柴犬を家に迎えたら、しつけのほかにも欠かせない事の1つに毎日の散歩があります。柴犬に限らず犬にとって散歩は楽しみの1つです。
散歩は運動不足解消や、筋肉や関節の発育に必要不可欠なものですが、犬の社交性を育てる大切な場でもあります。
犬にはそれぞれに縄張りがあり、その中を信頼している大好きな飼い主さんと一緒に歩くことは、ただ単に歩いているだけのようにみえますが、犬にとってとても重要な意味があり、人が散歩をするのとは全く違う意味合いがあります。
柴犬にとって適切な散歩の距離
柴犬はもともと猟犬だったので、小さい体の割には運動量があります。一体どれくらいの距離を散歩させたらいいのでしょうか。
成犬で元気な柴犬だと、だいたい体重と同じだけの距離が必要だと言われています。10kgの体重だとすると、約10kmの散歩が必要だと言うことです。時間にすると約1時間程度ですね。朝と夜の1日2回に分けて30分ずつ散歩をさせてあげるといいです。
ただし、個体差があるので、必ずこの距離と時間というものではありません。老犬はもう少し少なくなりますし、同じ若い犬でもオスとメスでは多少違ってきます。目安としては、散歩から帰ってきて、落ち着いてウトウトしているのなら散歩に満足していますし、帰ってきてもまだ走り回ったり、遊びをおねだりしてくるようなら、散歩が足りなかったのかもしれません。
逆に、ぐったりしていたりすると、散歩の時間が長かったのかも知れませんね。その時、その時の様子を観察して、その子に合った散歩の距離を見つけてあげてください。なかには、2時間散歩をしても平気という子もいてるようです。
子犬を初めて外に出すのは生後何ヶ月がいいの?
柴犬の子犬を初めて散歩に連れていく時は、飼い主さんも緊張しますよね。ちゃんと歩いてくれるのかどうか、他の犬に吠えられたりしないかどうかなど、子犬も飼い主さんもドキドキです。
子犬は3回のワクチン摂取を済ませないと、散歩には連れて行かないほうがいいとされています。ワクチンの摂取は1回目は生後42日~60日前後、2回目は63日~90日前後、3回目は84日~112日前後が一般的です。子犬を散歩に連れて行くのは、ワクチンの摂取が終わるだいたい4ヶ月頃からがいいとされています。
しかし、子犬が1番社交性を学ぶのは生後2ヶ月から4ヶ月にかけてだと言われています。4ヶ月を過ぎると社会性を身につけることが難しくなるので、できれば早い時期からお散歩に連れていってあげることが大事です。
そうすると、ワクチン摂取が終わる4ヶ月では遅いということになってしまいますよね。どうしたものかと悩んでしまいますが、実は今からすぐにできることがあります。
それは、抱っこをして外に連れて行くことです。病原菌が気になる地面や、草むらなどに降ろさなければ、悪いものに感染するリスクは避けられますし、抱っこをしたままでも、知らない人や犬に触れ合えることはできます。車の音や人間社会の音にも少しずつ慣らしていってあげましょう。
早ければ早いほど、社交性のある子になります。柴犬は大人になると、柴犬独特の性格で、人に媚びたり、他の犬にしっぽを振って寄って行く事はあまりありませんが、子犬時代に社交性を身につけた子は、むやみに吠えたり、威嚇したりするような事はありません。
ただし、抱っこをするとはいえ、外に出る時は必ずリードをつけてあげてください。初めての音にびっくりして、暴れて飼い主さんの腕から飛び降りてしまうこともあります。はずみで車道などに飛び出してしまうと、車にひかれたりなど事故にあってしまう場合もあったり、そのまま迷子になってしまうこともあります。
リードをつけていると、そのような事故は未然に防ぐことができます。子犬を外に出す時は細心の注意をはらいましょう。
初めての散歩は子犬のペースを大切に
初めてのお散歩デビューは、どこに行こうか楽しみでもあり、不安もいっぱいあると思います。初めて地面に降ろしてのお散歩に適した場所は、なるべく静かな場所がいいと思います。公園や河川敷など比較的車の通りが少ない場所がいいでしょう。
初めて子犬を地面に下ろしたとき、大抵の子犬はその場から動こうとしません。無理やり引っぱったりするとよけいに怖がって、お散歩嫌いになってしまうかも知れません。
子犬がその場に慣れて、自分から動くのを待ってあげましょう。
初めてのお散歩はたくさんの距離を歩く必要はありません。地面や外の雰囲気に慣れさせてあげるだけでも十分です。慣れない雰囲気の中で、無理やりたくさん歩かせると緊張して疲れてしまいます。ゆっくりのペースで始めてあげるのがいいですね。
楽しく散歩をするためのしつけ
子犬もお散歩に慣れてくると、早く早くと言わんばかりに、飼い主さんをグイグイと引っ張るようになります。その可愛らしさについつい、引っ張られるがまま散歩をしてしまいがちですが、それではワガママになって、いざと言う時に言うことを聞かない子になってしまいます。
そうならないためにも、子犬のときからしっかりと主従関係を教えることが大事です。
「待て」を教える
「待て」を教えることはとても大切な事です。子犬が自分勝手な行動に走りそうな時に、「待て」ができると、問題行動を抑えることができるからです。
子犬は好奇心旺盛で何にでも興味を示します。例えば、散歩途中に拾い食いをすることもあるので、「待て」と声を掛けることで、拾い食いを止めさせることができます。
拾い食いに関しては、時々ニュースでも報道されるように、犬の命を奪いかねないことにもなりかねます。もし拾い食いをしてしまったら、必ずその場で叱って拾い食いはいけないことだと教えましょう。
最初の1歩を踏み出すのは飼い主さんから
家の玄関を出る時、信号待ちからあるき出す時、必ず飼い主さんが先に1歩を踏み出しましょう。玄関をドアが開くと、子犬は喜んで飛び出そうとしますが、どんなときでも行動を起こすのは、主人である飼い主さんが先です。
子犬が先に行動を起こしてしまうのを許してしまうと、自分が上だと思ってしまいます。散歩中もリードを引っ張ったりした時は、リードを引いてわざと嫌な思いをさせると、何回か繰り返すうちに、「リードを引っ張ると嫌な思いをする」と学習して、引っ張らなくなります。
犬は自分を取り巻く環境の中で自分を基準に上か下か順番を決めます。飼い主さんを自分より下と思ってしまったら、どんなに叱っても言うことを聞かないばかりか、吠えて威嚇したりするようになってしまいます。
そうならないためにも、常に飼い主さんが上である事を認識させましょう。とは言え、言うことをきかないからといって、むやみに叱ったり、叩いたりの体罰は厳禁です。
毅然とした態度で言葉は短く、はっきりとした口調で叱ると、犬もいけないことだと、理解します。
また、子犬は「甘噛」をします。「甘噛」とは興味をもったものを噛む事ですが、実際は思い切り噛むのではなく、歯を軽く当てる程度のものですが子犬の歯は小さくて尖っているので、結構痛いものです。もし、散歩途中に子供などが無防備に子犬の口元に手をだすと、カプッ!といってしまうことがあります。
子犬にとっては遊びなのですが、子供にとってみればびっくりしますよね。怪我をさせてしまうと大変な事になりかねません。
そういう思いもよらない事態にならないためにも、飼い主さんが常に気をつけて散歩をさせることが大切です。
柴犬はとても賢い犬種でしつけもしやすいです。とは言っても子犬のしつけは根比べです。1度や2度でできないからといっても諦めずに、できるまで根気強く行いましょう。
子犬にとって、他の犬とのふれあいはとても大切な事です。柴犬はよく吠えるなどと言われる事が多いのも事実ですが、きちんとしつけをされている柴犬は、成犬になっても自分から吠えるようなことは滅多にないです。
子犬の散歩の適切な距離や回数は?
子犬のお散歩をするために必要なしつけの話をしてきましたが、散歩をする場合、子犬にとってどれくらいの距離が適当なのでしょうか。
個体差があるので一概には言えないのですが、お散歩デビューしたての頃は、5分ほどでも十分です。子犬も緊張しているので、あまり長い時間の散歩は疲れさせてしまいます。家の周りを一周するくらいでもいいですね。
お散歩に慣れてきたら、少し時間や距離をのばして行きましょう。近くに公園や河川敷などがあればのんびりと散歩を楽しめます。
家に帰ってぐったりと横になったり、ハアハアと息遣いが荒いようだと、歩き過ぎが考えられます。もう少し短くしてみてもいいかも知れません。
柴犬は子犬とはいえ、運動量が多い犬種です。お散歩はできるだけ、朝と夜の2回は連れて行って、しっかりと無理のない程度で歩かせてあげましょう。
夏場の散歩で注意すること
散歩が大好きな柴犬ですが、夏場にお散歩をさせる時は注意が必要です。朝は早朝、夜は日が沈んで涼しくなってから行く事をおすすめします。
特に真夏の昼間のお散歩は絶対に止めてください。アスファルトからの照り返しを直接浴びることになるので、犬にとっては地獄のような暑さに感じます。汗腺が無い犬は体温がこもりやすく、パンティング(舌を出して、ハアハアと激しく息をすること)で体温調節をしています。
しかも柴犬はダブルコート(表面の毛の下にふわふわな毛が密集していること)なので暑さにはとても弱い犬種です。体温調節が苦手な犬は、暑い中散歩をすると熱中症にかかってしまうこともあります。
また、犬の肉球は裸足と同じなので火傷をしてしまいます。試しに真夏の昼間、裸足で地面に触って見てください。びっくりするほど熱いのがわかります。その上を裸足と同じ肉球で歩くのは犬にとってとても苦痛なことです。夏場のお散歩はなるべく涼しい時間に変更して、負担がかからないように散歩時間も早めに切り上げましょう。
冬場の散歩で注意すること
冬の散歩は飼い主さんの方に負担がかかりがちです。寒いと1日2回の散歩がとても億劫になってしまいますね。でも、寒さに強い柴犬は冬のお散歩が大好きです。飼い主さんは億劫がらずにお散歩に出かけましょう。
気温が下がってくると、柴犬は目に見えて元気に歩きます。足取りも夏場の暑い時に比べて軽く、歩くスピードも早くなってきます。心地良い風がふいたり、風景も秋めいてきたり、空の雲が変わってきたり、秋口のお散歩は気持ちのいいものです。この時期は少しお散歩の時間を長くして、いつもと違うコースを歩いてみるのもいいですね。
冬場になると、日の出が遅くなったり、日の入りの時間早くなるので、暗い中でのお散歩になることもあります。そこで注意をしないといけないことは、道端に落ちている物により注意をはらうということです。暗いと、落ちているものが見えず、犬が誤食をしてしまうケースがあります。
手元を照らすライトなどで、常に犬の足元を照らして、そういった事故が無いように気をつけましょう。
時間に融通が効く人は、明るい時間帯のお散歩に切り替えるのもいいかもしれません。
嫌いな音
花火や爆竹、雷の音にも注意が必要です。大抵の犬はこれらの音が嫌いです。中には恐怖を感じて脱走してそのまま迷子になってしまうこともあります。
犬は特に雷を怖がります。雷が遠くで鳴っていたりしたら、無理をして散歩に出ることは避けて、雷が完全に聞こえなくなったのを確認してから、お散歩にいきましょう。
そして花火などはなるべく避けるようにするか、予め音に慣らしておくようにすると、びっくりして脱走することは避けられると思います。いろいろな音に慣れさせることは、安全にお散歩をするためにも大切なことです。でも、どうしても嫌がる場合は、無理強いはしないようにしましょう。
苦手な音を嫌がってお散歩嫌いにならないように、飼い主さんが気をつけてあげてくださいね。
散歩の時間を決めない
散歩をする時間は毎日決まった時間に連れて行かないといけないと思っていませんか?散歩の時間を決めてしまうと、融通が聞かなくなって困ると言う話をよく聞きます。
毎日の散歩の時間が決まっていると、その時間になると散歩を催促するようになります。柴犬は賢いので、散歩の時間を覚えると、リードを咥えて持ってきて催促したりする子もいてます。とても可愛い仕草でついつい、頬も緩みがちになってしまいますが、飼い主さんの都合で、どうしてもその時間に行けないということもありますよね。
そこで、散歩に行く時間はあくまでも飼い主さんが主導権を握るということが大切です。毎日この時間というのではなく、行く時間をバラバラにすることで、おとなしく散歩に連れて行ってくれるのも待つようになります。
また散歩コースも毎回同じコースではなく、たまには違うコースに連れていくと、いい気分転換になって、喜んで歩いてくれます。
ただし、コースが変わると嫌がる犬もいるので、その場合は無理強いはせずに、いつものコースを歩きましょう。
さいごに
犬にとって、散歩の時間はストレスを発散させたり、体力、筋力をつけるための大切な時間です。そして何よりも、大好きな飼い主さんと歩ける嬉しい時でもあります。
愛犬との散歩の時間を楽しくするためには、まず、きちんとしつけをすることが切です。その上で体調管理もしっかりとして、他の犬とのふれあいも楽しみながら、散歩を楽しみたいですね。