犬用のおやつは様々な種類のものが販売されています。
その中でも犬用ガムはご褒美としてのおやつだけではなく、オーラルケア・ストレス軽減など機能的な効果もあります。
今回は犬用ガムについて飼い主として知っておきたいガムを与えるメリットと注意点を解説していきます。
またオススメのガムも用途別に紹介しておりますので、どんなガムが良いか悩んでいる飼い主さんの参考になれば幸いです。
犬用ガムは歯磨きの補助として活用できる
人と犬の口内環境は異なり、人の唾液は『弱酸性』に対して犬の唾液は『アルカリ性』となります。
口内環境がアルカリ性の犬の場合、虫歯にはなりにくいのですが、人に比べ歯に付着する歯垢が歯石に変化するスピードが早いという特徴があります。
歯石ができてしまうと歯垢がさらに増殖しやすい環境となり、歯肉が腫れてしまう『歯肉炎』や歯を支えている歯周組織が破壊される『歯周炎(歯槽膿漏)』となるリスクが高まってしまいます。(これらの症状を総称したものが『歯周病』です。)
つまり犬のオーラルケアは歯石になる前に速やかに歯垢を除去する必要があり、これには日常的な歯磨きが効果的です。
ただ私自身犬を飼育していますが、犬の歯磨きって毎日するのは中々大変ですよね。
そこでおやつのガムを与える事により、オーラルケアの補助を行うことができます。
ここでオススメしたい与え方は、ガムを与えっぱなしにするだけではなく飼い主さんが手に持って与えることです。
手に持って左右の奥歯でしっかり噛ます事によって、より効果的にオーラルケアを行う事ができます。
ただしオーラルケアは日々の歯磨きに慣れさせる事が重要であり、ガムを与えているだけでは完璧とは言えません。
ガムはあくまでも補助的なものと覚えておきましょう。
犬用ガムにはストレスを軽減する効果がある
牛革や豚皮が原材料のガムは硬く作られているため、犬が長時間噛む事ができストレスを軽減する効果があります。
ただ一部サイトでは『お留守番中の時間潰しにガムを与える』と紹介している場合がありますが、これは注意して下さい。
個体差はありますが、犬は口に入るものなら丸飲みしてしまう傾向があります。
ガムの場合も同様で、ガシガシ噛む犬もいればすぐ丸飲みしてしまう犬もいます。
ほとんどの場合は胃のなかで消化されますが、丸飲みしたガムが胃や腸内に消化されず残ってしまったり、唾液が含み粘度が高くなったガムが食道に貼りついてしまうなどの危険性はあります。
そのためガムを与える際は飼い主の目の届くところであげる方が安全と言えるでしょう。
嗜好性の高いガムはしつけのご褒美や間食のおやつとして活用しよう
ガムによっては嗜好性を高めるために乾燥肉を巻き付けたもの。
犬の好きな香りを付けたものなど嗜好性が高いガムもあります。
犬は人間と一緒に暮らすようになり雑食性というイメージもありますが、元々は肉食で狩りをする動物です。
その本能なのか噛みごたえのあるガムは犬のとって嬉しいご褒美である事は間違いありません。
犬にガムを与える際注意する事
①アレルギー成分に注意する
長持ちする硬いタイプのガムは牛革や豚皮が材料として使用されている事が多いです。
例えば牛肉アレルギーの場合だともちろん牛革にもタンパク質は含まれているためアレルギーが発症する場合があります。
もし自分の愛犬が何かアレルギーを持っていると分かっている場合は原材料を確認するようにしましょう。
余談ですが最近では『グレインフリー』のフードやおやつをよく見かけるようになりました。
グレイン(穀物)は確かにアレルギーの原因となる可能性はあります。
しかしアレルギーは肉類、魚類、全てのタンパク質で発症する可能性があり、グレインフリーだから安心という訳ではないという事を覚えておいて下さい。
下痢や嘔吐、皮膚の炎症やしきりに痒がっている等の症状があれば何かしらのアレルギーを発症している可能性があるため獣医師に相談してみましょう。
②与え過ぎ・肥満に注意
嗜好性が高いものは特にそうですが、ガムのカロリーは意外と高く与え過ぎは肥満の原因となります。
夢中になって食べている姿が可愛らしく、ついつい与え過ぎてしまいますが愛犬の健康のためにも与え過ぎには注意しましょう。
最近販売されているおやつにはパッケージに『体重ごとの1日の給餌目安』が記載されていますのでそれを参考して下さい。
愛犬が太り気味の場合、おやつをあげた日はフードの量を調整してあげると良いでしょう。
一般的におやつの量は1日に必要なカロリーの10~20%までと言われています。
1日に必要なカロリーについては犬種や年齢、去勢・避妊の有無によって異なります。
獣医師広報版のサイトにて目安となるカロリーを自動計算する事ができますので、もし自分の愛犬の1日に必要なカロリーを把握していないならこれを機に調べてみてはいかがでしょうか。
③丸飲みに注意
犬の性格によっておやつの食べ方には個体差があります。
例えば我が家ではミニチュアピンシャーとイタリアングレーハウンドの多頭飼いです。
ミニチュアピンシャーが先住犬となるのですが、単独飼いの頃はおやつをゆっくり食べていました。
それが多頭飼いになるとおやつを取られると感じるのか急いで食べるようになり、ほとんど丸飲みで食べてしまいます。
硬いガムなどを丸飲みしてしまうと食道が詰まって呼吸困難になる『食道閉塞』や胃や腸内で消化されず残ってしまう『腸閉塞』などを引き起こす可能性があります。
こういった理由で我が家では牛革ガムなど硬いおやつの場合はサイズに注意し、ある程度小さくなったら取り上げ丸飲みを防止する。
また必ず飼い主が見ている状況で与えるなど、そういった事故防止の対策を行っています。
あなたの愛犬の食べ方、癖などを考慮して丸飲み癖がある場合は特に注意して見てあげましょう。
④硬すぎるガムは歯が欠ける、折れてしまう等の危険性がある
犬の歯は人間の歯と異なり先端が尖っているため折れやすく、さらに歯の表面を覆うエナメル質が薄いため、硬いものを噛んだ時に折れてしまう事があります。
歯が折れてしまう事を破折(はせつ)と言い、これを放置すると歯の折れた部分から細菌感染を起こし症状がどんどん悪化してしまいます。
ヒズメや骨のおやつで起こりやすいのですが硬いガムでも事例はあり、あまりにも硬いガムは破折するリスクがあるため控えた方が良いと多くの獣医師が推奨しています。
小型犬の場合は大型犬に比べ歯が小さく弱いので特に注意してあげて下さい。
用途別オススメ犬用ガムの紹介
犬用のガムも様々な商品が販売されており、どの商品が良いか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで用途別にオススメの犬用ガムを紹介してみます。
オーラルケアにオススメのガム
グリニーズプラス
愛犬家の間でオーラルケアのガムとして人気・知名度が高いグリニーズプラス。
名前を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか。
グリニーズプラスをオススメするポイントとして以下の点が挙げられます。
①歯磨効果が高い
グリニーズプラスは噛む事によって歯垢と歯石を抑えられる効果があるとVOHC(米国獣医口腔衛生協議会)で認証を受けた商品となります。
VOHC認定のオーラルケア用ガムは他にもありますが、動物病院での販売がメインであるものも多く、購入しにくいのが難点です。
その点グリニーズプラスはペットショップなどでも購入可能であるため普段使いしやすいのも嬉しいポイントとなります。
②食物アレルギーにも考慮している
グリニーズプラスは主原料100%自然素材を使用しています。
またアレルゲンになりにくい高品質な豚由来のゼラチンを使用しており食物アレルギーにも配慮されています。
製品ラインナップも豊富であり、穀物が心配な方用にグレインフリーのエンドウマメとポテトを主原料とした商品もあります。
③栄養バランスが優れている
グリニーズプラスはAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を満たしています。つまり総合栄養食と同じレベルの栄養食バランスとなります。
カロリーが多い、栄養の偏りなどあまり心配する必要がありません。
ストレス軽減・長持ちするガム
クライミング ナチュラルローハイドガム
ペットショップなどで販売されている牛革のガム、ほとんどの商品が白い色だと思いませんか。
これは犬が白い骨を咥えているように見せるイメージ戦略と思われます。
この牛革を白く脱色する際に化学薬品を使用する場合があり、その点気にされる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこでオススメするのが『クライミング ナチュラルローハイドガム』です。
こちらは化学薬品を一切使用せず、原料である牛革も国産の物を使用。加工についても国内加工となります。
ご褒美としてのガム
ドギーマン 無添加良品シリーズ
ドギーマンには無添加良品というシリーズがあり、保存料・着色料・発色料・酸化防止剤を使用していません。
安心・安全で嗜好性も高いため我が家では無添加良品シリーズの『国産鶏の白むね肉巻き』をご褒美用おやつとしてよく購入しています。
無添加良品シリーズには他にもオーラルケアガム、サツマイモスティックなど様々な商品があるので一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
犬用ガムについてのまとめ
今回は犬用ガムについてのメリット、また与える際の注意点を解説してきました。
以下に要点をまとめておきます。
ガムを与えるメリット
- 犬用ガムはオーラルケアの効果があるが、あくまでも歯磨きの補助的なもの
- 犬用ガムは犬が長時間噛む事によりストレス軽減の効果がある。ガムを与える際は丸飲みなど事故防止のため、飼い主が見ている状況で与える
- 嗜好性の高いガムも多く販売されており、噛みごたえのあるおやつは犬にとって嬉しいご褒美
ガムを与える際の注意点
- アレルギーの成分が含まれていないか原材料をチェックする。
- ガムのカロリーは意外と高いため、与え過ぎは肥満の原因となる。愛犬の1日に必要なカロリーを把握しておくと良い。
- ガムを丸飲みすると気管閉塞や腸閉塞など重大な事故が発生する可能性がある。丸飲み癖のある犬は特に注意。
- 犬の歯は折れやすく、特に小型犬の場合硬すぎるガムは控える。
もしかしたらこの記事で初めて犬用ガムに危険があると知り不安に思った飼い主さんもいるかもしれません。
確かにガムは万が一の事があるため与えるべきではないという考え方の飼い主さんもいます。
ただガムに限らず100%安全というものはありません。
大切な事は『飼い主さんがあなたの愛犬の事を思いおやつ選びをする』という事です。
この記事を読まれているあなたは愛犬の事を思い、犬用ガムの特徴を調べているのだと思います。
そういう思いがあれば自然と知識も深まり、重大な事故が発生するリスクを抑える事ができるのではないでしょうか。