犬は基本的に散歩などで外出する事が大好きな動物です。リードやハーネスを持つだけで興奮するほどの喜びを見せます。
そんな犬ですが、中には散歩を嫌がる仔も存在します。家の中だと元気な犬が外に出た瞬間に置きもののように固まってしまう事があり、そんな犬を散歩させるのは大変です。
では、散歩を嫌がるようになった犬にはどんな原因があるのでしょうか?また、再び散歩を楽しむようにする事はできるのでしょうか?
犬にとっての散歩
ペットの2大巨頭である犬と猫を飼育する際の大きな違いは散歩の有無ですね。猫は人が思っているほどスタミナがあるタイプではなく、敏捷性には長けていますが、長時間動き回る事は得意ではありません。
ですが、犬は犬種によって変わってきますが、ある程度の時間動き回る事ができるスタミナがある動物といえます。
そのため、犬を飼育する際には散歩をする必要があります。犬種の中には運動不足になると、ストレスから破壊行動に出る犬種もいるので散歩などの運動は犬にとって非常に大切な事といえます。
では、犬にとって散歩とはどういったものなのでしょうか?
犬は逸走や野良犬でもない限り、飼い主や家族と一緒に外に出る事になり、生活の中で唯一の外出する機会が散歩の時間といえます。
なので、犬にとって散歩とは運動不足の解消とストレス解消になります。また、見知らぬ人や他の犬、見た事のない風景など家の中では感じる事がない様々な刺激を受け取る事ができる事も散歩のメリットといえます。
この刺激を受けるという事は最近多くなってきているといわれる認知症の予防にもなります。
飼い主や家族にとっての犬の散歩
また、室内でのスキンシップとは違い、室外でしか経験できないスキンシップもあります。歩いたり、走ったり、何かに夢中になって追跡行動をしたりといった様子も見る事もできます。
それは家の中では見る事ができない愛犬のもう1つの顔であり、それを見るのも楽しいものですよね。
家の中にいるだけでは運動不足になり、筋力が低下してしまいます。筋力が低下すると様々な日常生活で支障が出てきます。なので、散歩をする事で筋力の上昇や維持を行う意味も散歩にはあります。
飼い主や家族としても室内だけでは見る事ができない表情や行動ができる事も散歩の醍醐味といえますが、飼い主や家族としては散歩はそれだけではない意味があります。
それは、健康状態を見る事ができる有意義な時間であるという事です。動物は自分の体に例え痛みがあったとしても隠そうとします。これは犬も同じで、さらに動物は言葉を話せないので飼い主や家族は少しの異常も見落とさないようにする事が大切です。
疾患や怪我は早期に発見する事がより良いといわれています。また、早期発見する事でより多くの治療の選択肢があるという事もであります。毎日スキンシップをしていても、散歩などで外出しないと分からない事もあります。
散歩中に確認できる犬の体の異常
散歩中に確認できるものとしては、歩き方です。足を引き摺っていないか、ふらふらして歩いていないかなどを確認します。また、異常の有無を確認する為にはいつもの状態を把握していないと小さな異常は確認できません。
なので、常日頃から歩き方を確認するようにしておきましょう。更に呼吸状態や元気かどうか、行動の異常がないかといったものも確認しておきましょう。
これらも常日頃から犬を観察していないと異常に気づけないので常日頃からの観察をするようにしましょう。
また、最近では少なくなってきていますが、散歩中に排泄をさせている場合には排泄の状態を確認する事でも健康状態を把握する事もできます。
当然ですが、散歩中に排泄した場合にはしっかりと片付ける事は忘れないようにしましょう。犬を飼育する者の責任です。
排泄から分かるものとして尿の色・臭気・量、糞便の色・臭気・形・量・寄生虫の有無を常日頃からチェックしておくようにしましょう。
特にいつもよりも排泄が少ない場合には便秘の危険性もあります。また、ウンチの中に寄生虫が見える事もあります。基本的にうんちの中に寄生虫が確認された場合には体内、特に腸内に寄生虫がいる危険性が高いといえます。
犬の散歩の時間の目安
散歩の時間は犬種や大きさによって変わってきますが、チワワやヨークシャー・テリアなどの超小型犬の場合は1日に30分ほどで十分ですが、グレート・デーンやセント・バーナードのような超大型犬の場合には1日に1時間~2時間ほどは必要といわれています。
チワワやヨークシャー・テリアなどの超小型犬や小型県の場合は、室内で放し飼いにしているから運動は不必要と考える飼い主や家族もいらっしゃいますが、実際にはそういった犬種でも散歩は毎日必要です。
また、犬種の中には牧場などで使役した牧畜犬や様々な仕事に従事した使役犬、狩猟犬として活躍した狩猟犬などがいますが、こういった犬は他の犬よりも運動量は多い傾向にあります。
散歩に出かける時間帯
犬を散歩に出かける時間帯はいつでもいいわけではありません。なぜなら、犬は人よりも地面に近い場所にいます。また、地面の多くはアスファルトですが、このアスファルトは太陽の熱によって気温よりも高い状態になってしまいます。
その為に犬は肢の裏を火傷したり、熱中症になってしまいます。また、犬は体温調節が得意ではありません。
人は汗をかく事で体温を調節していますが、犬は汗をかく汗腺が足裏にしかなく、それだけでは体温調節が間に合わず、舌を出して呼吸するパンティングをいう呼吸方法で体内の熱を放散していますが、これにも限界があります。
なので、犬は人よりも熱中症になりやすいといえます。更に、パグやブルドッグなどのように鼻が潰れているような犬の場合は呼吸が上手にできません。
こういった犬を暑い時間帯に散歩に連れて行くと熱中症になりやすいので、涼しい時間帯に出かけるようにしましょう。
犬が散歩が嫌いな理由
犬にとって唯一の外出する時間である散歩は基本的にすべての犬が大好きですが、嫌いという犬も存在します。そういった犬も初めは散歩が嫌いだったというわけではなく、何かしらの原因によって散歩が嫌いなものとなっています。
疾患や怪我の可能性
散歩を嫌いな理由としては、疾患や怪我の場合があります。その場合には疾患や怪我の痛みによって動く事が非常に苦しい場合には歩きたがらなくなる事もあります。その場合には早急に動物病院で診察を受けるようにしましょう。
特に大型犬や超大型犬はあまりに運動する時間が長かったり、長時間の激しい運動を行うと関節の疾患を引き起こしやすい為に、注意が必要です。
ですが、疾患や怪我が確認されない場合には以前に散歩などの外出中に怖い経験をした場合があります。また、性格的に怖がりな犬も散歩を嫌がる傾向があります。
疾患や怪我以外の原因
他の犬に追っかけられたり、噛まれたりした、自動車やバイクなどにぶつかった経験が怖い経験として犬にインプットされて散歩を嫌がるようになる事もあります。
特に春と秋にある発情期の時期にはオスは気が立っている状態なので、他の犬にかまれてしまう危険性は高まります。
また、怖がりな犬の場合は町の中にあるすべてが恐怖の対象となり得るので、見知らぬ人や他の犬、自動車やバイク、自転車などが怖くて散歩を嫌がる事もあります。
怖がりな犬の場合には一歩も歩く事ができないという状態になる事が多く、歩かせる事は大変です。こういった場合にはリードやハーネスを装着しようとしただけで嫌がるそぶりを見せるようになります。
また、老年期に入ってくると若いころと比べて動けなくなってしまう為に徐々に散歩に行く事をしたがらないようになってきます。
散歩が嫌いな犬を散歩が好きな犬にするための対策
散歩が嫌いな犬を再び散歩が好きにさせる方法としては原因によって変わってきます。また、一度嫌いになったものを克服させるのは非常に大変で根気がいる作業です。なので、すぐに結果を求めずにじっくりとやっていきましょう。
疾患や怪我が原因の場合の対策
散歩を嫌がる原因が疾患や怪我の場合にはまずは原因となっている疾患や怪我の治療を最優先とします。
疾患や怪我が原因の場合には治癒すれば自然と元のように散歩に行くようになります。
精神的な事が原因の場合の対策
疾患や怪我が原因の場合は治癒すれば再び散歩に行く事が大好きになる事はありますが、原因が精神的なものの場合はより根気がいる作業となります。
過去に他の犬に追っかけ回れたり、噛まれたりといった事がある場合には散歩コースを変えてみる事も1つの方法です。恐怖の対象を取り除くようにする事で、散歩は怖いものではないという事を学習させていくことが大切です。
また、同じコースだと犬が飽きてしまう事もあるので、いくつかの散歩コースを決めておき、数日ごとに変える事は認知症予防にもつながります。
散歩を嫌がる犬へのタブー
散歩を嫌がる犬に対してしてはいけない事は叱ったり、怒鳴ったりする事です。ただでさえ嫌な散歩の時間が余計に嫌な時間となってしまいます。
人間でもそうですが、どうしても苦手なものに対して叱られたり、怒鳴られても根本的な解決にはなりませんね。叱られようが、怒鳴られようが、苦手なものは苦手であり、怖いものは怖いままです。
また、止まったり、地面に寝転がっている場合には声をかけたり、抱っこをしたりといった行動は行いがちですが、この方法は避けるようにします。
動かない犬に対しての対策
犬は賢い動物です。止まったり、寝転がったりした結果として、飼い主や家族が自分の要求を飲んでくれたと思い、次からも同じことをする危険性があります。
そういった場合には無視をして動くまで待ったり、引っ張ったりする事が有効な方法です。また、動かない犬に対して前から引っ張る事もあまりいいとは言えません。この方法は犬との引っ張り合戦となってしまいがちになり、犬も踏ん張ろうとします。その結果、首を痛めてしまう危険性もあります。
力が弱い小型犬や超小型犬であればこの方法でも動かす事はできますが、力が強い大型犬や超大型犬の場合は力負けする場合もあります。
なので、そういった場合には後や横から引っ張ると簡単に動きます。特に横からはより簡単です。そういうのも人でもそうですが、横からの力はあまり踏ん張る事ができません。
例えば、牛や馬などの人の何倍もある動物であっても横から押せば、前後からオスよりも簡単に動かす事ができます。
また、少し動いても直ぐに止まってしまう場合には根気がいりますが、繰り返し後谷横から引っ張って動かす事を繰り返し行います。これは犬との根気比べなので、絶対に負けないように根気よく続けていきましょう。
もし、食べる事が大好きな場合にはおやつで釣るというのも1つの方法です。食べる事が大好きな犬の場合はおやつで釣ると食欲に負けてすいすい歩く事もあります。
ただ、この方法の場合はおやつがなければ歩かないという事態も考えられるので、あまり多投しないほうがいいといえますね。
臆病な正確な犬を歩かせる方法
臆病な性格の犬の場合は、散歩のコースの折り返し地点まで抱っこをして運び、そこから歩かせるようにすると早く帰りたい一心で歩いてくれることもあります。
ただ、ずっと中間地点まで運ぶというのではなく、徐々に歩く距離を伸ばしていきながら散歩が怖いものではない事を学習させていきましょう。
ただ、大型犬や超大型犬の場合には抱っこなんてできないという人もいるでしょう。もちろん、大型犬や超大型犬を抱っこして運べるという人の方が少ないと思います。
そういった場合には車があれば人が少ないような公園に連れていき、そこである程度歩かせるというのも方法です。
また、人見知りが激しい犬の場合には人がいないような場所や時間帯に散歩をする事も1つの方法です。人見知りの犬の場合には臆病な事もありますが、飼い主や家族以外の人が近くにいるだけで緊張してしまうような場合もあります。
そういった場合にはなだめても、おやつを使っても動かない場合もあるので、そういった場合には極力人がいないような場所や時間帯に散歩に行くようにしましょう。
散歩が嫌いな犬への最終手段と老年期の犬の散歩
どうしても散歩が嫌いな場合には散歩に行かないという選択肢もあります。勿論、散歩は犬にとっても重要な事ですが、どうしても嫌がる事を無理強いしても次から余計に嫌がるようになるだけなので、犬が嫌がったらやめるという事も大切です。
散歩が嫌いな犬の中にはリードやハーネスを装着するという行動自体に嫌悪感を抱いている場合もあります。なので、散歩の時間以外にもリードやハーネスを装着して嫌悪感を徐々に少なくしていくようにしましょう。
また、老年期に入ってから散歩を嫌がるようになった場合には、散歩の距離を短くしたり、時間を短くしたりするようにして、現在の犬の状態に合わせて調節するようにしましょう。
ただ、散歩に全くいかなくなることは避けるようにします。散歩は運動不足やストレス解消だけではなく、筋肉の維持という役割も担っています。
特に老年期に入った犬の場合にはいかないようになると筋力が落ちてしまい、次第に自力で立てなくなってしまう事もあります。なので、短時間や短距離でもいいので散歩には行くようにしましょう。
まとめ
散歩を嫌がるという事は犬に肉体的若しくは精神的に何らかの異常が起こっているという事です。なので、まずは原因を突き止めて、その原因を取り除いていくようにします。
また、散歩を嫌がる犬を散歩を楽しいものとして教えていく際にはすぐに結果を求めずに根気よく続けるようにしましょう。