子犬の健康管理で一番心配なこと。子犬が吐く原因と対処法

生後間もない子犬を家族に迎え、些細な事でも病気では?動物病院を受診すべき?と戸惑う事でしょう。

中でも、一見元気そうに見えている子犬が突然吐いてしまった時、大変戸惑います。でも、犬にとって「吐く」という行為は生理現象の一つでもあります。犬が吐く事への予備知識を持っておくと、子犬の健康管理は今よりもっとスムーズになるでしょう。

今日は子犬が吐いてしまう原因と対処方法についてご紹介しますので参考にしてみてくださいね。

子犬が「吐く」原因は病気?


犬と人間に「吐く」行為には実はとても大きな違いがあります。犬にとって「吐く」事は人間のゲップと同じ位簡単な生理現象の一つであり、育児手段の一つでもあります。つまり子犬が吐いたからと言って必ずしも重篤な病気という事ではありません。子犬が吐く場面は次のようなものが考えられます。

〇食事の直後
〇元気に遊んでいる最中
〇ハウスでくつろいでいる最中

と不意のタイミングが多いものです。それまで元気に走り回っていたはずが、突然立ち止まり、大量に嘔吐するのですから家族は大変驚くものです。

この行為は、犬の食性に大きく関係しています。犬は人間と違い目のまえの食べものを歯で噛み砕き飲み込む事はしません。
目の前の食べ物はたとえどんなに大量にあっても、すべて一気に飲み込みます。

もちろん噛み砕かずに飲み込むので、大きな物でも一気に飲み込んでしまいます。時には歯を使っているように見えることもありますが、これは人間の様に噛み砕いているのではなく、咥えて引きちぎる事で、飲み込めるサイズに調整しているだけです。

野生の環境下では、目の前の獲物を一旦すべて丸呑みに、安全な場所まで移動します。その上で、体を休めつつ時間をかけてゆっくりと消化をします。時に母犬は仕留めた獲物をまずは一旦飲み込み、安全な場所へ移動してから吐き戻し、子犬に与える事もあります。

この方法であれば、子犬は安全な場所でゆっくりと食事が出来る上に、母犬が胃の中である程度消化した柔らかい状態で食べる事が出来、離乳食の代用になります。

犬は元来この様な食性を持っているので、時には自分の胃の許容量をはるかに超える量の食事を一気に飲み込んでしまうこともあれば、一気に飲み込みすぎて喉が詰まる事もあります。この時、犬は一旦「吐く」事で不快感を解消し、もう一度食べ直します。

つまり子犬が吐いたからといって、必ずしも病気という事ではありません。

子犬の安全な「吐く」と危険な「吐く」の見分け方

子犬に限らず犬の「吐く」には2つの種類があります。一つは犬本来の食性に基づく安全な「吐く」行為です。安全な「吐く」の場合、犬は自分が吐いた物を直後にもう一度食べようとします。

吐くものは未消化なドッグフードが多く、粒の形状が残っている場合が多いでしょう。この時一旦飲み込んである事でドッグフードは胃液でふやけ柔らかい状態になっています。犬が自分の吐いた物にもう一度口を付けようとする場合は、安全な吐く行為と捉えてよいでしょう。

安全ではない場合、つまり危険な吐く行為の場合、犬は自分の嘔吐した物から遠ざかろうとします。この時吐く物は次のようなものが考えられます。

〇完全に消化された状態の食事
〇白く泡立った胃液や大量の唾液
〇黄色く濁った少量の胃液
〇強い酸の臭いのする液体

などです。この場合胃腸に何等かの病気がある場合や異物を飲み込んでいる可能性があります。度々繰り替えす時や、愛犬が次第に元気がなくなる、じっとしている場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。このように犬は吐く行為には2つの種類がある事をしっかりと覚えておきましょう。

子犬が吐いた時の対処法は?


子犬が吐いた時の対処法は、安全な「吐く」の場合は嘔吐物を片付ける必要はありません。大抵の場合、子犬自身が再度食べるからです。その時、いつもの食事に比べゆっくりと食べようとします。これは自然な行為であり、無理に片づけたり、取り上げる必要はありません。

子犬が食べきるまで、そっと見守ってあげましょう。フレンチブルドッグやパグ、シーズー、ビーグルなど特に食欲が旺盛な犬種の場合、勢いよく食事を飲み込んでしまう習慣があるので、場合によってはドッグフードを次のような工夫をしてあげましょう。

〇ふやかして与える
〇粒の小さな物を与える
〇一日の食事の回数を3~5回に小分けにする

という方法がよいでしょう。ドライフードは飲み込む事で胃液を吸収し3~5倍にも膨張します。その為、一気に膨らむドッグフードが胃に膨満感をもたらすうえに、食事の直後に走り回る事で子犬は不快感を憶え思わず吐いてしまうのです。

子犬に食事を与える時は、サークルの中で与え食後30分ほどはサークルの中でゆっくりと過ごさせてあげましょう。

子犬が吐いた直後に嘔吐物から遠ざかり、静かな場所やハウスに身を隠す場合、何度も嘔吐を繰り返す場合は危険なサインです。嘔吐物の内容をしっかりと確認してあげましょう。確認するポイントは次の5つです。

〇嘔吐物の色
〇嘔吐物の量
〇嘔吐の回数
〇嘔吐の頻度(何分おきか、食後どのくらい時間が経っているか)
〇嘔吐後の様子

です。言葉では説明が難しい場合、動物病院でも診察をスムーズに進めるためには携帯で写真を撮っておくとよいでしょう。短時間に何度も嘔吐を繰り返す場合や嘔吐をしているのに胃液しか出てこない場合は、異物を飲み込んでいることもあります。吐く事で異物を外へ出そうとしているにも関わらず、上手に吐き出せない場合何度も繰り返し吐きます。

特に子犬の場合、飼い主が思いもよらぬ物を飲み込んでいることもあるので、このような場合はすぐに動物病院を受診しましょう。子犬に多い異物の飲み込みは次のようなものが考えられます。

〇硬貨
〇サランラップや商品パッケージの袋
〇子供のおもちゃ
〇画鋲やねじ

などです。中でもサランラップの事故は意外に多い事を覚えておきましょう。飼い主が見ていない隙にゴミ箱をいたずらし、食べ物の臭いが残るサランラップを飲み込んでしまうのです。サランラップは胃の中で広がってしまい、たとえ不快感を抱いていても上手に吐き出す事が出来ません。その為何度も吐く行為をくり返し、胃液だけが吐き出されるのです。

もし、危険な「吐く」の気配を感じても、無理に子犬の口を開けさせたリ、口の中に飼い主が指を入れ引き出そうとしてはいけません。子犬が混乱しかえって喉の奥へと飲み込んでしまう危険性があります。危険を感じた時は、出来る限り子犬を刺激しないようにしましょう。状況によっては動物病院に連絡をし、応急処置の指示を仰ぎ、受診の手配をしましょう。

子犬が吐く場合、動物病院を受診する目安は?

子犬が「吐く」事で動物病院を受診する目安は、「危険」な嘔吐を繰り返す時です。まだ体が小さい子犬は、たびたび吐く事で直ぐに脱水症状を引き起します。脱水症状は一見ただ静かに伏せているだけにも思えますが、進行が早く命の危険も伴います。適切に処置をするには、動物病院で点滴を受ける事が望ましい方法です。

処置は早いに越したことがないので、心配な時は出来る限り早く動物病院を受診しましょう。

〇短時間に嘔吐を繰り返す
〇胃液だけを何度も繰り返し吐く
〇黄色く濁った胃液を吐く
〇臭いのとても強い胃液を吐く

このような場合、動物病院の早期受診が必要です。また、下痢や咳、鼻水といった別の症状を伴う時も早期に動物病院を受診しましょう。

子犬が何度も吐くと、思わず水だけでも、飲み込みやすいものならと与えてしまいがちです。でもこの方法はかえって胃を刺激してしまい、繰り返しの嘔吐につながる危険な方法です。

子犬が吐いた時は、その後3~6時間は水や食べ物をあたえずに、安静にさせる事が基本です。日ごろ用意してある飲み水を一旦片付け、おやつも控えましょう。

一定時間が経過した後に、飲み水を与え徐々にいつもの生活に戻します。食事の量は通常の量よりも半分程度に減らし、様子を確認してあげましょう。(ただし、安全な吐く行為で自らその場で嘔吐物を食べ直そうとする時は、そのまま食べさせて問題ありません。)

子犬が度々吐く場合は、食事の見直しも必要


子犬をペットショップから迎えた時に、ドッグフードもお勧めの銘柄を購入するでしょう。でも中には環境の変化からくるストレスや実は指定のドッグフードが体質に合わないこともあります。

また、次第にドッグフードをふやかしから硬いまま与えるようになると、途端に吐く事が増える事もあります。食後30分は安静にさせる事を実践していても、なかなか吐く回数が減らない場合はドッグフードの見直しが必要な事もあります。見直しのポイントは次の3つです。

〇給与量
〇原材料
〇トッピング

子犬が度々吐いてしまう場合は上記3つを見直してあげましょう。ドッグフードの給与量は同じ子犬用製品でもメーカーによって大きく異なります。たびたび吐く場合には、給与量が少ない製品を選ぶとよいでしょう。給与量が少なくても良質な栄養をきちんと摂取出来る製品であれば、食後の胃の急激な膨張を抑える事が出来、子犬への負担を軽減出来ます。

実は良質な動物性タンパク質をふんだんに配合している製品の方がより給与量を少なく抑える事が出来ます。少量で高栄養になるように工夫されているからです。

逆に穀類をメインにした安価な製品は低栄養の為、大量に食べる必要があります。この点をしっかりと確認し子犬用ドッグフードを選んであげると、子犬の吐く回数を減らす事が出来るでしょう。

子犬が「吐く」習慣はいつまで続く?

子犬が食後に吐く行為は、大抵の場合生後3カ月~半年程で収まります。次第に体が大きくなる事、ドッグフードを食べる生活に慣れる事で、吐く回数は減っていきます。でも中には生後一年を過ぎても吐く事が習慣化してしまうこともあります。

特に、シェパードやダルメシアンという犬種は吐く事が習慣化しやすいと言われています。例え安全な「吐く」であっても、繰り返す事で愛犬の負担になるものです。食事内容の確認、適切な食事を選ぶ事、安心して落ち着いて食事が出来る環境を整えてあげる事を心がけておいてあげましょう。

初めての子犬との生活は、戸惑う事が度々あります。生後半年までの子犬は、想像以上にデリケートなものです。不安を感じる時は出来る限り早期に動物病院を受診してあげましょう。

まとめ

犬は一度口にしたものを安全な場所に運んでからゆっくりと食べるという習性があります。そのため人間のように吐く=危険というわけではありません。

このように子犬が吐いてしまうのは安全な場合と体調不良などの危険な場合があります。まずは嘔吐物の確認、その後の子犬の様子をしっかり観察してあげることが重要です。

危険な場合はすみやかに獣医さんの診察を受けることをオススメします。また、吐く頻度が多い場合はドッグフードの与え方を見直してあげることで改善する場合もあります。

今日ご紹介した子犬が吐く原因、対処方法を参考にしてみてくださいね。