない場合は、まずは今まで食べてきたものと同じものを選んであげてください。
嗜好性や、太りやすいなどの体質がわかってきてから変えてみても良いと思います。
ただし、急に変えてしまうとお腹がびっくりして、下痢や嘔吐をしてしまう可能性があります。
前から食べていたドッグフードに少しずつ新しいフードを混ぜてあげてください。
どんなものを与えるか迷ってしまったら、きちんとかかりつけの動物病院の先生など専門家に相談してみましょう。
そのためにもお家の子がよく食べる子かどうか、太りやすいかどうかなどを飼い主さんは把握できるようしっかり観察してあげてください。
まとめ
健康の維持のためにもとても大切な役割を持つドッグフードの選び方もきちんと理解しておくことが大切なことがわかりました。
こう書くと飼い主さんは責任重大に感じてしまうかもしれません。
そのことばかり考えて日々の愛犬との生活が楽しくなくなってしまっては本末転倒です。
どうしたらいいかな?というときに相談できる専門家の方を探しておくことが大切です。
きっとその存在があれば、あまり気負わずに飼い主さんとしてお家の子の食生活も見守れるでしょう。
まずは基本的なドッグフードの選び方だけでも頭の片隅に置いておけると安心ですね。
そして選んで終わりではなく、その後の食欲や体重の変化まで追って把握していけると理想的だと思います。