犬はもともと肉食だからお米は食べないだろう、穀物は犬に良くないからお米もダメと思っている方は多いのではないでしょうか。
一昔前の日本では、残り物のお米を犬に与えていたようですが、果たしてお米は犬の身体に良い食材なのでしょうか。最近では犬はお米などの炭水化物は消化出来ないため与えるべきではないという意見もありますね。
今日はお米を与える際の注意点やメリットなども併せてご紹介します。
お米に含まれる栄養素
日本では太古の昔から食べられているお米ですが、どのような栄養が詰まっているのでしょうか。
・でんぷん
・タンパク質
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンE
・カルシウム
・食物繊維
お米は炭水化物であるということだけで、このように栄養が豊富に入っていることを知らない人は多いのではないでしょうか。でんぷんの他に、エネルギーの源になるタンパク質やビタミン類が含まれています。成分の7割はでんぷんですが、そのでんぷんの質も良いとされ、吸収・消化に優れているため、すぐにエネルギーに変換されます。
昔の日本は現代のように食べ物が十分に手に入る時代ではなく、お米が貴重な栄養源になっていたのです。
犬がお米を食べても大丈夫?
犬は狼の子孫だから、お米は身体に合わないのでは?と疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。もともと肉食だったとは言え、今や雑食として肉以外のものも食べる犬は、お米を食べても大丈夫な身体になっているのです。
炊いたお米であれば、犬に与えても大丈夫だとされています。
犬に穀物は禁物というのはウソ?本当?
犬に穀物を与えると、消化不良を起こしたりアレルギーを発症する恐れがあると言われています。
穀物不使用(グレインフリー)のドッグフードを販売しているウェブサイトを見てみると、「犬の身体は穀物を消化できるように作られていない」、「十分なタンパク質を与えれば、穀物は一切必要ない」などという文言が記載されています。
これは本当なのでしょうか。アメリカの獣医士、ロリー・ヒューストン氏によると、犬の身体は穀物に含まれる炭水化物を簡単に代謝させ、エネルギー源に変えるそうです。
また、穀物でアレルギーを起こす犬はいるものの、その確率は肉類など他の食材でアレルギーを起こすよりも低いと述べています。
出典:http://www.petmd.com/dog/slideshows/nutrition-center/choosing-best-dog-food
カリフォルニアの大学、カール・ポリー・ポモーナの獣医専門家プログラムの指導者を務めるオスカー・チャベス氏も、「犬は狼ではなく、犬の身体は穀物の栄養を頼りにしている。そのため市場に出回っているドッグフードには穀物が使用されているのだ」と、穀物が犬に必要な栄養素であることを主張しています。
出典:http://articles.latimes.com/2013/jan/23/science/la-sci-how-dogs-evolved-20130124/2
犬は狼から派生した動物ではありますが、長い年月をかけて肉類以外の食材にも適用できる身体へと進化しました。穀物アレルギーを持つ犬ではない限り、穀物を食べてはいけない理由はないのです。
犬がお米を食べるメリット・デメリット
犬が炭水化物を摂取しても問題ないということを理解しましたが、炭水化物の中でもお米を食べるメリットやデメリットはあるのでしょうか。
メリット
お米は炭水化物の中でもアレルギーが起こりにくい
炭水化物の中でも、お米は特に犬の身体に良いとされています。
それは小麦など他の炭水化物と比較してアレルギーを起こす確率が低く、またアンチエイジングやがん予防といった健康面でプラスをもたらしてくれるからです。
米の効果
・老化防止
・脳の活性化
・疲労回復
・神経機能を正常に保つ
お米には犬に必要な栄養素が詰まっている
先に述べたように、お米にはでんぷんなど体内でエネルギー源に変わる栄養素がある他、骨の形成と成長に欠かせないカルシウムや便通を促す食物繊維などが豊富に含まれています。
グレインフリーのドッグフードを販売するサイトでは、時に穀物は犬の健康を脅かすというような内容を記載しているものが見られますが、お米はその逆で犬が健康に生きるための栄養素が詰まっているのです。
なお、犬がお米を食べるメリットとしては他にも、皮膚病を軽減する、コレステロール値を下げる、腸の動きを良くするためのバクテリアに良い影響を与えるなどが挙げられます。
デメリット
ここまで犬がお米を食べることのメリットをお伝えしましたが、逆にデメリットはあるのでしょうか。
食べ過ぎは肥満の元
人間が炭水化物を食べ過ぎると太りやすくなると同じように、犬も炭水化物を摂りすぎると肥満になる恐れがあります。
犬にとって良い栄養素がたくさん詰まっているからといって、お米ばかりを与えすぎると摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまい、気づいたら肥満になっていたということがないように、飼い主は注意しましょう。
最初は下痢などの症状が出る可能性も
これは穀物に限った話ではありませんが、今までに犬が摂取したことのない食材を与えた際に、身体がその食材の消化に慣れていないがために下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
初めてお米を上げたことで、愛犬が下痢などの症状を訴えることがあるかもしれません。その場合は、水分補給をさせながら体調が回復するのを待ちましょう。もし体調が悪化するようでしたら、アレルギーの可能性があるため、すぐに獣医師のもとに連れていくことをおすすめします。
アレルギーなどの問題がなければ、徐々にお米を与えていくことで身体が慣れていくでしょう。
お米を食べさせるときの注意点
犬にお米を食べさせる際に気をつけるべき点をご紹介します。
お米は全体の食事の2割程度に抑える
犬は雑食に近づいているとは言え、人間とは身体の作りが違います。犬が必要とする栄養バランスの6割はタンパク質と言われており、穀物は全体の2割程度とされているのです。
先に述べたように、お米の与えすぎは肥満の原因になるため、食事内容の2割程度に抑えるようにしましょう。
柔らかく調理してあげる
犬も穀物を消化できるとは言え、やはり人間ほどではありません。お米を与える際には、できるだけ柔らかく炊いたものを出すようにしましょう。
そうすることでより消化しやすい状態になり、身体に負担がかからなくなります。
味付けは薄く
お米は味があまりないからと言って、味噌汁を足したりなど味付けをする飼い主さんもいらっしゃいますが、塩分が多くなりすぎて逆効果です。
人間が食べるお米よりも3~5倍程度薄く味付けをした状態であげるのが好ましいでしょう。
白米と玄米、どっちがいいの?
お米には様々な種類があります。お米を原料の一部に取り入れているドッグフードを見てみると、白米か玄米を使用している場合があります。
犬にお米をあげる際、白米と玄米はどちらがより良いのでしょうか。
白米の特徴
・玄米よりも噛みやすい
・玄米よりも消化しやすいが、その分血糖値が上がりやすくなる
・玄米よりも安い
・玄米よりも調理に時間がかからない
玄米の特徴
・白米よりもタンパク質が多く含まれている
・白米よりもでんぷんが少ない
・食物繊維が多いため、便秘防止がしやすい
・アルツハイマー病の予防に役立つ神経伝達物質が含まれている
どちらも独自の特徴がありますが、どちらが良いという決定的な理由はなく、飼い主さんのお財布とその愛犬の身体に合ったものを選ぶことが大切です。
ただし、愛犬の健康をより大切にしたいというのであれば、玄米の方が犬にもたらすメリットが大きいと言えるでしょう。
犬におすすめのお米レシピ
ささみ雑炊
お米の栄養と高タンパク質のささみで、栄養バランス抜群の一品です。
材料:
・お茶碗一杯分の焚いた白米
・2cm角に切ったニンジン
・一口サイズのさつまいも
・生卵1個
・ささみ
作り方:
さつまいもはラップで包んでレンジにかけ柔らかくする
すべての材料を鍋に入れ、全体が浸る程度の水を加えて煮込む
鶏肉と枝豆のチャーハン
タンパク質を含む鶏肉と枝豆がメインのお米を使った犬用チャーハンです。ビタミンミネラルが豊富で、老化防止や動脈硬化の予防などに役立ちます。
材料:
・鶏肉
・白米
・枝豆
・チンゲン菜
・しいたけ
・にんじん
作り方:
フライパンに白米と枝豆以外の材料を切って炒める
火が通ったら、白米と枝豆を炒めて火を止める
冷まして完成
まとめ
いかがでしたでしょうか。世の中には「穀物は犬に良くない」と主張してグレインフリー(穀物不使用)のドッグフードを販売しているメーカーが多くいますが、専門家の意見に耳を傾けてみると、必ずしもそうでないことがわかってきます。
特にお米は栄養価が高く、犬に必要な栄養素ばかりが揃っていることから、アレルギーを抱えていない限り、与えることのメリットの方が多いと言えます。
ただし、そこには注意点もあるため、飼い主が気をつけながら与える必要があるということを頭に入れて置きましょう。
犬が健康的な暮らしを送れるように、ぜひお米を日々の食事に取り入れてみてください。