子犬を家族に迎えたらしつけは家に迎えた初日からスタートしましょう。子犬が環境に慣れるまでしつけは先送りとつい考えてしまいがちですが、この思いやりがかえって子犬を混乱させてしまいます。
子犬は新しい環境で目にするもの、耳にする音、嗅ぐ臭いの全てが初体験です。呼ばれる名前も初めて聞くものです。新しい環境での生活のルール、人間関係を一生懸命に憶えよう、馴染もうと頑張っています。
その中で、最初の数日間、数週間はどんないたずらもトイレの失敗も誰にも叱られずに過ごせたものが、ある日突然しつけが始まり、厳しく叱られ、時には叩かれるという事が起きれば当然混乱し、ストレスを感じ、性格によっては飼い主に反抗や攻撃という手段をとる事もあるでしょう。
犬のしつけには色々なものがある中で、トイレのしつけは、多くの飼い主が一番苦戦する「しつけ」です。トイレのしつけに失敗してしまうと楽しいはずの子犬との生活がストレスフルなものになってしまいます。
しかしトイレのしつけは、ポイントを抑える事でとてもスムーズに出来、場合によっては数回で完璧に憶える事が出来る簡単なものです。ぜひ、子犬のトイレの基本を理解し、スムーズにしつけをおえましょう。
1.トイレのしつけは「失敗しない環境作り」から
家に迎え入れたばかりの子犬は非常にデリケートで精神的にも、身体的にもとても不安定な状態です。初日からしつけを始める事は大切ですが、決して厳しく叱る事や、叩いてはいけません。
子犬のしつけは「多いに誉め」「喜びを感じながら」が成功の秘訣です。トイレトレーニングをスムーズに進めるためには、子犬が「失敗しない環境」を整えてあげることが必要です。
失敗しない環境とは?
・トイレはサークル内の奥側に設置します(ベッドや食器を出入り口付近に置き、トイレを奥に設置します。自分の排泄物や排泄する場所を常に踏みつける事は正しくない事、体が汚れることは好ましくないと覚えさせるためです)
・サークルから出し、子犬を遊ばせる時は、サークルの外1m四方程度に行動範囲を限定します
・オヤツはトイレに成功した時にだけ与えます
子犬のトイレトレーニングはこのようにまず、ルールを決めます。子犬をサークルから出し、遊ばせている最中に子犬を5~10分おきにトイレシーツの上に誘導します。この時、抱き上げ移動させるのではなく、おもちゃなどで子犬をひきつけ、自分の足で歩き、移動する事を覚えさせる事が大切な意味を持ちます。
生後3カ月まではおしっこ回数が多い
・目が覚めた直後
・食事や水を飲んだ直後
・5分ほど運動をした直後
・飼い主の帰宅などテンションが上がった直後
・来客など興奮し、鳴いた直後
などの上記のようなタイミングで少量ずつ、なんどもオシッコをします。トイレへの誘導はこまめに行い、失敗しない事、成功すればいい事が起こる事を子犬に理解させてあげましょう。
成功体験を重ねましょう
子犬は成功体験を重ねる事で、次第に「褒められたい」「ご褒美が欲しい」と考え、自ら正しいトイレを繰り返す様になります。こうなると、飼い主との関係性も良好になり、お互いが楽しみながらしつけに取り組む事が出来るでしょう。
子犬がトイレを終えるのを見守り、正しい場所でトイレが出来た時は、瞬時に少量のオヤツを与え、成功体験であった事を認識させます。次第に、子犬自らが尿意を感じた時に、誘導されずとも自分でトイレシーツへ行くことができるようになるでしょう。
行動範囲は徐々に広げていきましょう
1m四方の範囲で失敗する事なく、トイレに戻る事が出来るようになったら、次第に行動範囲を広げ、同じことを繰り返し成功させます。
行動範囲を一気に広げてしまうと、トイレの場所がわからず、迷子になってしまいます。迷子を繰り返すとトイレが間に合わずに、失敗をしてしまい、飼い主に叱られるという悪循環に陥ってしまうので、行動範囲を広げる場合は、、、
・飼い主が見守ってあげられる時
・トイレが子犬の視界に十分入る範囲
・5分~10分おきに、誘導をしてあげる
と心がけてあげましょう。
2.トイレシーツにまつわるお悩み
「失敗しない環境」を作り、手順通りに「しつけ」に取り組んでいるものの、想定外なトラブルも起こるものです。このトラブルを正しく理解し、乗り越える事でトイレトレーニングの壁を克服する事が出来ます。
トイレシーツを破る、食べる
トイレシーツをおもちゃと勘違いし、破る、食べるなどの問題行動を起こす場合は非常に多く、決して特別で、珍しい問題ではありません。今までトイレシーツを使った事が無い生活をしていた場合、簡単に破る事が出来、その上破ると中からシリコンが飛び出す事で楽しさを感じてしまうのです。
また、ペットショップでトイレシーツを使い生活をしたことがある場合でも、退屈しのぎにトイレシーツで遊ぶ事を覚えていると家庭でも同じ行動をとります。
しかし、トイレシーツの繊維や吸収剤は子犬の健康上好ましくない事は当然です。特に、長時間の留守番が必要な場合は、この問題行動は早期に解決が必要です。解決するためには、、、
・音の出るおもちゃや知育玩具などを与え、トイレシーツ以外に楽しみを与える
・トイレトレーをスノコ付きの物に交換し、物理的にいたずらが出来ないよう工夫する
・トイレシーツではなく、ベッドやクッションでトイレをする
このような対策を講じてあげましょう。ハウスの中にベッドや毛布をおき、その隣にトイレ用スペースを設置という定番のスタイルで環境を整えても、気がつくと子犬がベッドやハウスにトイレをしてしまう事があります。
もちろんトイレシーツはきれいなままです。ベッドを洗濯し、買い替えても何度も繰り返す事もあります。
トイレシーツにおしっこをしない理由
・お気に入りの場所や物に臭いを付け、自分の所有物であることをアピールする為
・ベッドやクッションは吸収性が高いので、トイレと勘違いしている為
・ベッドやクッションでトイレをしても、その瞬間は飼い主が、気がつかないので、トイレをしても叱られる事がない、安全にトイレが出来ると勘違いしている為
このような理由があります。しかし、この問題行動を放置してしまうと、今後リビングのソファや家族の寝具、車のシートにと似たような材質の場所でトイレを繰り返してしまう事もあるので、早期に解決をしましょう。
トイレシーツでおしっこ出来るようにするには
・ハウスの中からベッドやクッションを取り除き、トイレトレーだけの環境を作ります
・正しい場所でトイレが出来た時には多いに誉め、ご褒美を与え、失敗した時は一切声を掛けたり、叱ったりをしません
・ベッドやクッションを洗濯する時は、極力子犬の見ていないタイミングでハウスから取り出す、芳香剤や柔軟剤など子犬以外の臭いをつけないようにする
このような方法を試してみてくださいね。
汚れたトイレシーツの上で眠ってしまう場合
トイレシーツできちんとトイレが出来るものの、気がつけば汚れたトイレシーツの上で眠り込んでしまう子犬もいます。飼い主が、気がついた時には、子犬の体からオシッコの臭いがする事もあるでしょう。
犬は本来、とても綺麗好きな性質で、自分の排泄物で体が汚れる事はもちろん、自分の寝床が汚れることも大変嫌う動物です。
しかし、中には生まれた環境やこれまで過ごしてきた環境の影響で体が汚れる事、臭いが付く事に抵抗感を覚えず、当たり前と考え、かえって安心感さえ覚えてしまう子犬もいます。
トイレシーツの上で眠らないための対策方法
・トイレトレーはスノコ付きの物に買い替え、排泄物が直接体に触れないように工夫をする
・定期的にシャンプーをし、ブラシをかけ、体が清潔な状態を子犬に理解させる
・トイレトレーはこまめに交換し、排泄物の臭いが身近にある事が不快だと理解させる
このような方法を試してみてください。時間をかけてケアをしてあげる事が必要です。決して、トイレの上で眠ってしまっている子犬を厳しく叱り、突然抱き上げてはいけません。子犬は理由がわからず、かえって混乱し、安心を求め、排泄物の臭いを体に付けようと悪循環に陥ってしまうからです。
3.ウンチを食べてしまう時は
トイレの場所は覚えたものの、「ウンチ」を食べてしまうという問題が起こる事もあります。衝撃的な行動に多くの飼い主が悩み、どう対処したらいいのかと戸惑う事でしょう。この行動の改善には「理由」と「対処法」を正しく理解してあげる事が必要です。
ウンチを食べてしまう理由
・ブリーダーの元で一緒に生活していたお母さん犬のマネをしている
・食事の量が不足している、もしくは体質にあっていない食事をしているために、本能的に栄養不足を補おうとしている
・ウンチをすると直後に飼い主が片付けをするために、「ウンチ」が何か魅力的な物、食べ物だと勘違いし、飼い主より先に自分で食べてしまおうと勘違いしている
・好奇心からとりあえず食べている
このような原因が考えられます。子犬のときはウンチを食べてしまうという行動は異常行動ではなく上記のような理由があって、犬にはよく見られる行動です。成長するに連れてウンチを食べることを自然にやめる場合もあります。とはいえ、大人になってからも食べ続けてしまう場合もありますので子犬のうちからしつけしておくに越したことはありません。
ウンチを食べることへのしつけ方法は?
・食事の給与量、品質が子犬の成長にあったものかどうかを確認する
・サークルをトイレのスペースとベッドなど眠る場所とに仕切りで区分けする
・ウンチを片付ける時は、子犬の目の前で子犬を遮りながら片付けをするのではなく、一旦子犬を別の場所に呼び、おもちゃなどで気を反らし、子犬の見ていない隙に片付けをする
といった方法があります。この方法で対処すると、トイレトレーニングだけでなく、「オイデ」や「マテ」といった他のしつけにもつながるので、ぜひ日ごろから繰り返し練習を重ね、楽しく取り組みましょう。
4.間違った子犬のトイレトレーニング方法
飼い主が熱心にしつけをしていても、なかなかすぐに上手にトイレが出来るわけではありません。たくさん失敗することもあるでしょう。そうなるとなんとか上手くしてあげようと間違ったトイレトレーニングをしてしまう場合があります。
子犬のトイレの失敗が続いた時に飼い主がとってはいけない対処法は以下のケースが挙げられます。トイレの失敗が続くことがあっても下記のような対処方法は避けてください。誤った対処はかえって子犬を混乱させ、トイレトレーニングを長引かせてしまうので注意が必要です。
子犬には正しい方法で一貫性があるしつけを心掛けてあげましょう。
・子犬がトイレをする場所に合わせてトイレシーツを設置する
・各部屋にトイレシーツを設置する
・犬用オムツを履かせる
トイレが上手に出来ない子にはこのような対処をしてしまいがちです。特にありがちな失敗は、子犬がトイレをしてしまう場所に合わせてトイレシーツを設置する事です。家が汚れないようにという飼い主の思いも理解出来るものですが、しつけとは子犬に家で共に生活をするルールを教える事です。
この方法では、子犬が決めたルールに飼い主が従うという逆の構図になってしまいます。トイレの場所は飼い主が決め、子犬に覚えさせましょう。
上手く出来ないときの正しい対処方法
・トイレがリビングなど賑やかで、人の導線上にあり落ち着いてトイレが出来ない
・トイレの失敗を厳しく叱られた事があり、人目につかない場所でトイレをしようと考えている
・行動範囲が広すぎて、正しいトイレの場所がわからず迷子になっている
このような方法を試してあげてください。子犬が落ち着いてトイレが出来る環境が整っているかを再度確認してあげましょう。
5.おすすめのトイレトレーニングアイテム
子犬のトイレトレーニングは、「成功」体験を積み重ねる事で、簡単に短期間に終える事が出来ます。失敗させない、成功だけをさせるために、便利なアイテムをぜひ活用しましょう。
トイレトレーニング用トイレシーツ
【正規品】ボンビアルコンしつけるシーツW消臭レギュラー 90枚入 |
子犬のトイレトレーニング用にアンモニア臭がついたトイレシーツが発売されています。人間にはほぼ感じられない程度の臭いですので、室内の仕様にも差支えはありません。アンモニア臭がある事で、子犬がトイレの場所を見つけやすくなる上に、アンモニア臭に刺激され、排泄をもよおすようになります。
このシートを活用すれば、サークルからリビング、家中へと次第に行動範囲を広げる段階でもスムーズにトイレの場所へ誘導出来るでしょう。
スノコ付きトイレトレー
【ボンビアルコン】しつけるトイレトレーメッシュプラス ブラウントイレ用品 犬用トイレ トイレタリー10P03Dec16 |
トイレシーツを破る、トイレシーツの上で眠るなどトイレシーツの使い方を正しく覚えるためにスノコ付きトイレトレーがとても便利です。トイレシーツを交換する時に同時にスノコも水洗いし清潔に保ちましょう。
食糞防止錠剤、粉末、スプレー
トーラス フンロップゴールド 30ml【楽天24】[トーラス 食糞防止(犬用)] |
留守番をする事が多く、ウンチをすぐに片づけられない、気がつけば食べてしまっているという場合は、専用のサプリメントを活用しましょう。
サプリメントに唐辛子や柑橘類に成分が配合されているので、ウンチに辛味や酸味が混ざります。いつものように子犬が食べようとすると子犬の苦手は味がするようになるので、子犬はウンチを警戒し、自ら食べなくなるという効果があります。
柵付トイレトレー
リッチェル しつけ用ステップ壁付きトイレ レギュラー ダークブラウン【楽天24】[リッチェル トレー・トイレ容器(犬用)] |
ダックスやコーギーなど胴が長い体形の子犬に多い失敗例で、トイレトレーの場所までは行くものの、お尻がトレーからはみ出しているので、トイレを失敗してしまうというケースがあります。これは、単に子犬が自分の体のサイズを認識出来ていない為です。
トイレトレーは柵がある形状の物を選び、トイレトレーの範囲をしっかりと認識させてあげましょう。
支柱付、壁面付きトイレトレー
足をあげてオシッコをする習慣のあるオス犬には、トイレトレーに真ん中に支柱のある形状のトイレトレーや一方の壁面を壁に立てかける事が出来る形状のトイレトレーが便利です。専用のトイレシーツも発売されています。
この形状のトイレトレーであれば、犬も決まった場所に向けた足を上げるので、壁や床が汚れる心配もありません。
トイレトレーニングは早ければ数回で子犬がコツを覚え終わる事もあります。購入はまとめ買いをせずに、少量ずつの買い足しがよいでしょう。
まとめ
お家に来た当初は子犬も慣れず、なかなかなついてくれないかもしれません。でも、徐々に慣れ、懐いてくれたときは可愛くて仕方がありません。とはいえ、可愛いからと甘やかし続けるのは子犬にとっても家族にとっても良いことではありません。
子犬しつけ、特にトイレトレーニングはお家に迎え入れたその日から始めましょう。今日ご紹介したトイレトレーニングの方法や対処方法を参考にしていただき、子犬との快適で素敵な生活にお役立てください。