犬たちが生活する上でとても大切なのはやはり栄養を摂取するために欠かせないごはんの時間です。
手作りごはんを作られている方ももちろんいらっしゃると思いますが、多くの方がドッグフードを購入されているのではないでしょうか。
今回はドッグフードが原因で起こりうるトラブルの一つであるアレルギーについてお話しさせて頂こうと思います。
アレルギーとはどんなことが起こるのか、万が一アレルギーであることがわかった場合どのようなドッグフードを選ぶべきなのか、そのためにもドッグフードはどんなものなのかという原点に戻りつつお話しようと思います。
ドッグフードについて知ろう
ドッグフードにはいろいろな種類がある!
まずドッグフードとは蛋白質や炭水化物、ミネラルなど犬の生活に必要な栄養素が最適な配合で作られた総合栄養食を指します。
大まかに市販のものと病院で購入する療法食に分かれており、健康上特に問題無い子は市販のドッグフードを購入する機会が多いと思いますが、今回お話しさせて頂くアレルギーや、泌尿器系の疾患、消化器疾患などで特定の成分を摂取するに当たり制限されていたり、その疾患の状態を少しでも緩和するために必要な成分を配合しているのが特徴となります。
基本的には療法食は治療の一環であるため、獣医師の処方があってから購入する流れが一般的です。
該当する疾患が確定し、療法食を用いての治療することがかかりつけの先生との間で決まってから、どのメーカーのものを選ぶという流れになるでしょう。
そしてドッグフードは他にも形状でグループに分けることができます。
カリカリとしたドライタイプ、シチューや缶詰にお肉のムースが入っているようなウェットタイプ、形はドライタイプと似ていますが、指で押すとつぶれるセミドライタイプの大まかに三つに分けられます。
それぞれにメリットデメリットはあり、どの形状のものでもきちんと栄養に関しては総合栄養食として成り立つよう、カロリーや栄養素の組成はきちんと計算されています。
それぞれのメリットデメリットに関しては後ほどお話しさせて頂きたいと思います。
さらに、人間と同じで必要な栄養素やカロリーは年齢によって異なるため、世代別でドッグフードは組成が異なっていることも知られています。
最近では被毛が特徴的な犬種には被毛に良い成分を・・・など犬種別のフードも市販されています。
色々なフードがあることがわかりました。
ではどんなものを選んだらいいでしょう?
どんなドッグフードを選べばいい?
ドッグフードにはいろいろなグループ分けがあると言うお話をさせていただきました。
まずはお家の子が該当するタイプのドッグフードを選びましょう。
組成が異なるので、1歳未満の子であればパピー用、中高齢になった場合はシニア用など年齢に応じたものを選びます。
月齢に応じていないものを選んではいけないわけではありませんが、パピー用はカロリーが高めだったりするので太りやすくなったり、シニア用のものも太りすぎないようにカロリーが抑えられたりしていることもあるので、栄養過多になったり逆に栄養不足になる可能性があるので避けた方が良いと思います。
そして粒の大きさなどにも違いがあるので、小型犬用大型犬用などの体格もお家の子にあったものを選ぶ必要があります。
前述したフードの形状も選ぶ必要があります。
ドライタイプ、セミドライタイプ、ウェットタイプの主に3つからなり、嗜好性も含めメリット・デメリットを考えて選んでいただく必要があります。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
まずドライタイプのドッグフードです。
あげていらっしゃる方が最も多いのではないかと思います。
水分を含んでいないので、少量でもしっかりとカロリーを摂取することができ、バリエーションも多いのがメリットと言えるでしょう。
デメリットとしては乾燥しているごはんのため歯が悪い子や口内炎など口腔内トラブルがある子は食べにくいごはんと言えます。
そして匂いもウェットフードと比べるとあまりしないため、個体差はありますが、苦手な子もいると思います。
そしてウェットタイプです。
メリットとしては、お水をあまり飲む習慣のない子や、少しでも多く水分を摂取した方がいい子は、水分の含有量が多いのでより水分をとれます。
そして匂いなどもよくたつ為おいしそうと感じる子は多いようです。
デメリットとしては水分も含んだ容量になるので、ウェットフードだけで必要なカロリーを摂取するとなると食べる量は多くなるため、食欲がない子や高齢であまり食べられなくなっている子、若齢でまだそんなに胃が大きくない子などは負担がかかってしまう可能性があります。
そしてセミドライタイプです。
メリットとして、ドライタイプのように少量でもしっかりカロリーを摂取できるという良いところを持ちながら、柔らかさもあるので歯が悪くてドライタイプが苦手な子でも食べやすいというメリットがあります。
デメリットとしては、ドライタイプやウェットタイプのドッグフードに比べるとバリエーションには欠けるという点があるかもしれません。
どんなものでも食べてくれるのであれば、療法食はドライフードであることがほとんどなので、将来的な病気になってしまったときのことや歯石のつきにくさなども踏まえてドライフードを選んでいただくのがおすすめです。
そして最後に、もう一つ選ぶ際に大切なのがドッグフードの原材料です。
これがアレルギーに一番関わってくるため、一番大切です。
細かくは後述するとして、今回は簡単に分類させていただきます。
まず蛋白質が何を使用しているか、穀物となるものが何を使用しているかと言うことが選ぶ決め手になります。
蛋白質はチキンを使用していることが多いですが、他にもビーフ、お魚などを使っているものもあります。
穀物は小麦、米そしてアレルギーに配慮してエンドウ豆やタピオカなどを使用しているものがあります。
一番アレルギー配慮できるのはどんなドッグフードの原材料の組み合わせか気になりますよね。
そもそもアレルギーとはどんな病気なのでしょうか。
先に勉強していきましょう。
アレルギーとは?
アレルギーってどんな病気?
まずアレルギーとは一種の免疫反応の異常になります。
本来自分以外のものが体の中に入ってきたときに、異物として対応すべく免疫反応が起こるのですが、過剰に反応をするのがアレルギー反応です。
アレルギーというとまずドッグフードからのアレルギーを連想しがちですが、原因となる物質「アレルゲン」は口から入れるものだけではありません。
例えば、接触性アレルギーと言われる皮膚に触れたものから皮膚が炎症を起こして皮膚炎を起こすこともあり、これは敷物や毛布などの素材であるウールやコットンなど、お散歩コースの植物などもアレルゲンとなり得ます。
他にもカビやたばこの煙などを吸い込んで、これらがアレルゲンとなり、アレルギー反応を起こしたり、ノミに噛まれたことでアレルギー反応を示すこともよく知られています。
見ていくとよくわかるように、アレルゲンとなり得るものは生活の中の身近なところにあふれていて、その子の体質でアレルギー反応を起こしやすい子は、特定のものがアレルゲンとなってしまいます。
また、そのためアレルギー反応が生後まもなく出ることは少なく、何度もその子にとってアレルギー反応を示しやすいものを何度も体内に取り込むことでアレルギーの発症へとつながるため、生後半年くらい以降であると言われており、だいたい1歳から3歳で発症するケースが多いです。
アレルギーになるとどんな症状が出るの?
アレルギーとは免疫反応が過剰に起こることだとお話ししましたね。
アレルゲンを体内に取り込んだとき、接触性のものであれば触れた部分だけ、ドッグフードなど体の中に取り込んで反応を起こした場合、全身で炎症が起こります。
人間だとアレルギーというとくしゃみや鼻水が一般的ですが
犬の場合、皮膚炎や下痢、嘔吐などの消化器症状が出ることが一般的です。
素材や植物などのアレルゲンによる接触性のアレルギーの皮膚炎であると、そのものが触れた部分になるため、皮膚炎が起こりやすい場所というのはありません。
しかし、ドッグフードなど体の中に取り込み、全身性のアレルギー反応が出る場合、皮膚炎の状態に特徴があります。
まず、体の中からの反応のため、左右対称性に起こると言うことが言えるでしょう。
例えば両側の内股部分や、両眼の瞼部分など片側だけでなく両側に起こります。
そして、粘膜と皮膚の境界線の部分に起こりやすいと言われています。
例えば目の縁や、肛門の近く、口の周りなどがあげられるでしょう。
特にドッグフードなど食物性のアレルギーである場合、食後にすごく口周りを痒がる、排便の際にすごく肛門周りを痒がるということが多いと言われています。
ドッグフードがアレルゲンとなってのアレルギーの場合、下痢や嘔吐も特徴的です。
特定のドッグフードを食べた後に必ず嘔吐をしたり、下痢までは行かなくても、便が固まりきらないというのはアレルギー反応を起こしている可能性があります。
ただ、一時的なものの可能性もあるので、疑わしい場合、どんなものを食べたときにその症状が起こったのか、その原材料はどんなものだったのか、そして身の回りの敷物やお散歩ルートの植物はどんなものかなどまで、よく観察し記録しておくと受診の際にスムーズかもしれません。
アレルギーになったらどんな治療をするの?
アレルギーが発症してしまったらどんな治療が必要になるのでしょうか。
まず炎症が起こっているため、消炎剤で炎症を抑えます。
以前はステロイドと呼ばれる種類の消炎剤が一般的でしたが、このお薬には欠点があり、肝臓に負担をかけたり、本来体内で作られている成分のため、飲み続けることで体内の成分が分泌過剰になるなどの副作用があることが知られていました。
今では炎症のある部分にのみターゲットを絞って炎症を抑える副作用の少ない消炎剤が開発されたため、そちらを使用するケースも多いです。
ただし、アレルギーは一時的な病気ではないため、一生お付き合いをしていく必要のある病気です。
一時的な薬の投与だけでは完治をせず、もっと言ってしまえばどんな方法を用いても完治をすることはほぼありません。
日常生活の見直しが必要となります。
特にドッグフードは食物アレルギーの子にとっては見直すべきものになります。
検査などで何に対してアレルギー反応を起こしているのかを探ったら、そのアレルゲンを除去したごはんを食べる必要が出てくるでしょう。
一番は療法食という病院で取り扱われるドッグフードをかかりつけの先生と相談して決めることが安心です。
アレルギーになりにくい原料や科学的に分解をして、免疫細胞がアレルゲンとその物質を反応しなくなる処置などがしてあります。
ただ、やはり療法食は市販されているドッグフードと比較するとすこし価格が高くなるなどの欠点もあげられます。
では完全なアレルギーと診断される前やアレルギーになりにくそうなドッグフードはどのように探したら良いのでしょうか?
アレルギーとドッグフードの関係
ドッグフードの何に気をつけなきゃいけないの?
一番に注目すべきは原材料でしょう。
ドッグフードは主に蛋白質、穀物、油分、場合によっては野菜などとミネラルが原材料となることが多いです。
蛋白質がチキンであることが一般的ですが、ポークやビーフのもの、そしてラムやカンガルー肉が原料というものもあります。
もちろん魚の蛋白質でサーモン、タラ、ニシンが原料というものもあります。
確かにチキンのアレルギーは多いですが、必ずしもアレルギーの症状が出たからチキンのアレルギーというわけではありません。
また蛋白質だけでなく、穀物も反応する場合があり、穀物は主に小麦、米、いもなどがあげられます。
アレルギーの症状が出ていない場合でも、ドッグフードの原材料はパッケージの裏面などに記載してあることが多いため、見る習慣をつけると良いでしょう。
蛋白質そのものだけでなく、例えばチキンアレルギーだった場合に、卵や鶏脂などに対しても反応する場合があるので、動物であれば、その種のものは避けた方が安心かもしれません。
またごく稀ですが、原材料の蛋白質や野菜、穀物には反応しなくても保存料などに反応してしまうケースもあります。
アレルゲンは避けているはずなのに反応が出る場合、その可能性や他にもアトピーなどアレルギー以外の疾患が併発してしまっている可能性もあるので、その場合はかかりつけの先生と相談した方が良いでしょう。
アレルギーに向いているドッグフードは?
その子のアレルゲンが含まれていないドッグフードが一番ですが、チキンや小麦などはアレルギーの子が多いので、まずは避けてみるのも良いかもしれません。
また、稀少蛋白と言って、犬たちがあまり口にすることのない蛋白質を選ぶことも良いとされています。
カンガルー肉や鹿肉、馬肉、魚で言ったらタラやニシンなどはあまり原材料として含まれることもないので、試してみても良いと思います。
他にも穀物は小麦や米のアレルギーの子は多いのでさつまいもやタピオカなどにしてみても良いと思います。
しかし、アレルゲンが何かは検査をしてみないと全くわからないものなので、試してみて、それでもアレルギーの症状が変わらないようであれば、かかりつけの先生を受診し、検査をして療法食に切り替えた方が、痒みなどの負担からいち早く解放されると思います。
まとめ
食物性のアレルギーの場合、ドッグフードとアレルギーの症状は密接な関係があることがわかりました。
アレルギーでなくても、お家の子の食べているドッグフードの原材料は、毎回確認をして把握しておけると、もし万が一何か症状が出たときに動きやすく、診察もスムーズに進むでしょう。
お家の子の健康のためにも、しっかりドッグフードのこともよく学んで、把握してあげたいですね。