昔から「忠犬」という言葉があるように、犬は飼い主のことが大好きになります。そして、いろんな場面で自分の感情を抑え込んで飼い主を喜ばせようと頑張ります。
でも、飼い主がそれに気づいてあげられないと犬にとっては大きなストレスになってしまうこともあります。今日は犬がストレスを抱えたときの行動パターンと対処方法についてご紹介しますので参考にしてくださいね。
犬がストレスを感じたときに起こす行動パターンとは?
犬は人間と違って言葉を話せません。だからこそ、犬の行動をよく見てストレスに一早く気づいてあげることが大切です。『可愛いな』と思ってみているその行動もストレスのサインかもしれません!
体の一部をひたすら舐めて毛が抜けている
猫はもともと自分で体をなめるのが大好きです。でも健康な犬にはそんな習慣はありません。犬が自分の体を、特に一か所をずっと舐めているときは、けがなど体調不良かストレスが原因です。特に運動ができていないストレスの可能性があります。
そのままにしておくと、毛が抜け落ちたり、皮膚病になってしまうこともあるので注意してあげましょう。
自分のしっぽを追いかけてくるくる回っている
子犬が好機心から自分のしっぽを追いかけてくるくる回るのは可愛いのですが、大きくなってからも続けている時はストレスを感じている可能性が大きいです。孤独で寂しい時や精神的に不安定な時によく見られます。ただ、寂しいことを飼い主さんにうまく表現できません。
この行動を放っておくと尻尾をかみちぎったり大けがをしてしまうこともあります。何度も愛情表現をして安心させてあげることが大切です。
同じ場所を行ったり来たりしている
特に、ケージの中に入れていたり、鎖でつないでいる犬が同じ場所を行ったり来たりしていることがあります。これは人間でいうところの貧乏ゆすりに近いかもしれません。
とにかく何か気に入らないことがあり、それを発散するために同じ動きを繰り返しています。何がストレス源になっているのか見極めてあげる必要があります。
下痢を繰り返している
健康な犬のウンチはわりと硬めです。軟便になったり下痢を繰り返している場合、多くはストレスが原因になっています。「食べたものが悪かったのかな?」とか「病気?」と心配になる飼い主が多いですが、まずは犬が何らかのことでストレスを感じていないか考えてあげましょう。
例えば、飼い主が夫婦喧嘩をして空気がピリついているというときも、飼い主が大好きな犬にとっては大きなストレスになるのです。
涎の量が増えたり、舌を出して呼吸が荒くなっている
犬は舌で体温調節をしています。舌を出して呼吸が荒くなっているときは、暑いと感じている時です。同時に涎が増えていたり、涎で口の周りが濡れているときは、何かを我慢している可能性があります。
特にハスキー犬など寒いところに強い犬は飼い主の温度に合わされると、いつも暑くてイライラしている状態になります。犬にとっての快適な温度も考えてあげるべきですね。
体を震わせている
犬がブルブルッと体を震わせるのは、ストレスを抑えるためです。子供たちから無茶苦茶な遊びに付き合わされた時や、犬が苦手とする香りの香水がきつい人といるときなどによく見られます。「飼い主を喜ばすために嫌なことでも我慢しなきゃ」と思って耐えているんですね。
ブルブルッっと体を震わせている犬に、「寒いの?」とばかりに毛布を掛けてあげたりしていませんか?それは大間違いです。今犬が何を我慢しているか、何でストレスを感じているかを探してあげましょう。
あくびを何度も繰り返している
犬があくびをするには眠たいからではありません。特に飼い主の目を見ながらあくびをしてきたりします。それは犬が何らかのことで強いストレスを感じているのを、「あなたのために抑えています」というサインなのです。
犬は、あくびをする瞬間なんとなくストレスを忘れることができます。それで、何度もあくびを繰り返し、ストレスを忘れようと懸命になっているのです。
例えば、散歩に行く時間なのに飼い主が友達とおしゃべりに夢中になって忘れてしまっている時など、「気づいてほしい、本当はお散歩に行っている時間のはずなのに、でも飼い主さんが楽しそうだから我慢する」といった心理かもしれません。
なぜ犬がストレスを感じているのか原因を探る
犬も人間と同じでいろんな個性があります。ですからストレスを感じている原因も様々です。でも人間と違って、「これが嫌」と主張することはほとんどありません。そこは飼い主が犬の些細な変化に気づいてストレス源を見極めてあげることが大切になってきます。
では、犬にとってストレスになりえるどんな状況があるでしょうか。
食事の量は適切か再確認
犬はかなりの美食家です。また食べ物をガツガツ食べることに喜びを見出します。それで、犬が「美味しくない」と感じるドックフードがずっと続いたり、量が少なかったりすると確実にストレスが溜まっていきます。
特に、栄養価の高い値段も高いドックフードは一回にあげる量が少ない時があります。飼い主にとっては、十分な栄養価のいいドックフードを選んであげている感がありますが、犬としては常にお腹が空いている、不満足な状態が続いているかもしれません。
噛むということでストレスを発散できるように何か対策を考える必要があるかもしれませんね。
病気やケガをしていないか
人間でも病気やけがをするとメンタルが弱くなりますね。犬は、本来病気やけがを自分で治そうとする生き物です。そのため、病気やけがになると飼い主との接触ですらストレスになることがあります。
ただ、最近では生き物の世界も人間とのかかわりの中で多種多様の病気やケガがあります、犬が自力で治すことは難しいものが多いですね。飼い主が病院に連れて行ってあげることが必要です。でも、その一連の流れが犬にとってストレスになりえるということも覚えておいてあげるといいでしょう。
気温や湿度は適切か
犬は汗腺がありません。汗で体温調節することができないのです。それで舌を出してハアハアと息をし体温調節をしようとします。湿度も苦手です。人間も蒸し暑い日に着ぐるみを着て一日生活するとどうなるか、考えてみましょう。かなり苦しいですね。
犬にとっては、人間からすると「ちょっと蒸し暑いかな」くらいの日でもかなりしんどいことがあります。これは犬種にもよりますが、犬ぞりや狩りに行くような犬は一般的にとても暑がりです。自分の家の犬が適した温度はどのくらいか、温度調節のためにどんな工夫をしてあげられるかを知っておきましょう。
苦手な障害物が近くにないか
犬は人間の何倍も視覚と聴覚がすぐれています。ですから人間にとっては特に気にならないものでも犬にとってはかなり不快な存在になることがあります。目の端をちらちら動くように感じるものや、犬の嫌いな周波数を発する物などです。
特に、掃除機やドライヤーの音が嫌いな犬は多いですね。シャンプーした後のドライヤーが大きなストレスになることもあります。また、花火や雷のような大きな音も苦手です。犬にとっては、原因不明の爆音です。夏の時期は特に注意してあげましょう。飼い主不在の時に大きな音を聞くと余計に不安になりストレスを感じる犬も多いです。
飼い主と接する時間は十分か
飼い主が好きな犬にとって何よりのストレスとなるのは、飼い主との時間が少ないということでしょう。犬は気持ち的にはかなり束縛系の彼氏のようです。飼い主が家にいるとはいえ、自分のことをまったくかまってくれなかったり、イライラしているとストレスを感じます。
また、いつも帰ってくるはずの時間に帰ってこないとその後の時間はずっと寂しさを押し殺して過ごします。犬がストレスをため込まないように、犬のための時間をしっかりとってあげましょう。
家族が加わり嫉妬をしていないか
犬は、受け入れられた時の家族構成を「ご主人様家族」と認識します。その後に加わる家族に対しては少々複雑な気持ちになることが多いです。例えば「赤ちゃんが生まれた」「彼氏ができた」「いったん家を出ていた家族が戻ってきた」といった状況です。
そして犬としては「新しい家族」と認識する存在がみんなの中心になったり、飼い主さんの愛情を受ける側になると嫉妬したり、悲しくなったりでストレスを感じます。
家族が増える前にはよーく話をしてあげましょう。また、犬が寂しい思いをしないように飼い主さんがたくさんの愛情を伝えてあげることも忘れないでください。
今からできる犬のストレスを発散させる方法
ストレスは人間にとっても犬にとっても大敵です。犬はストレスを口に出せない分、飼い主は早めに犬のストレスに気づき、ストレス解消できるように助けてあげることが大切です。ではどんな方法があるのでしょうか。
新しいおもちゃで探索欲求を満たす
ドッグランのような庭がついている豪邸で犬を飼っている人なんてほとんどいません。もしかしたら犬としては、お家の中の景色に見飽きてしまってお留守番自体がストレスになっているかもしれません。
もともと犬は大変気浮き心旺盛な動物です。それで、そんなに高価でなくてもいいので、新しいおもちゃを定期的にあげましょう。夢中になっておもちゃに取り組むことでストレス解消ができます。
中におやつを入れることができるタイプのおもちゃは、おやつを食べるまでいつまでも夢中になれるのでお勧めです。しかもストレス発散しながら遊ぶわりには、おやつ摂取量は減らせるので肥満防止にもなります。
新しい散歩コースで追跡欲求を満たす
好奇心旺盛な犬のストレス解消には、新しい世界を知ることが効果的です。休みの時など時間がある時には、いつもの散歩コースとは違う道を行ってみたり、ドッグランがある場所に連れて行ってあげたり、公園で他の犬と会えるようにしてあげるのもいいですね。
ただ、犬によって性格が違うので、いつもと同じ道でいつもの友達に会えることを楽しみにしている犬もいます。新たな場所でほかの犬に合うことがストレスになる犬もいるので、そこは飼い主が犬の性格を見極めながら世界を広げてあげることが大切です。
フローリングにコルクマットを敷く
室内外の犬が怪我をしたり体をこわす意外な原因に「フローリングの床」があります。犬はそもそもしっかり地面を踏みしめて歩いたり走ったりする動物です。多少のガタガタ道はへっちゃらです。ところが、フローリングのような滑りやすい床は逆に苦手なのです。
滑りやすいので爪を立てて走ることで爪を怪我したり、滑りやすい床でジャンプしたりすると腰やひざを痛めることがあります。
身体に痛みがある、というのは犬にとっても大きなストレスですからね。フローリング全体にコルクマットを敷いて、滑りにくくしたり衝撃を吸収できるようにしてあげるといいでしょう。
借家の場合、家を出るときにフローリングの傷でお金を取られることもあるので、いずれにしてもコルクマットを敷いておくのは賢い選択です。
飼い主自身がストレス発散する
犬は飼い主の気持ちや感情、ストレスにも非常に敏感です。特に飼い主が負の感情が強い時は犬にとってはストレスになります。とはいってもいつもハッピーハッピーではいられませんが、気分によって犬に対する対応を変えることはやめてあげてください。
飼い主自身が上手にストレスを発散できるように工夫しましょう。できれば犬と一緒にゆっくり時間を過ごしたり、散歩をしたりといった活動が飼い主にとっても犬にとってもストレス解消となるといいですね。
犬はとても敏感な生き物、寄り添うパートナーを大切に
犬は、人間と一緒に暮らすときに、自分の生活を人間に合わせようとします。そのために無理もいっぱいするのですが、それでも飼い主に喜んでもらいたいと思うのです。それで、特に飼い主の気持ちにとても敏感です。
飼い主が、何かのことで悲しんでいたり怒っていたりすると、犬は自分のせいかと思い自分を責めてしまうことがあります。そうなると犬にはストレスですね。
犬を飼うということは、「自分のことをまっすぐに思ってくれる、とっても繊細で優しいパートナーと暮らす」ということです。お互いにとって毎日の生活が心地よいものとなるように、犬を理解し、また犬にたくさんの愛情を伝えるようにしましょう。