愛犬のための寒さ対策は必要?抑えておきたい8のポイント

寒い季節、愛犬が小さく震える姿を目にしたり、留守宅で長時間過ごす愛犬の事を考えると何か、寒さ対策が必要?と気になるものです。犬は本来寒さに強いとも言われていますが、室内犬も寒さに強いのでしょうか?

犬の寒さ対策については犬種や環境によっても異なります。今日は犬の寒さ対策についてご紹介しますので参考にしてみてください。

1.寒さ対策をすべき?しなくても良い?

犬の寒さ対策は、家族間でも意見が別れがちです。その上、ペットショップスタッフや動物病院に相談をしてもなかなかはっきりとした正解が出ずに判断に迷う事でしょう。

一般的な寒さ対策

〇洋服を着せる
〇ペット用ヒーターを用意する
〇エアコンを常に稼働させておく
〇こたつなど人間用暖房器具を活用する
〇一切必要ない

といった意見が多く見られます。実際には、今や犬の生活スタイルも多様化していて、同じ犬種でも生活環境、住んでいる地域、さらには年齢によって必要な対策が大きく変わります。

若く元気な頃には、寒さを全く気にしていなかった愛犬も、シニアになれば寒さや気温の変化が原因で風邪をひく事もあります。その為寒さ対策は愛犬の状況や体調に応じて適切にしてあげる必要がある、これが正解です。

2.犬にとって最適な温度や湿度

初めて犬と一緒に生活する方にとってはすべてのことが初めてです。しつけや散歩はもちろんのこと、犬にとって最適な温度、湿度は?と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか?資料を読んでみたり場合によっては動物病院へ相談を行くこともあるでしょう。一般的に犬にとって快適な環境と言われているのは下記の通りです。

〇人間が快適と感じる程度
〇暑くもなく、寒くもない程度
〇25~27度程度

室内で生活をする愛犬にとって、人間が快適と感じる程の温度、湿度は快適でしょう。しかし、一年を通じてこの温度、湿度を保つ事は困難です。その上、愛犬の為を思ってこの環境を維持し続ける事はかえって愛犬の体を弱らせてしまう事にもなります。人間同様、犬にも体内時計があり、「体感」という言葉が重要な意味を持っています。

体感とは?

〇朝の散歩で日の光を浴びる事
〇まだ少し寒い気温を感じる事
〇季節によって、変化する風の音、臭い、温度を感じる事
〇夕方、夜と自分の体で時間の流れを感じる事
〇雨や雪の感触、温度、臭いを感じる事

が必要です。この「体感」機能がしっかりと発達していると、成長後も健康な生活を送る事が出来る上に、シニアになってからも昼夜逆転生活が起きにくくなったり、季節感の無い生活を送らずに済むようになります。

体感の判断基準

愛犬に季節に応じた「体感」機能が備わっているかどうかの判断は次の2点で見極めましょう。

〇春、秋の換毛期があるか?(犬は本来、春、秋の2回、全身の被毛が抜け変わるものです。この時期、抜け毛の多さには手を焼きますが、皮膚の状態、身体の状態を健全に保つ上でとても大切な事です)
〇春、秋に生理(発情期)があるか?(犬は年に2回、発情期があります。避妊をしていない場合はその兆候が分かりやすいでしょう。避妊をしている場合も兆候が表れる場合もあります)

この2点、「換毛期生理は愛犬が季節を感じる事で、自然と起こります。しかし、一年中一定の気温に保たれた室内で生活をしていると、体が季節を感じる事が出来ず夏や真冬に換毛期があったり、一年中毛が抜けていて換毛期がない、または真冬に生理が起こるなどのずれが生じるようになります。このズレは次第に心身のサイクルを乱れさせ、体の不調を引き起こす様になります。

最近、目立つケースでは、「真冬はヒーターやエアコンで暖かく」「夏はエアコンで涼しい」という生活を送るものです。

エアコン・ヒーターの弊害

 

 

エアコンやヒーターは人間にとって今では欠かせないアイテムで必需品となっています。ただ、最近では過剰なエアコンによって幼少期に汗腺が育たず、汗出ないため熱中症になりやすい体質の人がいるようです。過剰なエアコンは人間だけじゃなく犬にも悪影響を与えてしまう場合があります。

◯涼しい夏に、冬用のふわふわとした被毛
◯暖かい冬に、スカスカで風通しのいい被毛

このようにエアコン、ヒーターは体のサイクルを変化させます。当然の事ながら、冬に風通しのいいスカスカの被毛のまま、散歩や外出をすれば、寒さに耐えられず体調を崩すでしょう。人間が冬にエアコンで部屋の中を温め、半袖の洋服で生活をし、買い物や外出にその半袖のままで出掛ける事を同じなのですから。

つまり、愛犬が本来持つ体の機能を正しく稼働させる事が何より大切な事です。

冬は寒くて当たり前、夏は暑くて当たり前という事をある程度は体感させる事が必要です。ただ、最近の夏は以上に暑く、冬は室内のエアコンの気温と屋外の気温との差がとても大きくなります。その為、季節や生活環境に応じたケアが必要にはなります。

3.室内で生活する愛犬に必要な寒さ対策

愛犬に必要な寒さ対策のポイントは「過保護にしすぎない程度」にしてあげましょう。室内で生活する犬が寒さを感じる時下記のような場合です。

〇朝晩の飼い主の起床前
〇散歩や外出で屋外へ出掛ける時
〇自宅でシャンプーをした後の湯上り時

です。このタイミングは、適切な寒さ対策が必要です。朝晩の飼い主の起床前は、愛犬をリビングや専用のハウスで寝かせている場合です。飼い主が部屋からいなくなると、途端に部屋の温度は下がってしまいます。特に深夜早朝、愛犬の過ごす足元付近の気温は想像以上に低くなっています。部屋に残ったわずかな暖かい空気は天井付近に集まってしまうからです。

その上、日中に日当たりがいいようにと思い、窓際に愛犬のハウスやベッドを置いている場合、深夜早朝は窓からの寒さがつたわり、急激に冷えていきます。この様な環境で過ごしている場合下記のような対策をオススメします。

〇ハウスの中にペット用ヒーターを設置し、夜間だけ電源を入れる
〇毛布やタオルなど体をうずめる事が出来る様に寝具を大目に用意する
〇窓や床に寒気遮断効果のあるマットなどを引き、極力外気や寒気を遮断する

という工夫が必要ですね。

4.屋外で生活する愛犬に必要な寒さ対策

屋外で生活する愛犬の場合、日々の気温の変化、一日の中でも気温の変化を体感しているので、急激な気温の変化による体調不良はありません。

しかし、厳しすぎる環境下では、次第に体への負担が蓄積されていくので、寒さ対策は必須と言えるでしょう。屋外での生活には、、、

〇ハウスは地面に直接設置せずに、レンガなどを置き、地面から15cm程浮かせる
〇ハウスは風を通さないようにビニールシートやプラスチック板を使い、壁面を覆う
〇ハウスの中の毛布やタオルは適度に干し、敷き直しをして常に柔らかさのある状態にしておく
〇雨、雪の場合は湯たんぽなどを用意し、特別な寒さ対策を行う

という工夫がおすすめです。特に、地面からハウスを底上げして置く事で、床からの寒さを防ぐ事が出来、効果的です。屋外の場合、電源の使用が難しい為、湯たんぽなどを活用し、安全な寒さ対策が必要です。

5.車や飛行機の移動時の寒さ対策

また、愛犬を車に乗せ移動させる時も寒さ対策が必要になります。人間は車内のエアコンで快適に過ごせますが、愛犬のいるキャリーケースはプラスチック製で意外にも寒いものです。大抵の製品は通気性が高くないので、エアコンの風も十分に届きません。

このような場合は、毛布やタオルで十分に保温が出来るように工夫をしてあげましょう。長時間の移動や寒冷地への移動には、湯たんぽを用意し、キャリーケース内に入れてあげましょう。

特に、飛行機に搭乗させる場合、飛行中の気温の変化は愛犬に相当な負担になります。飛行機会社に確認し、愛犬の滞在スペースに応じて寒さ対策が必要です。

6.寒さに弱い犬種

犬の被毛は大きく分けて2種類に分類されます。分類は次の通りです。

〇シングルコート
〇ダブルコート

の2つです。これは被毛の構造により分けています。シングルコートとは、被毛は1種類のみです。細く、硬い被毛で全身が覆われています。

主に「愛玩犬」と呼ばれる犬種に多く見られます。室内で飼い主と生活する事を前提に排出された犬種達です。代表的な犬種は下記の通りです。

〇マルチーズ
〇ヨークシャーテリア
〇シーズー
〇パグ
〇プードル

などです。もう一方のダブルコートとは、長く細い被毛の下に、綿毛のような短い被毛が密集し、2重構造になっている被毛です。短い綿毛が体を保護し、寒さから身を守る機能を果たしています。春の換毛期には、この綿毛が抜けるので、思いもよらぬほどの毛量の抜け毛があるものです。

ダブルコートの犬種の場合、換毛期のサイクルが乱れると、寒い冬でも保温機能のない被毛で過ごさなくてはらならいようになるので、体調を崩したり、震えたりというトラブルを招きます。代表的な犬種は

〇柴犬などの日本犬全般
〇ゴールデンレトリバー
〇ボーダーコリー
〇シェルティ

などです。主に屋外で生活をし、狩りや牧羊などの仕事を担う為に排出されて犬種に多く見られます。つまり、シングルコートの被毛を持つ犬種の場合、もともと耐寒機能が備わっていないので、寒さにも弱い、苦手といえるでしょう。

その上、暖かい部屋でのんびり過ごしているものの、飼い主のタイミングで散歩や外出にと出掛けるのですから、当然室内と屋外の気温差は相当な負担になります。

室内をエアコンで27度に設定している場合、朝の散歩で外気温が10度以下の場合は、その気温差だけでも相当なものです。

7.寒いときの行動、合図は?

生活環境、住宅環境、様々な条件で、必要となる寒さ対策の度合いは異なります。また、寒さ対策が必要とは思いつつも、一体いつから始めたらいいのか?とも迷う事でしょう。

愛犬の寒さ対策は、愛犬から「寒い」というアピールがあってからで十分です。当然の事ながら、シニアや子犬からはそのようなアピールが早期にあり、元気で健康な愛犬の場合は、寒さ対策が必要な期間も短くなります。一般的に犬は寒さを感じると下記のような合図、行動を取ります。

〇体を丸めて眠ります
〇寝起きから、活動開始までの動きが、ゆっくりになります
〇飼い主の膝の上に乗ったり、抱っこをせがんだりと密着する事で暖を取ろうとします
〇ハウスやベッドへ自ら入り、じっとして過ごそうとします

また、丸まって寝ている時に、自分の「鼻」をお腹にうずめる様に寝ている場合は、相当寒さが応えているというサインです。

実は、犬の「鼻」は体の中で唯一、被毛で保護されていない部分です。その為、鼻は寒さを直接感じてしまうのです。鼻を寒さから守るには、丸まって眠り、お腹に鼻をうずめるしか方法がありません。

つまり、飼い主として十分な寒さ対策をしているつもりでも、ハウスの中で愛犬が鼻をうずめて眠っているようであれば、もう少し念入りな寒さ対策をしてあげる必要があるといえるでしょう。

このサインは、冬に限ったことではありません。夏のエアコンでも同様です。飼い主が快適な温度をと思い、エアコンの設定を下げ過ぎてしまうと、愛犬が体を丸めて、鼻をうずめる様に眠る事があります。この場合、エアコンの設定が愛犬には寒すぎるという事になります。

愛犬のベッドやハウスに直接エアコンの当たらないように工夫をしてあげましょう。シニア犬や子犬の場合は、毛布などで十分な保温をしてあげる必要があります。

ちなみに、一部の大型犬(ゴールデンレトリバーやラブラドルレトリバー)の中には、冬になると寒さで鼻の色がピンク色に変化してしまうという体質を持つ犬もいます。

この症状は、個体差があり同じ犬種でもまるで症状が出ない事もあります。それまで黒色だった鼻が、薄いピンクに自然と変化し、暖かい季節になると自然と元の色に戻ります。この症状を「ストロベリーノーズ(いちごの様な鼻)」や「豚鼻」といった表現で海外ではユニークに表現する事もあります。

8.寒いときのオススメグッズ

愛犬の寒さ対策にオススメのグッズをご紹介しますね。

貝沼産業 ユカペットEX

ペットショップやペットホテルでも使用される安全性の高い人気の商品です。サイズを選ぶ事が出来る点も魅力です。購入サイズの目安は、愛犬のハウスやベッドの半面程度を覆う事が出来るサイズです。全体を覆ってしまうと、暑くなって来たときに移動が出来ないので、半面で十分です。

貝沼産業 ユカホット

屋内、屋外どちらでも安全に使用できるペット用「湯たんぽ」です。適度な暖かさがシニアや子犬にも最適です。時間と共にある程度温度が下がるので、長時間の使用でも快適に過ごせます。レンジで加熱できる手軽さも人気の理由です。もちろん、繰り返しの利用も可能です。

銀マット

アウトドアや家庭用品ですが、愛犬用としても大変重宝します。電気を使用しないので、安全で経済的です。ハウスの下に弾いたり、ケージを覆ったり、屋外用犬舎を防寒対策にも活用出来ます。

ペット専用製品は大抵の場合、同様の人間用製品より高額です。人間用製品で代用出来る場合もありますが、中にはペット用に電源コードを補強してある製品や温度設定を低くしている製品もあり、安全対策が講じられています。人間用で代用をする場合は、愛犬のしつけの度合いを踏まえて安全に使用出来るかをしっかりと考えてから使用しましょう。

まとめ

犬は寒さに強いと言われているものの、環境によってはある程度の寒さ対策をしなくてはなりません。また、暑いときは暑く、寒いときは寒くという当たり前の環境を整えてあげることも必要です。過剰なクーラーや暖房は逆効果になる場合があるので注意してくださいね。

今日ご紹介した寒さ対策を参考にしていただき、愛犬にとって快適な環境作りにお役立てください。