ラブラドールレトリバーは大型犬の一種で、聡明かつ穏やかな性格の持ち主です。大型犬ながらも落ち着きがあることで、世界中で人気の高い犬として長年愛されています。ラブラドールレトリバーは、日本でもペットショップやブリーダーなどから購入可能です。
ラブラドールレトリバーを初めて飼う際には、まずラブラドールレトリバーがどのような犬かを知っておくことが大切です。ラブラドールレトリバーの子犬の購入方法や正しい飼い方、しつけの方法などをご紹介します。
1.ラブラドールレトリバーってどんな犬?
ラブラドールレトリバーの歴史
ラブラドールレトリバー(Labrador Retriever)の起源は、カナダのニューファンドランド島だと言われています。16世紀にイギリスから入植した人々が、持ち込んだ犬種と島原産のニューファンドランド犬を交配させて、セント・ジョンズ・レトリバーを生み出しました。それから300年ほど経った頃に、イギリスの貴族がセント・ジョンズ・レトリバーをイングランドに輸入し、改良の末にラブラドールレトリバーが生まれたのです。
ニューファンドランド島では、セント・ジョンズ・レトリバーは漁で魚の網からこぼれ落ちた魚を回収する役割を持っていました。イギリスに持ち込まれて改良された後も、その忠誠心や作業能力が受け継がれ、イギリスでは水鳥猟や狩猟で活躍していたのです。
ラブラドールレトリバーが最初にひとつの犬種であることが認められたのは、1903年のイギリスです。その後、1917年にアメリカのAKC(American Kennel Club)でも認められました。ラブラドールレトリバーの人気は第二次世界大戦後に跳ね上がり、1991年にはAKCに登録されている犬種の中で最も人気の犬種に選ばれました。
日本でもラブラドールレトリバーは高い人気を誇っています。ジャパンケンネルクラブ(Japan Kennel Club)の犬種別犬籍登録頭数によると、2004年では15,895頭のラブラドールレトリバーが登録されており、すべての犬種の中で9番目に多い数です。2014年になると4,085頭で16位と下降傾向にありますが、大型犬の中ではいまだに人気の高い犬種です。
今日では、ラブラドールレトリバーは水鳥猟や狩猟だけでなく、家庭犬や麻薬探知犬、盲導犬といった幅広い分野で活躍しています。
2.ラブラドールレトリバーの特徴
体高と体重
ラブラドールレトリバーはがっしりとした体格で、成犬ではオスとメスでそれぞれ次のような体高・体重です。
体高:オス:57~62cm、メス:55~60cm
体重:オス:29~36kg、メス:25~32kg
子犬の頃は体重が下記のように増えていきます。
子犬の体重推移(目安)
月齢 | オス | メス |
1ヶ月 | 4.2kg | 3.3kg |
2ヶ月 | 9.0kg | 7.5kg |
3ヶ月 | 14.2kg | 12.1kg |
4ヶ月 | 19.0kg | 16.4kg |
5ヶ月 | 22.9kg | 20.0kg |
6ヶ月 | 26.1kg | 22.7kg |
7ヶ月 | 28.4kg | 24.7kg |
8ヶ月 | 30.1kg | 26.1kg |
9ヶ月 | 31.5kg | 27.1kg |
10ヶ月 | 32.7kg | 27.9kg |
11ヶ月 | 33.7kg | 28.6kg |
12ヶ月 | 34.5kg | 29.1kg |
上記の体重はあくまで目安で、体格によって差があります。肥満気味でないか、痩せていないかなど、こまめにチェックしてあげましょう。
ラブラドールレトリバーの性格
ラブラドールレトリバーは賢くおだやかな性格の持ち主で、しつけがしやすいでしょう。しかし、子犬の頃はやんちゃをするラブラドールレトリバーもおり、年齢を重ねるごとにおとなしくなっていきます。メスの方がおとなしく、独立心が強い傾向にあります。友好的なタイプで、見知らぬ人にも好意を示すため、番犬には向かないとされています。
人間はもちろん、他の犬との協調性も高く、相性にもよりますが、別の犬との共存もしやすいと言われています。子供に対しても優しく接することができるため、まさに家庭犬にふさわしいと言えるでしょう。
狩りで活躍する回収犬として生み出されただけに、運動が大好きで、1日中遊んでいても飽きないほどです。運搬作業を得意とするため、おもちゃを与えると執着する傾向にあります。
3.ラブラドールレトリバーの子犬の相場
ラブラドールレトリバーは、大きく分けてショータイプとペットタイプに分けられます。ショータイプはドッグショー向けで、ペットタイプは家庭で飼育するタイプです。
家庭犬向けのラブラドールレトリバーの場合、子犬の相場は20万円前後です。ドッグショータイプの犬はそれよりも高くつく場合が多く、親犬がチャンピオンなど血統や容姿によっては、100万円を超えることもあります。
また、ラブラドールレトリバーには数種類の色が存在し、チョコレートのラブラドールレトリバーは黒やイエローのものに比べて、価格が高い傾向にあります。性別で言えば、メスの方が価格が高いことがあり、これは繁殖をする目的だとメスが人気で、かつメスの方がおとなしいとされているためです。
4.ラブラドールレトリバーの購入方法
ラブラドールレトリバーを飼うと決めたら、どこでどのようにしてラブラドールレトリバーの子犬を引き取れば良いのでしょうか。
ペットショップ
ペットショップは個人経営のものから大型チェーン店まで幅広く存在します。お店によって取り扱っている犬種が異なりますが、ラブラドールレトリバーは大型犬のため、展示スペースの関係で大きいペットショップで見かけることが多いでしょう。
ペットショップにてラブラドールレトリバーを購入する際には、下記の点に注意することが大切です。
・動物取扱業者に登録しているお店か
・ケージやシーツなどが綺麗に保たれているか
・子犬の手入れが行き届いているか
・スタッフが犬についての知識を持っているか
動物取扱業者の登録は、動物を売るときに必ずしておかなければなりません。店内に「動物取扱業者標識」というものが提示されているか、確認しておきましょう。
ケージや子犬の手入れは、きちんとされていないと病気の原因になります。ペットショップによっては手入れが行き届いていなく、不衛生なところもあるのです。健康なラブラドールレトリバーを購入するためにも、ペットショップの衛生面はチェックしておきましょう。
お店のスタッフが犬に関する知識を持っていないと、子犬を購入した後に先天性の病気などのトラブルが見つかるかもしれません。信頼の高いペットショップから子犬を購入するには、お店のスタッフに下記のような質問をして、知識が豊富かを確かめてみましょう。
・どこのブリーダーから取り寄せているのか
・生後何日頃でお店に来るのか
・ラブラドールレトリバーの性格や飼育のポイント
ブリーダー
ブリーダーは、犬の交配から出産、改良などを行う業者です。ペットショップで売られている優れた血統の子犬は、ほとんどがブリーダーを介しているものです。
ペットショップではなくブリーダーから子犬を購入するメリットとして、下記が挙げられます。
・良質な子犬が見つかりやすい
・遺伝的な疾患や感染症などの心配が少ない
・犬の身元がはっきりしている
・ペットショップよりも安い値段で手に入りやすい
・専門的なアドバイスが得られやすい
ブリーダーは子犬が産まれた瞬間から優れた環境で育てます。容姿はもちろん、健康にも配慮されているため、良質な犬を見つけるには最適です。取り扱っている犬種の特徴をしっかり把握しており、かかりやすい病気が発症しないように交配の時点で気をつけています。
また、ペットショップの中には親犬が不明だったりと、身元がはっきりしない犬を販売しているとこもあります。ブリーダーは親犬だけでなく、その前の先祖まで把握しているため、子犬がどんな犬のもとで生まれたのかがすぐにわかります。
ペットショップでは、ブリーダーからの流通の過程で子犬の値段が高くなりがちです。ブリーダーから直接子犬を購入すると、仲介することがないため、その分安い値段で子犬を買うことができるのです。
さらに、犬のプロフェッショナルとも言えるブリーダーは、その犬種に関する知識が豊富なため、ペットショップよりも専門的なアドバイスをもらえるでしょう。
ラブラドールレトリバーを扱うブリーダーのポータルサイト
・みんなのラブラドールレトリバーブリーダー
・ラブラドールレトリーバー・ブリーダーズ
・ラブラドール・レトリバーの専門犬舎・ブリーダー グレイスフルランド
他にも、チョコラブ(チョコレート色のラブラドールレトリバー)や黒のラブラドールレトリバーを専門に扱っているブリーダーがいます。お住まいの地域や欲しいラブラドールレトリバーのタイプなどを考慮して、最適なブリーダーを探しましょう。
里親制度
ペットショップやブリーダーから購入する以外には、捨てられたり飼い主がある事情で飼えなくなったことで、引き取られた犬の里親になるという方法があります。保健所や動物愛護センターなどに保護された犬は、一定の期間の間に里親が見つからなければ殺処分されてしまうのです。
保護された犬を見つける方法としては、直接施設に足を運ぶか、インターネット上で公開されている情報を閲覧できます。
犬の里親情報が掲載されているサイト
・ペットのおうち
・NPO法人犬と猫のためのライフボート
・Dog Shelter
近年、犬や猫の殺処分が問題になっていますが、里親になることで一匹でも多くの命を救うことができます。ただし、里親制度を通してラブラドールレトリバーの子犬を見つけるのは難しい場合が多いのです。
また、引き取る際にワクチンや狂犬病の摂取をしなければならないことも多く、引き取った後に病気が見つかる可能性も十分にあります。引き取りたい犬がいれば、去勢や避妊手術はされているか、病気といった懸念点はないかなど、細かく確認するようにしましょう。
5.ラブラドールレトリバーの子犬を迎え入れたら
ラブラドールレトリバーを家族の一員にするには、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
最初のしつけが肝心
ラブラドールは賢く穏やかな性格なのですぐに家族に打ち解けるでしょう。しかし、それはしつけを行っている前提です。子犬のうちはいたずらをすることもあり、しつけがされていないとトラブルを起こすことになってしまいます。
ラブラドールの子犬のしつけは、褒めることが大切です。子犬のうちに成功体験をたくさんさせておくことで、飲み込みが早くなります。
ラブラドールの子犬のしつけポイント
・声に出して褒める
・成功したら撫でてあげる
・おやつを与える
ラブラドールレトリバーは狩りで飼い主の指示を聴いていたことで、音には敏感です。しつけ通りにできたら声に出して褒めると良いでしょう。
撫でる行為は飼い主とのスキンシップになり、犬は喜びます。ただし撫ですぎると犬が自分は飼い主よりも立場が上だと思い込む可能性がありますので、言うことをきいた時だけに限りましょう。
ラブラドールレトリバーは食欲が旺盛な犬なので、しつけの一環でおやつを与えるのは効果があるといえます。しかし、おやつのあげすぎは肥満を招きますので、1日の目安量をしっかり守りましょう。
トイレトレーニング
室内でラブラドールレトリバーの子犬を飼う場合は、トイレの場所を決めて、いつもそこで排泄をするようにしつけます。トイレトレーニングができていないと、家のあちこちで排泄をしてしまいます。
家の中でトイレをしてもいい場所にトイレシーツを敷いておきます。犬は排泄をしたくなった時、床の匂いをくんくん嗅いだりそわそわして落ち着きがなくなります。犬が排泄をしそうになったら、そこに連れていき排泄を促しましょう。その際、「ワンツー」といったコマンドを決めておくと、指示をするだけで排泄をするようになります。
子犬の頃は排泄の頻度が高く、トイレを失敗することが多くありますが、失敗しても決して叱ってはいけません。叱られることでトイレが嫌なものだと解釈する可能性があるからです。失敗した場合は、反応することなく速やかに片付けをしましょう。この時、匂いが残っていると、再度同じ場所に排泄してしまう可能性がありますので、しっかりと匂いを消すことが大切です。
食事の与え方
食欲旺盛なラブラドールは、飼い主が与える分だけ食べてしまいます。食事の量が多すぎると、肥満になりさまざまな病気のリスクを高めてしまうのです。ラブラドールレトリバーがいつまでも健康で暮らすために、毎日の食事の量や頻度には気を配りましょう。
子犬を引き受ける時は、なるべくその前に食べていたフードを与えるようにします。消化不良やアレルギー反応を防ぐためです。6ヶ月になったら、1日2~3回、ドライフードを与えます。
1才を過ぎたあたりから、少量のフードを1日2回与えるようにしましょう。成犬になっても子犬の頃と同じ量を与えてしまうと、肥満になりやすいといわれています。
7才を過ぎると消化吸収力が衰えるため、柔らかいフードに移行します。
散歩や運動は最低でも1日1時間
ラブラドールレトリバーはもともと狩りで動き回っていたため、かなりの運動量を必要とします。運動不足が続くと肥満を招くだけでなく、ストレスから問題行動を起こす可能性が高くなってしまうのです。
ラブラドールレトリバーの散歩や運動は、1回あたり30~60分を2~3回行うように心がけましょう。ただし、これは健康な成犬のラブラドールレトリバーの場合で、子犬の頃は身体が発達しきっていないため、都度様子を見ながら時間を調節します。老犬の場合も、体力が衰え関節にも問題が出やすいため、長時間の散歩や激しい運動はおすすめできません。
なお、ラブラドールレトリバーは泳ぎを得意とする犬種であるため、水泳をさせると良い運動になります。
さいごに
ラブラドールレトリバーの子犬を飼う際のポイントや基本的な飼い方をご紹介しました。
ラブラドールレトリバーは知能の高さと愛嬌から、多くの人々に愛されている犬種です。しつけや正しい飼い方をマスターすると、その可愛らしさが倍増するでしょう。
これから長い年月をラブラドールレトリバーと過ごすために、子犬の頃からしっかりとケアしてあげてくださいね。