実は大切な犬の耳掃除!耳掃除の重要性と上手な耳掃除方法

犬のお手入れ、と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。

飼い主ができる犬のお手入れには、爪切り、シャンプー、歯磨きなど、さまざまあります。これらは愛犬の健康チェックになり、健康を維持するためにも必要なことです。そこで今回は犬の耳掃除について詳しく取り上げます。

なぜ耳掃除が必要なのか、また耳掃除の方法などご紹介していきますので、犬を飼っている方はチェックしてみてください。

耳掃除が必要な理由

犬が爪切りや歯磨きが自分でできないように、耳掃除もまた自分で行うことはできません。代わりに飼い主が掃除をしてあげる必要があります。お手入れには以下のような理由があります。

1 病気の予防
2 体の清潔を保つ
3 事故を防止する
4 愛犬とコミュニケーションがとれる

お手入れをすることで体が清潔に保たれ、病気が予防できるだけでなく、異常があった場合は早期に発見することができます。

また、お手入れの際に愛犬の体に触ることでスキンシップをはかれ、絆を深める効果もあるのです。

耳の中をチェック

犬の耳の中を覗いてみたことがあるでしょうか?

たまに茶色や黒っぽいものが付着していることがあります。これは耳垢(じこう)といって、耳の汚れです。
耳垢は剥がれ落ちた表皮と、外耳道にある耳垢腺から出る分泌液が混ざったもので、本来は殺菌剤としての役割を持っています。

これらが溜まっていると耳の中が不衛生になり、酷い時にはさまざまな病気を引き起こします。皮膚を清潔に保ち、病気を予防するためにも、耳掃除は大切なお手入れといえます。

黄色い耳垢であれば正常ですが、以下のような状態が見られた場合、何かしらの異常が考えられます。

耳垢が多い
耳垢が黒い
悪臭がある
耳が腫れている
出血している
犬がしきりに耳を振っている

疑われる耳の病気

耳垢が原因となって起こる病気を以下にまとめました。

さらさらした水っぽい耳垢、粘り気のある茶色い耳垢…外耳炎
カサカサした黒っぽい多量の耳垢(両耳)…耳疥癬症(耳ダニ症)
カサカサした黒っぽい耳垢(片耳のことが多い)…マラセチア

外耳炎

外耳炎は外耳道上皮の炎症で、犬では多く見られます。原因は、外耳道に蓄積した耳垢に細菌や酵母が繁殖し、耳道粘膜に感染してしまうことによって起こります。

その他、飼い主がめんぼうで耳掃除を行った際、耳道に傷をつけたり耳垢を押し込んだりすることで炎症を起こす場合もあります。またシャンプーなどの際、耳道内へ水が浸入し、耳垢と混ざることで刺激され、外耳炎になる例も多いです。

外耳炎は夏季に悪化することが多く、垂れ耳の犬が多発傾向にあります。

症状はかゆみや痛みで、首や耳を振ったり、足で耳を引っ掻いたりする様子がみられます。症状によって苛立ち、飼い主が触ろうとすると攻撃的になることもあるので、注意が必要です。

中耳炎

外耳炎や外傷によって、鼓膜の破裂や穿孔が起き、これが原因となって中耳炎になることが多いです。外耳炎や中耳炎を予防するためには、耳の中を清潔にし、乾燥させておくことが重要になります。

特にシャンプーの後は、耳の中を濡れたままにしておかないよう、きちんと水気を拭き取ってあげることが大切です。

耳疥癬症(耳ダニ症)

犬にはノミやダニなどの外部寄生虫が体に寄生することがあります。

ミミヒゼンダニは体長0.3㎜で、好んで耳道に寄生する虫です。耳垢や耳から出る分泌液を食べて活動します。強いかゆみをともなうので、犬は耳を足でかいたり、頭を振ったりします。

耳道内に黒い耳垢がみられるのが特徴ですが、これにはダニの卵が多量に含まれているので、他の動物に触れることで感染してしまう恐れもあります。

マラセチア

マラセチアという酵母様の真菌が原因で、皮膚の異常を起こします。通常は犬の皮膚、外耳道などに常在しているものですが、何らかの原因で耳の分泌量が増えたり、皮膚の状態が悪くなると、過剰に増殖し炎症などの症状を引き起こします。

垂れ耳や耳の中に毛がある犬など、耳垢が溜まりやすい犬種に多く見られるようです。またマラセチアが原因となって外耳炎になる場合もあります。

耳のお手入れ方法

耳の掃除は主に専門の洗浄剤を使って行います。耳の状態によって変わりますので、どんな洗浄剤が良いかは動物病院に相談してみると良いでしょう。

頻度としては週に1回を目安にしますが、あまり汚れていない場合は無理にしなくても大丈夫です。

必要な物

イヤーローション(耳洗浄剤)
コットン、ガーゼ(繊維が荒すぎないもの)

耳掃除の基本

ケアの前には耳の中を見て、耳の毛や匂い、耳垢の色、炎症があるかどうかを確認しますこの時、犬が動かないようしっかり保定してください。

イヤーローションなどを直接、もしくはコットンに浸して外耳道内に注入し、外側から優しくマッサージします。

犬がぶるぶると頭を振ると洗浄液が出てくるので、コットンなどで汚れを拭き取ってください。汚れが酷い場合は、数回繰り返します。コットンで汚れを拭き取るのではなく、汚れを浮かせて拭き取るといったイメージです。固まっている耳垢は、イヤーローションでふやかしてから取るようにしてください。シワがある部分はイヤーローションを染み込ませたコットンを鉗子ではさみ、優しく汚れを取り除きます。

めんぼうは細かい部分を取るのに最適ですが、誤って耳を傷つけてしまったり、耳垢を奥に押し込んでしまう可能性もあります。耳の中はデリケートなので、めんぼうによって外耳道や鼓膜が傷つく場合もあるため、めんぼうを使う際は見えている範囲だけに留めましょう。また、力加減には気を付けてください。

犬種によって耳の形が変わりますので、お手入れの方法も異なる場合があります。以下に耳の形ごとに方法をまとめましたので、チェックしてみてください。

垂れ耳の犬

垂れ耳の犬種は耳の中が蒸れやすいため、細菌や真菌が繁殖しやすく耳のトラブルになりやすいです。そういった問題を回避するためにも、耳掃除は定期的に行うべきでしょう。

特にシャンプーをした際、耳の中だけ湿っていることがよくあります。耳掃除後も、垂れ耳の中を乾いた状態に保つよう注意が必要です。

耳の中に毛がある犬

トイプードルやマルチーズ、ヨークシャーテリアなどの犬種は、耳の中に毛が生えています。耳に毛があると耳垢や埃が溜まりやすく、不衛生になりがちです。そのため毛抜きといって耳掃除の時に、毛を抜いてしまいます。

やり方としては、まず耳の付け根を持ち、斜め後ろに引きます。耳を上に引っ張ると痛がりますので、気をつけてください。

その後、鉗子という道具を使ってムダ毛を抜いていきます。ムダ毛を抜くときにパウダーをはたいておくと、すべりどめになりますよ。

近くの毛であれば指で抜くことも可能ですが、耳の毛はゴミや虫などの異物から守る役割もあるので、全部抜いてしまうのはよくありません。また無理やり引き抜いた場所が炎症を起こすこともあります。
そのため、うぶ毛のように生えている毛だけを抜くようにしましょう。

立ち耳の犬

立ち耳も耳介が露出している分、汚れが付着しやすいです。耳掃除は基本のやり方と同じですが、ローションを染み込ませたガーゼやコットンで、直接拭き取る方もいます。

特に大型犬は耳も大きいので、拭き取り方式でも汚れは落ちるかと思いますが、小型の場合は耳を傷つける恐れがあるので、無理に指で拭い取ることは避けましょう。

耳掃除おすすめグッズ

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耳を洗浄するために使う洗浄液です。イヤークリーナーともいわれます。

ノルバサンオチックは動物病院やペットサロンでよく使われており、カビや細菌の繁殖を抑える効果があるため、垂れ耳の犬に有効です。耳に直接注入したり、洗浄液をコットンに含ませ、耳垢を拭き取る時に使えます。ただしアルコールを含んでいるため、アレルギーのある犬は要注意です。

ビルバック (Virbac) 犬猫用

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アルコールフリーで非刺激性の洗浄液です。脂漏体質のシーズーやダックスフンドなどの犬種に適しているようです。

洗浄液は犬の状態によって合う、合わないがあるので、どれを使ったらよいか迷う場合には獣医師に相談して決めるのも良いと思います。

オーツムギイヤークリーナー

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天然成分であるオーツ麦から作られた洗浄液のため、低刺激で犬の皮膚に優しいです。オーツ麦にアレルギーがある犬は控えた方が良いでしょう。

プチリュバン ペット耳の毛抜き用 かんし

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耳毛を抜くときに使います。ロックをかけることができるので、簡単に毛を抜くことができ、先端にコットンを挟んで耳掃除に使うこともできます。

使用後は他の犬に使い回さず、きれいに洗って保管しましょう。

ギムボーン イヤーパウダー

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イヤーローションで洗浄後、イヤーパウダーを吹きかけることで耳の中の乾燥を保ちます。

また耳毛を抜く際にも、滑り止めとして使用できます。その時は、初めにイヤーパウダーを吹きかけ耳毛を抜去後、イヤーローションで洗浄します。

スーパーキャット (Super Cat) らくらく耳そうじシート

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拭き取りタイプの耳洗浄シートです。

1枚1枚使い捨てなので衛生的で使いやすさはありますが、犬によっては匂いが苦手と感じる子もいるかもしれません。使用する際は耳の皮膚をこすりすぎないよう注意してください。

耳掃除の注意点

気づくと夢中になってしまう耳掃除。しかしやりすぎは耳を傷めつけ、外耳炎などを引き起こす原因になります。実際、飼い主の過剰な耳掃除や誤った方法がきっかけで慢性外耳炎に陥り、動物病院で治療を余儀なくされるケースが多くあります。

外耳炎が発生する要因の1つであるために、自宅での耳掃除をおすすめしない獣医師もいるくらいです。そのため耳掃除は毎日行わず、必要に応じて行うようにしてください。

初心者には難しい!自分でできない場合は?

耳掃除はお手入れの中でも難しいと感じる人が多いようです。

洗浄液を耳に注入したり、毛を抜くことに躊躇してしまう方は、動物病院やペットサロンで耳掃除をしてもらうことも可能です。

動物病院で耳掃除を頼むと、だいたい1500円~2000円ほどかかります。

ペットサロンではシャンプーなどの手入れに加えて、耳掃除をオプションでつけられる場所が多く、費用はだいたい1000円ほどです。

しかし毎回動物病院やペットサロンに足を運ぶのも一苦労ですし、その都度費用がかかってしまいますので、初心者の方は正しい方法を学ぶことから始めましょう。

耳掃除が嫌いな犬は?

耳掃除はデリケートな部分に触れることになります。犬によっては、体を固定されたり、異物を押し込まれたりするのは嫌だと感じる子もいるでしょう。

あまりに抵抗する場合、過去に耳掃除や顔に触れられた際に嫌な経験をし、拒絶することが多いです。暴れ回る犬を無理やり押し付けて耳掃除を行うと、耳を傷つけることがありますし、ストレスを与えてしまうことになります。その後も耳掃除を嫌がるようになるので、力任せに行うのは止めた方が良いでしょう。

犬の抵抗を抑えるためには、子犬を飼い始めたときから口の中や耳の、顔、足先にたくさん触れておくことが大切です。スキンシップとして触れ、おとなしくしていたらご褒美(おいしいおやつを与える、褒めるなど)を繰り返し、その流れでお手入れも行います。

そうすることで徐々に慣れていき、耳掃除だけでなく爪切りやブラッシングなどのお手入れも、大人しくさせてくれるようになります。

まとめ

今回は耳掃除についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

耳垢は放っておくと耳を不衛生にし、時に病気を招く恐れがあるものです。定期的な耳掃除は必須ですが、誤った方法では逆に耳を傷つけることがあります。

そう考えると、やっぱり耳掃除は難しい!と思ってしまいますよね。耳掃除だけでなく、他のお手入れに関しても、慣れないうちは難しく感じるものだと思います。

しかし犬に必要なお手入れ法を習得するのも、飼い主の重要な役目ではないでしょうか。やり方がわからない場合は、動物病院やトリマーに相談し、できることを増やしていきましょう。

飼い主のお手入れによって、多くのトラブルを予防することができますよ!